地域の脳卒中と心筋梗塞を網羅する長期的な発症登録研究
対象 脳卒中または心筋梗塞を発症した地域住民
地図
開始年 1988年
場所 滋賀県高島市(旧・高島郡)
調査項目 心筋梗塞登録――発症日時,年齢,性別,発症した場所・状況,入院した時間,発症の兆候・症状,心電図所見,梗塞部位,心筋梗塞の病型(Q波/非Q波),既往歴および疾患家族歴,クレアチンキナーゼ(CK),心筋由来クレアチンキナーゼ(CK-MB),冠動脈危険因子,心筋梗塞既往,発症前の狭心症,急性期における合併症/薬物療法/インターベンションに関する記録,Killip分類,発症後28日までの予後,死亡した場合の死因(剖検を含む),冠動脈造影所見,急性期治療,NYHA分類(退院時),早期リハビリテーション状況など。
脳卒中登録――発症日時,発症時の状況および症状,発症時の神経学的症状の程度および臨床観察結果(血圧・心房細動の有無・意識レベル・神経学的機能障害),疾患既往,疾患家族歴,喫煙,飲酒,治療状況,早期リハビリテーション状況,28日までの予後,死亡した場合の死因,急性期における再発状況,画像診断(CT・MRI)など。
主任研究者 喜多 義邦 (滋賀医科大学),
上島 弘嗣 (滋賀医科大学生活習慣病予防センター)
参考 Circ J. 2005; 69: 404-8. pubmed
Circ J. 2007; 71: 1617-21. pubmed
Int J Stroke. 2007; 2: 129-32. pubmed
 高島循環器疾患発症登録研究は,滋賀県高島市における地域発症登録研究で,脳卒中登録(Takashima Stroke Registry),心筋梗塞登録(Takashima AMI Registry)の2つからなる。日本の一地域における循環器疾患を網羅的に登録して前向きに追跡し,日本人における発症率の推移や発症者の予後などについて検討すること,そしてその実態を国内・海外と比較することを目的としている。

 近年,日本では,生活習慣の欧米化にともなう肥満や代謝性疾患の増加が指摘されてきた。しかし,「ジャパニーズ・パラドックス」とも称されるように,日本人の冠動脈疾患発症率はいまだに先進国のなかでもっとも低い。ただし,高齢者や中高年の男性といった特定の層では冠動脈疾患が増加しているとの報告もあり,日本人における発症率の動向をあらためて明らかにする必要性があった。そこで,地域における発症状況を長期間にわたって網羅的にカバーする高島循環器疾患発症登録研究が1988年に開始された。

 高島市は,琵琶湖と比良山系に接する風光明媚な田園地帯。人口は1988年以降も53000~54000人と安定しており,65歳以上の高齢者の割合(22.3 %)は全国の平均(17.6 %)よりもやや高くなっている。
 高島循環器疾患発症登録研究では,高島市内および周辺地域の医療機関の協力,死亡診断書,救急搬送記録などにより,脳卒中* および急性心筋梗塞** で入院した高島市住民をほぼすべて登録し「定点観察」を行っている。通常の一般住民を対象としたコホート研究では集団の大きさによって統計的に十分なイベント数が得られない場合もあり,発症率・予後に関する長期的なトレンドを把握するために登録研究の果たす役割は大きい。

 この試みによって地域における実態が刻々と明らかになってきており,2008年の報告では,心筋梗塞が増加していることが示された。脳卒中に関しても発症率の低下度は小さくなってきており,こうした傾向が今後どうなるかということも重要な検討テーマの1つである。季節や曜日による脳卒中発症率の変動など,興味深い報告も続々と発表された。登録および追跡は現在も継続されており,引き続きその成果に大きな期待が寄せられている。

脳卒中,および心筋梗塞発症例の登録基準は以下のとおり。
* 脳卒中: 神経学的な急性症状が発現し24時間以上持続,または死亡(病型診断のため,CT・MRIを実施)。
** 急性心筋梗塞: 急性心筋梗塞発症例,または虚血性冠動脈疾患によると考えられる院外心突然死例(診断にはWHO MONICAの基準を用いて統一)。


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