[2013年文献] 白衣高血圧でも頸動脈硬化は進展している

家庭血圧と健診時血圧の両方を考慮した高血圧のカテゴリーと,超音波検査で評価した頸動脈硬化との関連を検討。断面解析において,白衣高血圧,仮面高血圧および持続性高血圧は,いずれも頸動脈壁肥厚および頸動脈狭窄の両方と有意に関連していることが示された。白衣高血圧は完全に無害な状態とはいえない可能性が高いことから,白衣高血圧者においても,ガイドラインに則った生活習慣改善や注意深い観察が望まれる。

Fukuhara M, et al. White-coat and masked hypertension are associated with carotid atherosclerosis in a general population: the hisayama study. Stroke. 2013; 44: 1512-7.pubmed

コホート
2007~2008年の健診を受診した40歳以上の3376人(参加率78.0%)のうち,家庭血圧の測定日数が3日以下だった211人,頸部の超音波検査のデータのない75人,家庭血圧および頸部の超音波検査の両方のデータが不足している175人を除外した2915人(男性1267人,女性1648人)(断面解析)。

健診時血圧値(CBP)および家庭血圧値(HBP: 毎朝,起床後1時間以内,朝食および服薬前に測定)をもとに,対象者を以下の4つのカテゴリーに分類した。
  正常血圧(NT): CBP 140 / 90mmHg未満かつHBP 135 / 85mmHg未満
  白衣高血圧(WCHT): CBP 140 / 90mmHg以上かつHBP 135 / 85mmHg未満
  仮面高血圧(MHT): CBP 140 / 90mmHg未満かつHBP 135 / 85mmHg以上
  持続性高血圧(SHT): CBP 140 / 90mmHg以上かつHBP 135 / 85mmHg以上

頸部の超音波検査により,平均頸動脈内膜-中膜肥厚度(IMT)および最大IMTを測定するとともに,頸動脈壁肥厚(最大IMT>1.0 mm)の有無と頸動脈狭窄(30%以上の狭窄)の有無についても評価した。
結 果
◇ 対象背景
正常血圧(NT)は1374人(47.1%),白衣高血圧(WCHT)は200人(6.9%),仮面高血圧(MHT)は639人(21.9%),持続性高血圧(SHT)は702人(24.1%)。

NTにくらべ,WCHT,MHT,SHTでは年齢,糖尿病有病率,降圧薬服用率,および脂質低下薬服用率が高くなっていた。

◇ 血圧カテゴリーと平均頸動脈内膜-中膜肥厚度(IMT)
多変量調整した平均IMT値は以下のとおりで,WCHT,MHT,SHTのいずれにおいてもNTに比して有意に高値であった(*P<0.001 vs. NT)。また,WCHTとSHTのあいだにも有意差がみられた(P=0.03)。
年齢,性,糖尿病,総コレステロール,HDL-C,BMI,喫煙,飲酒,身体活動,降圧薬服用,脂質低下薬服用で調整)

  NT: 0.70 mm(95%信頼区間0.69-0.70)
  WCHT: 0.72 mm(0.70-0.73)*
  MHT: 0.74 mm(0.73-0.75)*
  SHT: 0.74 mm(0.73-0.75)*

降圧薬服用者と非服用者に分けた解析でも,同様の結果が得られた(P for heterogeneity=0.14)。

◇ 血圧カテゴリーと最大IMT
多変量調整した最大IMT値は以下のとおりで,WCHT,MHT,SHTのいずれにおいてもNTに比して有意に高値であった(*P<0.001 vs. NT)。

  NT: 1.15 mm(95%信頼区間1.13-1.17)
  WCHT: 1.30 mm(1.24-1.37)*
  MHT: 1.24 mm(1.21-1.28)*
  SHT: 1.27 mm(1.24-1.31)*

降圧薬服用者と非服用者に分けた解析でも,同様の結果が得られた(P for heterogeneity=0.59)。

◇ 血圧カテゴリーと頸動脈壁肥厚および頸動脈狭窄
各血圧カテゴリーにおける頸動脈壁肥厚および頸動脈狭窄の多変量調整オッズ比は以下のとおりで,WCHT,MHT,SHTのいずれにおいても,NTに比した有意なリスク増加がみられた。

・頸動脈壁肥厚
  NT: 1.00(対照)
  WCHT: 1.86(1.32-2.64)
  MHT: 1.49(1.18-1.88)
  SHT: 1.48(1.18-1.85)

・頸動脈狭窄
  NT: 1.00(対照)
  WCHT: 2.45(1.30-4.62)
  MHT: 1.95(1.23-3.08)
  SHT: 3.03(1.97-4.67)

降圧薬服用者と非服用者に分けた解析でも,それぞれ同様の結果が得られた(頸動脈壁肥厚: P for heterogeneity=0.33,頸動脈狭窄: P for heterogeneity=0.92)。

◇ 結論
家庭血圧と健診時血圧の両方を考慮した高血圧のカテゴリーと,超音波検査で評価した頸動脈硬化との関連を検討。断面解析において,白衣高血圧,仮面高血圧および持続性高血圧は,いずれも頸動脈壁肥厚および頸動脈狭窄の両方と有意に関連していることが示された。白衣高血圧は完全に無害な状態とはいえない可能性が高いことから,白衣高血圧者においても,ガイドラインに則った生活習慣改善や注意深い観察が望まれる。


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