[2002年文献] 喫煙は早期死亡リスクと有意に関連

喫煙と早期死亡リスクとの関連について,他の生活習慣因子も考慮したうえでの検討を目的として,日本人一般住民を対象とした多施設の大規模コホート研究を行った。その結果,男女ともに喫煙は早期死亡リスクと有意に関連しており,全死亡に対する喫煙の人口寄与危険度は男性22 %,女性5 %であることが示された。

Hara M, et al. Smoking and risk of premature death among middle-aged Japanese: ten-year follow-up of the Japan Public Health Center-based prospective study on cancer and cardiovascular diseases (JPHC Study) cohort I. Jpn J Cancer Res. 2002; 93: 6-14.pubmed

コホート
JPHC コホート I *。
1990年1月1日時点で対象4保健所(岩手県二戸,秋田県横手,長野県佐久,沖縄県石川[現・中部])の管轄下14行政区内に居住していた40~59歳の54498人のうち,心筋梗塞,狭心症,脳卒中またはがんの既往がなく,ベースラインの質問票で必要項目への回答を完了した41484人(男性19950人,女性21534人)を1990~1999年にかけて10年間追跡。

* 大都市健診コホートである東京都葛飾区コホートは対象基準が異なっており,死亡の完全なデータもないため,除外された。

喫煙状況については,質問票で喫煙歴および現在の状況をたずね,以下のように分類した。
   喫煙: 喫煙歴があり,現在も定期的に喫煙している
   禁煙: 喫煙歴があるが,現在定期的には喫煙していない
   喫煙未経験: 喫煙歴がない
喫煙者および禁煙者に対しては喫煙を開始した年齢および1日の平均喫煙本数,禁煙者に対しては喫煙をやめた年齢もたずねた。
結 果
◇ 対象背景
喫煙者では,喫煙未経験者にくらべて年齢が低い,大学卒業以上の人が少ない,身体活動を行う割合が低い,BMIが低い,飲酒率が高い,野菜・果物の摂取率が低いなどの傾向がみられた。
禁煙者では,高血圧既往および服薬歴のある割合が高く,大学卒業以上の人が多かった。

◇ 喫煙状況と死亡リスク
10年間の追跡期間中に1514人が死亡(男性1014人,女性500人)。
喫煙者の全死亡リスク,癌死亡リスク,心血管疾患死亡リスクは,男女とも喫煙未経験者に対して有意に高かった。ただし,男性の心血管疾患死亡リスクのみ,多変量調整を行うと有意ではなくなった。
喫煙状況および性別ごとの全死亡,および心血管疾患死亡の相対危険度(95 %信頼区間)は以下のとおり(多変量調整)。

・ 全死亡
   喫煙未経験者: 男性1.00,女性1.00 (対照)
   禁煙者: 1.02 (0.82-1.28),1.27 (0.65-2.48)
   喫煙者: 1.55 (1.29-1.86),1.89 (1.36-2.62)

・ 心血管疾患死亡
   喫煙未経験者: 男性1.00,女性1.00 (対照)
   禁煙者: 0.99 (0.67-1.43),2.51 (0.90-6.99)
   喫煙者: 1.41 (0.97-2.03),2.72 (1.45-5.07)

◇ 喫煙量と死亡リスク
男性の喫煙者における喫煙箱・年は,全死亡リスク,および心血管疾患死亡リスクと有意に相関した(それぞれP for trend<0.01,P for trend=0.05)。
女性の喫煙者では,喫煙箱・年と死亡リスクの有意な相関はみられなかったが,20箱・年以上における有意な全死亡リスクの上昇がみとめられた(相対危険度2.61,95 %信頼区間1.52-4.47)。

喫煙者における1日の喫煙本数について,男女とも死亡リスクとの有意な用量-反応関係はみとめられなかった。

◇ 喫煙開始年齢と死亡リスク
男性の喫煙者では,喫煙開始年齢と全死亡リスク,および心血管疾患死亡リスクと有意な負の相関を示した(それぞれP for trend=0.01,P for trend=0.03)。
女性の喫煙者では有意な関連はみとめられなかった。

◇ 死亡に対する喫煙の人口寄与危険度
全死亡および心血管疾患死亡に対する喫煙(喫煙者および禁煙者)の人口寄与危険度(95 %信頼区間)は以下のとおり。

・ 全死亡: 男性22.2 % (10.1-32.6 %),女性5.2 % (1.9-8.4 %)
・ 心血管疾患死亡: 17.2 % (-10.5-37.9 %),11.3 % (2.9-18.9 %)


◇ 結論
喫煙と早期死亡リスクとの関連について,他の生活習慣因子も考慮したうえでの検討を目的として,日本人一般住民を対象とした多施設の大規模コホート研究を行った。その結果,男女ともに喫煙は早期死亡リスクと有意に関連しており,全死亡に対する喫煙の人口寄与危険度は男性22 %,女性5 %であることが示された。


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