[2007年文献] 超音波により測定した内臓脂肪径は,内臓肥満の有用なマーカー

超音波により測定した内臓脂肪径は,内臓脂肪の評価に有用であり,心血管危険因子とも関連することが示された。この結果より,CTを設置していないクリニックなどでもメタボリックシンドロームのようなハイリスク者を検出できる可能性が示唆される。

Chiba Y, et al. Relationship between visceral fat and cardiovascular disease risk factors: the Tanno and Sobetsu study. Hypertens Res. 2007; 30: 229-36.pubmed

コホート
◇ スタディ1 (内臓肥満の指標の検討): 心血管疾患既往,腎疾患既往,および重い衰弱のない外来患者106人。男性45人(平均年齢55.4歳),女性61人(67.5歳)。
身長,体重,腹囲を測定し,さらに腹部CTにより内臓脂肪面積および総脂肪面積を,超音波検査により内臓脂肪径をそれぞれ測定した。総脂肪面積と内臓脂肪面積の差を皮下脂肪面積とした。

◇ スタディ2 (内臓脂肪径と危険因子との関連の検討): 健診を受けた1455人のうち,降圧治療,糖尿病治療,高脂血症治療中の人を除いた810人。男性353人(平均年齢62.8歳),女性457人(57.8歳)。
食後8時間以上経過してから身長,体重,腹囲,血圧,HDL-C,トリグリセリド,空腹時血糖,インスリンを測定し,さらに超音波検査により内臓脂肪径を測定した。

各因子の診断基準は以下のとおり。
高血圧: 130/85 mmHg以上,高トリグリセリド血症: 150 mg/dL以上,低HDL-C血症: 男性40 mg/dL未満,女性50 mg/dL未満,空腹時血糖高値: 110 mg/dL以上。
結 果
◇ スタディ1 (内臓肥満の指標の検討)
BMI,腹囲,内臓脂肪径,および内臓脂肪面積に男女間の有意差はみられなかった。

BMI,腹囲,内臓脂肪径が,それぞれ皮下脂肪面積,内臓脂肪面積とどのように関連しているか検討した。
その結果,内臓脂肪面積ともっともよく相関したのは内臓脂肪径,皮下脂肪面積とよく相関したのはBMIと腹囲だった。

◇ スタディ2 (内臓脂肪径と危険因子との関連の検討)
内臓脂肪径の平均は,男性5.5 cm,女性4.7 cm。
腹囲の平均は,男性84.7 cm,女性82.6 cm。

内臓脂肪径,および腹囲によりそれぞれ全体を三分位に分けて心血管危険因子保有のオッズ比を算出した(年齢およびBMIにより調整)。
その結果,内臓脂肪径の大きい男性では,高血圧,および高トリグリセリド血症のオッズ比が有意に上昇した。腹囲では有意な差はみられず。
内臓脂肪径の大きい女性では,高トリグリセリド血症および低HDL-C血症のオッズ比が有意に上昇した。腹囲では有意な差はみられず。

多変量解析によると,男性の内臓脂肪径は収縮期血圧および拡張期血圧との有意な相関を示した。女性では有意な相関なし。
男女ともに,腹囲は収縮期血圧と拡張期血圧のいずれとも相関していなかった。

以上のように,超音波により測定した内臓脂肪径は,内臓脂肪の評価に有用であり,心血管危険因子とも関連することが示された。この結果より,CTを設置していないクリニックなどでもメタボリックシンドロームのようなハイリスク者を検出できる可能性が示唆される。


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