[1993年文献] 1990年の舟形町における糖尿病有病率は10.4 %

農村地域である舟形町において,経口ブドウ糖負荷試験による糖尿病有病率の調査を行った。その結果,1990年の糖尿病有病率は10.4 %と,従来の報告の約2~4倍であることが示された。耐糖能異常(IGT)の有病率は15.3 %だった。

Sekikawa A, et al. Prevalence of diabetes and impaired glucose tolerance in Funagata area, Japan. Diabetes Care. 1993; 16: 570-4.pubmed

コホート
1990年に健診を受けた45歳超の1286人のうち,脳血管疾患既往がある,もしくは健診が困難となるような障害のある123人を除いた1163人を対象として設定。
外来受診歴などから糖尿病の既往が明らかであった52人を除いた1111人について75 g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行い,糖尿病の52人およびOGTTを完了した864人について検討を行った。

耐糖能異常(IGT)および糖尿病の診断には,1980年のWHO基準を用いた(World Health Organization: WHO Expert Committee on Diabetes Mellitus. Second Report. Geneva, World Health Org., 1980[Tech. Rep.Ser., no. 646])。
結 果
平均BMIは男性23.4 kg/m2,女性24.2 kg/m2

年齢,および性別ごとの有病率は以下のとおり。
糖尿病,IGTのいずれについても年齢とともに有病率が増加する傾向がみとめられた。
性別による大きな違いはなかった。

・ 45~54歳
   男性: 糖尿病3.3 %,IGT 8.7 %
   女性: 4.2 %,12.5 %
・ 55~64歳
   男性: 12.3 %,15.6 %
   女性: 14.8 %,16.7 %
・ 65~74歳
   男性: 11.9 %,16.5 %
   女性: 14.2 %,25.4 %
・ 75歳以上
   男性: 16.2 %,18.9 %
   女性: 21.1 %,10.5 %


年齢調整後の全体の糖尿病の有病率は10.4 %(男性8.8 %,女性14.0 %)で,それまでに報告されていた有病率の約2~4倍と高い値であった。
この理由として,従来の研究ではまず試験紙法によるスクリーニングを行い,尿糖陽性であった場合にのみOGTTを行って糖尿病と判定していたためとしている。
耐糖能異常(IGT)の有病率(年齢調整後)は15.3 %(男性11.9 %,女性16.6 %)だった。


◇ 結論
農村地域である舟形町において,経口ブドウ糖負荷試験による糖尿病有病率の調査を行った。その結果,1990年の糖尿病有病率は10.4 %と,従来の報告の約2~4倍であることが示された。耐糖能異常(IGT)の有病率は15.3 %だった。


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