[2004年文献] 歯周病は耐糖能異常,糖尿病と関連

歯周病と耐糖能異常との関連について,日本人一般住民を対象とした断面解析および後ろ向きコホート研究により検討した。断面解析の結果より,歯周ポケットの深さは耐糖能異常および糖尿病と有意に関連していた。後ろ向きコホート研究の結果からも,歯周病が2型糖尿病の危険因子である可能性が示唆された。

Saito T, et al. The severity of periodontal disease is associated with the development of glucose intolerance in non-diabetics: the Hisayama study. J Dent Res. 2004; 83: 485-90.pubmed

コホート
◇ 断面解析
1998年に歯科健診および75 g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を完了した40~79歳の1111人のうち,歯が10本未満の150人を除いた961人(男性377人,女性584人)について,歯周病と耐糖能異常との関連を断面的に検討。

◇ 後ろ向きコホート研究
上記の断面解析の対象者961人のうち,10年前(1988年)の健診時に40歳以上,かつ75 g OGTTを完了していた591人のデータを用い,10年間の変化について後ろ向きに検討。

・ 歯科健診の評価項目
歯科健診では,歯周ポケットの深さ,およびアタッチメントロスについて評価を行った。

注) 歯周ポケットの深さとは,歯肉辺縁からポケット底(接合上皮で,もっとも歯の根に近い端)までの距離。アタッチメントレベルとはエナメル質とセメント質の境界からポケット底までの距離で,アタッチメントロスというのはこの距離が深くなっている場合をさす。

・ 耐糖能の分類
WHOの基準を用い,耐糖能について対象者を以下の3つのいずれかに分類した。
  耐糖能正常(NGT: normal glucose tolerance): 空腹時血糖<110 mg/dL,かつ負荷後2時間血糖<140 mg/dL)
  糖尿病: 空腹時血糖≧126 mg/dL,負荷後2時間血糖≧200 mg/dL)
  耐糖能異常(IGT: impaired glucose tolerance): NGT,糖尿病のいずれにもあてはまらないもの
結 果
◇ 断面解析
1998年時の耐糖能異常(IGT: impaired glucose tolerance)は191人,糖尿病は101人。
歯周ポケットの深さは,IGTおよび糖尿病の割合と有意に関連していた(P=0.0001)。
アタッチメントロスは糖尿病の割合と有意に関連していたが,IGTでは関連なし。

◇ 後ろ向きコホート研究
1988年時の75 g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)のデータがある591人のうち,NGTは415人(70.2 %),IGT/糖尿病は176人(29.8 %)。
1998年の75 g OGTTの結果では,IGT/糖尿病の割合は32.7 %とやや増加していた。

1988年時のIGT/糖尿病は,1998年における歯周ポケットの深さ,およびアタッチメントロスと有意に関連していた(それぞれP=0.016,P=0.038)。
1998年時のIGT/糖尿病は,同年における歯周ポケットの深さと有意に関連していた(P<0.0001)。

1988年時にNGTだったが1998年までの10年でIGT/糖尿病を発症した人の割合は19.5 %(81人)で,歯周ポケットが深い群ほどその割合が有意に高かった(P=0.0007)。アタッチメントロスでは有意な関連はなかった。


◇ 結論
歯周病と耐糖能異常との関連について,日本人一般住民を対象とした断面解析および後ろ向きコホート研究により検討した。断面解析の結果より,歯周ポケットの深さは耐糖能異常および糖尿病と有意に関連していた。後ろ向きコホート研究の結果からも,歯周病が2型糖尿病の危険因子である可能性が示唆された。


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