[2009年文献] LDL-C高値はアテローム血栓性脳梗塞と冠動脈疾患の危険因子

LDL-Cと脳卒中の各病型,および冠動脈疾患リスクとの関連について,日本人一般住民を対象とした前向きコホート研究による検討を行った。その結果,LDL-C高値はアテローム血栓性脳梗塞,および冠動脈疾患の危険因子であることが示された。LDL-Cはメタボリックシンドロームとは独立に非塞栓性脳梗塞および冠動脈疾患リスクに関連しており,心血管疾患の予防のためにはLDL-Cを低下させることが重要と考えられる。

Imamura T, et al. LDL Cholesterol and the Development of Stroke Subtypes and Coronary Heart Disease in a General Japanese Population. The Hisayama Study. Stroke. 2009; 40: 382-8. pubmed

コホート
40歳以上の男女2,548人のうち,脳卒中または冠動脈疾患既往のある89人,血液検査のデータがない,または食後に採血を行った86人,トリグリセリドが400 mg/dL以上の22人を除いた2,351人(男性991人,女性1,360人)を1983年から2002年まで19年間追跡。
追跡不能となったのは1人のみ。
死亡した707人中555人(78.5 %)に剖検を行った。

LDL-CはFriedewald式を用いて算出し,全体を以下の四分位に分けて解析を行った。
   Q1: ≦2.65 mmol/L (~102 mg/dL) 586人
   Q2: 2.66~3.24 mmol/L (103~125 mg/dL): 591人
   Q3: 3.25~3.88 mmol/L (126~149 mg/dL): 585人
   Q4: ≧3.89 mmol/L (150 mg/dL~): 589人
結 果
◇ 対象背景
心血管疾患に関連する因子をLDL-Cの四分位ごとに調べた結果,LDL-Cと有意な正の関連を示したのは年齢,総コレステロール,トリグリセリド,空腹時血糖,血圧,高血圧の割合,BMIで,LDL-Cと有意な負の関連を示したのは男性の割合,HDL-C,飲酒率,喫煙率,定期的な身体活動を行っている割合。

◇ LDL-Cと心血管疾患発症リスク
追跡期間中の心血管疾患発症数は以下のとおり。
   脳卒中: 271人
     虚血性脳卒中: 191人
      ラクナ梗塞: 93人
      アテローム血栓性脳梗塞: 51人
      心原性脳塞栓: 46人
      病型不明: 1人
     出血性脳卒中: 80人
   冠動脈疾患: 144人

心血管疾患の発症リスクをLDL-Cの四分位ごとに検討した結果,全脳卒中,虚血性脳卒中,出血性脳卒中はいずれもLDL-Cとの有意な関連を示さなかった。
虚血性脳卒中の病型別にみると,アテローム血栓性脳梗塞,およびラクナ梗塞のリスクは,LDL-Cが高いほど有意に増加した(それぞれP for trend=0.03,0.02)が,ラクナ梗塞については多変量調整を行うと有意な関連が消失した(P for trend=0.11)。多変量調整後の心原性脳塞栓のリスクはLDL-Cと有意な負の関連を示し,Q4で有意なリスク低下がみとめられた。
冠動脈疾患リスクは,LDL-Cと有意に関連していた。

LDL-Cの四分位ごとの脳卒中,および冠動脈疾患発症の多変量調整ハザード比(95 %信頼区間)は以下のとおり。それぞれQ1(低値,対照),Q2,Q3,Q4(高値)の値。(*P<0.05 vs. Q1)

   全脳卒中: 1.0,0.94(0.64-1.38),1.15(0.79-1.67),1.23(0.84-1.81) [P for trend=0.16]
    虚血性脳卒中: 1.0,1.05(0.66-1.66),1.05(0.66-1.68),1.35(0.85-2.14) 
     アテローム血栓性脳梗塞: 1.0,1.35(0.54-3.35),1.19(0.45-3.17),2.84(1.17-6.93)* [P for trend=0.02]
     ラクナ梗塞: 1.0,1.19(0.57-2.50),1.41(0.69-2.89),1.69(0.83-3.43) [P for trend=0.11]
     心原性脳塞栓: 1.0,0.75(0.34-1.63),0.59(0.25-1.38),0.44(0.12-0.96)* [P for trend=0.03]
    出血性脳卒中: 1.0,0.71(0.35-1.47),1.41(0.75-2.65),1.01(0.50-2.05) [P for trend=0.53]
   冠動脈疾患: 1.0,1.01(0.56-1.80),1.68(0.99-2.84),1.57(0.91-2.73) [P for trend=0.03]

LDL-Cを連続変数として扱った解析においても,同様の結果が得られた。

◇ メタボリックシンドローム(MetS)の影響
心血管疾患のうち非塞栓性脳梗塞と冠動脈疾患について,「LDL-C高値のみを有する人」「MetSのみを有する人」および「両方を有する人」における発症リスクを,「いずれも有しない人」と比較した。
その結果,「LDL-C高値のみを有する人」「両方を有する人」では非塞栓性脳梗塞のリスクが有意に上昇していたが,「MetSのみを有する人」では有意なリスク上昇はみられなかった。
冠動脈疾患については,「LDL-C高値のみを有する人」,「MetSのみを有する人」,「両方を有する人」のいずれにおいても有意なリスク上昇がみとめられた。


◇ 結論
LDL-Cと脳卒中の各病型,および冠動脈疾患リスクとの関連について,日本人一般住民を対象とした前向きコホート研究による検討を行った。その結果,LDL-C高値はアテローム血栓性脳梗塞,および冠動脈疾患の危険因子であることが示された。LDL-Cはメタボリックシンドロームとは独立に非塞栓性脳梗塞および冠動脈疾患リスクに関連しており,心血管疾患の予防のためにはLDL-Cを低下させることが重要と考えられる。


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