ブラジルの日系人で糖尿病の実態や危険因子を検討

日系ブラジル人糖尿病研究図

対象 30歳以上の日系ブラジル人1世(移民)およびその子孫
場所 ブラジル サンパウロ州バウル
開始年 1993年
登録数 1330人
調査項目 75g経口ブドウ糖負荷試験,身長,体重,ウエスト周囲長,ヒップ周囲長,体脂肪率,血圧(10分間の安静ののち,ランダムゼロ血圧計を用いて座位で3回測定),総コレステロール,トリグリセリド,HDL-C,LDL-C,インスリン,HOMA-IR,尿酸,運動量,教育年数,職業,食事調査。
食事調査では122の食品群を記した質問票を用い,面接により各食品の摂取量および摂取頻度,調味料や食用油脂の種類および使用量を調べた。また,その結果からエネルギー,炭水化物,蛋白質,全脂肪,飽和脂肪酸,オレイン酸,リノール酸,総コレステロール,食物繊維,アルコール,その他ビタミン・ミネラルの摂取量を算出した。
参考 Diabetes Care. 1998 Nov; 21(11): 1889-92.pubmed
Diabetes Care. 2005 Jul; 28(7): 1779-85.pubmed
 日系ブラジル人糖尿病研究は,日本からブラジルに移住した日系ブラジル人1世とその子孫における2型糖尿病の有病率,およびその危険因子の調査を主な目的とした疫学研究である。

 日本からブラジルへの移住が始まったのは1908年。いまやブラジルには最大の日系人社会が形成されている。1987年の日系ブラジル人研究センターおよび日本の総務庁(現・総務省)統計局調査によると,ブラジル全土の日系人は128万7000人(ブラジルの人口の0.9 %)にのぼり,その7割近くが南東部のサンパウロ州に住んでいた。

 日系ブラジル人の糖尿病有病率は,世界でも最悪レベルにあるといわれる。その原因として,日本人と共通の遺伝的背景をもつ一方で,食事をはじめとする生活習慣が急激に欧米化するなど環境的な要因の影響を受けていることがあげられる。ブラジル人は伝統的に米,パン,果物などをよく食べるが,こうした食事因子が耐糖能異常の発症につながっている可能性も示唆される。そのため,日系ブラジル人糖尿病研究では食事や栄養に関する調査も行った。レプチン,アディポネクチンなど代謝系の危険因子や,メタボリックシンドロームについても検討している。


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