[2006年文献] 1960年代から40年の間に,ラクナ梗塞の発症率は他の病型に比べ減少。5年生存率も改善した

40年の間に日本人におけるラクナ梗塞は着実に減少していた。この減少には,血圧コントロールおよび喫煙率の改善が関与していると考えられる。

Kubo M, et al: Decreasing incidence of lacunar vs other types of cerebral infarction in a Japanese population.Neurology 2006; 66: 1539-44.pubmed

コホート
40歳以上の久山町住民からなる年代別の3集団を,各々12年間追跡した。第一集団は1961年(1618例),第二集団は1974年(2038例),第三集団は1988年(2637例)。
結 果
男女共に,高血圧の割合には変化がなかったが,降圧薬の服用は増加した。その結果,高血圧群の平均血圧値は小さくなった。
耐糖能異常,高脂血症および肥満は,年代とともに増加した。

ラクナ梗塞: 第1集団から第2集団にかけて男性で59%と有意に減少。女性でも28%減少した。第2集団から第3集団にかけては,男性で41%と有意に減少したものの,女性では減少にさらに歯止めがかかった。
アテローム血栓性脳梗塞: 第1集団から第2集団にかけては,有意な変化ではないものの,41%減少した。第2集団から第3集団にかけては,女性で11%減少したが有意差はなし。男性では減少しなかった。
心原性脳梗塞: 有意な変化なし。
脳梗塞の病型別発症率
男性 女性
第1集団 第2集団 第3集団 第1集団 第2集団 第3集団
全脳梗塞 801 506 * 357 * ** 450 304 * 260 *
ラクナ梗塞 559 229 * 134 * ** 259 186 158
アテローム血栓性 165 98 116 105 62 55 *
心原性 67 169 107 57 47 47
発症率 / 10万人・年 *P<0.05 vs. 第1集団,**P<0.05 vs. 第2集団

ラクナ梗塞が全脳梗塞中に占める割合は,男性の第1集団から第3集団にかけて減少。逆にアテローム血栓性脳梗塞および心原性脳梗塞は増加した。女性では大きな変化なし。

ラクナ梗塞の5年生存率は,第1集団から第3集団にかけて有意に改善したが,アテローム血栓性脳梗塞および心原性脳梗塞では改善しなかった。

以上のように,40年の間に日本人におけるラクナ梗塞は着実に減少していた。この減少には,血圧コントロールおよび喫煙率の改善が関与していると考えられる。


▲このページの一番上へ

--- epi-c.jp 収載疫学 ---
Topics
【epi-c研究一覧】 CIRCS | EPOCH-JAPAN | Funagata Diabetes Study(舟形スタディ) | HIPOP-OHP | Hisayama Study(久山町研究)| Iwate KENCO Study(岩手県北地域コホート研究) | JACC | JALS | JMSコホート研究 | JPHC | NIPPON DATA | Ohasama Study(大迫研究) | Ohsaki Study(大崎研究) | Osaka Health Survey(大阪ヘルスサーベイ) | 大阪職域コホート研究 | SESSA | Shibata Study(新発田研究) | 滋賀国保コホート研究 | Suita Study(吹田研究) | Takahata Study(高畠研究) | Tanno Sobetsu Study(端野・壮瞥町研究) | Toyama Study(富山スタディ) | Honolulu Heart Program(ホノルル心臓調査) | Japanese-Brazilian Diabetes Study(日系ブラジル人糖尿病研究) | NI-HON-SAN Study
【登録研究】 OACIS | OKIDS | 高島循環器疾患発症登録研究
【国際共同研究】 APCSC | ERA JUMP | INTERSALT | INTERMAP | INTERLIPID | REACH Registry | Seven Countries Study
【循環器臨床疫学のパイオニア】 Framingham Heart Study(フラミンガム心臓研究),動画編
【最新の疫学】 Worldwide文献ニュース | 学会報告
………………………………………………………………………………………
copyright Life Science Publishing Co., Ltd. All Rights Reserved.