このサイトは医療従事者向けのサイトです。日本では認可されていない治療法,保険適用外の治療法,国内では販売されていない医薬品に関する情報も含まれています。一般の方に対する医療情報提供を目的としたものではありません。
あなたは医療従事者ですか?
- 薬剤や治療法が有効であったとの論文上の記述の引用も,本サイトがその有効性を保証するものではありません。
- サイト内で紹介する学説・情報等については,ライフサイエンス出版および提供会社が支持,推奨するものではありません。
- サイト内の情報については正確を期しておりますが,薬の使用法や副作用情報は更新されることがありますので,ご留意下さい。
- 情報内容およびその利用により生じる一切の損害につき,ライフサイエンス出版および提供会社は責任を負いません。
「COVID-19関連血栓症アンケート調査結果報告(厚生労働省研究班・日本血栓止血学会・日本動脈硬化学会 合同調査チーム)」に対する西垣和彦先生のコメント
COVID-19の本質は,免疫系の活性化とそれに引き続く多臓器不全を伴う広範な微小血栓形成である。
今回の報告から,欧米諸国より致死率が低いわが国においても,血栓症が重要な合併症であることが明らかとなった。
本報告は,わが国の109病院,新型コロナウイルス患者6,082症例に対するアンケート調査の結果である。軽・中等症症例が93.5%,非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)施行0.21%,重症例である人工呼吸器施行が5.4%,体外式膜型人工肺(ECMO)施行が0.92%であり,死亡症例3.4%と,中国などからの報告とほぼ同等である1)。
COVID-19患者の重症化は,凝固線溶系検査のうち,Dダイマーの上昇,プロトロンビン時間(PT)の延長,フィブリン分解産物(FDP)の上昇に相関があると中国から報告されているが2),わが国でもDダイマーが入院期間中に上昇することが明らかとなり,とくにDダイマーは今後の適切な管理に非常に重要な検査であることが示唆された。
血栓症の頻度は,一般的に中等症~重症のCOVID-19患者では30%と高率であることが報告されているが3),わが国でも重症患者に高率に認められることから,COVID-19の病態の重要な特徴と考えられる。血栓症は多臓器にわたって認められ,とくに腎機能障害をもたらすことには注意を払うべきである。
わが国においても,未分画ヘパリンやナファモスタットといった抗凝固薬が重症患者には高率に投与されており,退院時のDOAC処方も含めて,今後,COVID-19の後遺症にどのような影響を及ぼすかを見極める必要がある。
文献