栄養と血圧に関する国際共同研究
対象 4か国17集団の40~59歳の男女 (うち日本4集団)
INTERMAP各地域の図
場所 日本: 北海道札幌市(工場従業員300例),富山県黒部市(工場従業員303例),滋賀県愛東町(地域住民291例),和歌山県和歌山市(工場従業員296例)の計1145例
中国: 北京,山西,広西チワン族自治区の計839例
イギリス: バーミンガム,ベルファストの計501例
アメリカ: ミネアポリス,シカゴ,ボルティモア,ピッツバーグ,ジャクソン,コーパスクリスティ(ヒスパニック系アメリカ人コホート,2集団),ハワイ(日系アメリカ人コホート)の計2195例
開始年 1996~99年 (横断研究)
登録数 4680例
調査項目  INTERMAP研究開始に際して掲げられた仮説は以下の10項目。この中には未検討のものもあり,これからも多くの成果が期待されている。
      
  • 総蛋白質摂取量は,血圧と負の関連がある。(栄養調査と24時間蓄尿の両面から検討)
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  • 教育年数と血圧の負の関連は,BMIおよびナトリウム,カリウム,アルコール,蛋白質などの各種栄養素の摂取により説明できる。
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  • 飽和脂肪酸摂取量は,血圧と正の関連がある。
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  • コレステロール摂取量は,血圧と正の関連がある。
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  • 多価不飽和脂肪酸摂取量は,血圧と負の関連がある。
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  • n-3系多価不飽和脂肪酸摂取量は,血圧と負の関連がある。
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  • n-6系多価不飽和脂肪酸摂取量は,血圧と負の関連がある。
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  • P/S比(多価不飽和脂肪酸 / 飽和脂肪酸比)は,血圧と負の関連がある。
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  • Keysスコア(Hegsteadスコア)は,血圧と正の関連がある。
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  • 澱粉摂取量は,血圧と正の関連がある。
血圧(5分間の安静ののち,ランダムゼロ血圧計*を用いて座位で測定),生活状況調査,24時間蓄尿×2回(尿量,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,カルシウム),24時間思い出し法による栄養調査(4日),心拍数,運動状況,飲酒,喫煙,服薬状況,年齢,身長,体重,人種,職業,特別な食生活の有無,教育,経産歴(女性のみ),閉経状況(女性のみ),避妊薬・ホルモン補充療法の有無(女性のみ)。
主任研究者 Jeremiah Stamler (ノースウエスタン大学),
Paul Elliott  (インペリアル・カレッジ・ロンドン),
日本コホート: 上島 弘嗣 (滋賀医科大学生活習慣病予防センター)
参考 J Hum Hypertens. 2003; 17: 591-608.pubmed
医学のあゆみ vol. 207 no.7 459-462
平成9年度~平成12年度科学研究費補助金基盤研究(A)(1)研究成果報告書: 高血圧予防のためのライフスタイルのあり方に関する疫学共同研究 –国際共同研究INTERMAPの一環として-
 INTERMAP(INTernational study of MAcro- and micronutrients and blood Pressure)は,4か国17集団の4680例において,栄養と血圧との関連を検討した国際共同研究。INTERSALTの結果からだけでは説明できなかった個人間の血圧差や集団間の血圧差には,主要栄養素および微量栄養素が大きな影響を及ぼしているのではないかと考えられたことから,INTERSALT研究の手法を踏襲し,米国国立心肺血液研究所(NHLBI)などのサポートを受けて1996~99年にフィールド調査が行われた。

 それまでの研究により,収縮期血圧120~130 mmHgのいわゆる正常高値血圧の人でも,心血管疾患の発症や死亡のリスクが高いことがわかってきていた。この正常高値血圧を至適水準に降下させるためには,薬物療法だけでなく,食事のパターンなど生活習慣の改善も大切になる。しかし血圧の一次予防のための食事因子,特に栄養素についてはこれまでに詳しいことがわかっていなかった。そこで開始されたのがINTERMAP研究である。

 INTERMAPの特徴は,多様な食生活の影響を調べるために東洋または欧米の食習慣を有する4か国を対象としたこと,また,INTERSALTと同様に検査機器やマニュアルをすべて統一し,国際比較が可能となる質の高い標準化が行われたことである。さらに,同時に収集した血液検査データを用いては,日本人とハワイに住む日系アメリカ人を対象としたINTERLIPID研究が行われた。

INTERMAP―INTERSALT相関図


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