[2005年文献] 男性の中~多量飲酒例では,糖尿病のリスクが有意に高くなった

生活習慣と糖尿病発症との関連について,アジア人を対象とした前向きの検討はほとんどない。そこで,中年の日本人一般住民を対象とした大規模前向きコホート研究において,2型糖尿病発症の危険因子に関する検討を行った。10年間の追跡の結果,欧米の研究結果と同様に,日本人においても年齢,BMI,および糖尿病の家族歴が2型糖尿病の独立した危険因子であることが示された。層別解析の結果,BMI≦22 kg/m2の男性では中~多量飲酒と糖尿病発症リスク増加との有意な関連がみとめられたが,BMI>22 kg/m2の男性では有意な関連はみられなかった。

Waki K, et al.; JPHC Study Group. Alcohol consumption and other risk factors for self-reported diabetes among middle-aged Japanese: a population-based prospective study in the JPHC study cohort I. Diabet Med. 2005; 22: 323-31.pubmed

コホート
1990年1月1日時点で対象4保健所の管轄下14行政区内に居住し,質問票に回答した40~59歳の43149例のうち,糖尿病,心血管疾患,慢性肝疾患,腎疾患または癌の既往がなく,かつ5年後・10年後の追跡調査でも継続して回答した28893例(男性12913例,女性15980例)を解析。
飲酒については,以下のように1日あたりのエタノール換算摂取量による分類を行った。
   ・非飲酒例: 全く飲酒しない,または不定期に飲酒する例
   ・少量飲酒例: 男性0-23.0g,女性0-4.9g(第1三分位)
   ・中量飲酒例: 男性23.1-46.0g,女性5.0-11.5g(第2三分位)
   ・多量飲酒例: 男性46.1g以上,女性11.6g以上(第3三分位)
結 果
質問票に糖尿病を発症したと答えたのは,男性703例(5.4%),女性480例(3.0%)。発症率は男性のほうが高かった。
糖尿病例で,非糖尿病例に比べ有意に高かったのは,年齢,BMI,喫煙率,糖尿病家族歴,高血圧既往。

飲酒量は糖尿病発症率と有意に相関した(P=0.007)。  
多重ロジスティック回帰分析により,糖尿病の強力な予測因子だったのは,年齢,BMI,糖尿病家族歴,高血圧既往,喫煙経験,および1日20本以上の喫煙。

男性では,中~多量の飲酒例で,非飲酒例に比べて糖尿病発症のオッズ比が有意に高くなった。アルコール摂取量ごとの糖尿病発症オッズ比(95%信頼区間)は以下のとおり。
   ・非飲酒例: 1.00
   ・少量飲酒例: 1.08 (0.87-1.34)
   ・中量飲酒例: 1.26 (1.02-1.56)
   ・多量飲酒例: 1.25 (1.00-1.56)
女性では,有意な相関は見られなかった。

BMIが22kg/m2以下の男性では,中~多量の飲酒例で糖尿病リスクが有意に高くなった。多量飲酒例の糖尿病発症オッズ比は2.89(vs. 非飲酒例,95%信頼区間1.63-5.11)。また,飲酒量と糖尿病リスクは,有意な正の相関を示した(P<0.001)。
一方,BMIが22 kg/m2超の男性では,飲酒量と糖尿病発症リスクの相関は非常に弱く,有意ではなかった。


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