[2000年文献] 多量飲酒はくも膜下出血の危険因子

多量の飲酒は脳出血の危険因子であることが報告されているが,くも膜下出血は症例が少なく,飲酒との関連についての報告はこれまでになかった。そこで,日本人一般住民を対象とした前向き追跡研究において飲酒量とくも膜下出血発症リスクとの関連を検討した結果,多量飲酒がくも膜下出血の危険因子であることが示された。

Sankai T, et al. Prospective study on alcohol intake and risk of subarachnoid hemorrhage among Japanese men and women. Alcohol Clin Exp Res. 2000; 24: 386-9.pubmed

コホート
1975~1986年に循環器リスク健診を受けた40~69歳の12372人(男性4978人,女性7394人)を平均9.4年間追跡。

脳卒中の病型診断にはCTを用いた。
問診により飲酒状況,および1週間あたりの飲酒量をたずね,1日あたりのエタノール摂取量に換算したうえで全体を以下のように分類した。
   飲酒未経験者
   禁酒者: ベースライン時に3か月以上飲酒していない
   少量~中程度飲酒者: 1日のエタノール換算アルコール摂取量69 g未満
   多量飲酒者*: 1日のエタノール換算アルコール摂取量69 g以上
     *女性では15人と少なかったため,このカテゴリーの解析は行わなかった。
結 果
くも膜下出血の発症は71人(男性23人,女性48人)。

男性では多量飲酒者における有意なリスク増加がみとめられたが,少量~中程度飲酒者では有意差なし。
女性では飲酒者の有意なリスク増加はみとめられなかった。
男女をあわせた解析では多量飲酒者における有意なリスク増加がみとめられた。
飲酒状況ごとのくも膜下出血発症リスク(多変量調整)は以下のとおり。

 ・ 全体
   飲酒未経験者: 1.0 (対照)
   少量~中程度飲酒者: 1.0 (95 %信頼区間0.5-2.3,P=0.95)
   多量飲酒者: 3.9 (1.4-10.6,P=0.009)

 ・ 男性
   飲酒未経験者: 1.0 (対照)
   少量~中程度飲酒者: 1.0 (0.3-3.8,P=0.99)
   多量飲酒者: 4.3 (1.1-16.8,P=0.04)

 ・ 女性
   飲酒未経験者: 1.0 (対照)
   少量~中程度飲酒者: 1.2 (0.4-3.5,P=0.71)

多量飲酒者の男性において,喫煙者の場合および高血圧をもつ場合におけるくも膜下出血発症リスクを調べた。
その結果,喫煙している多量飲酒者の男性ではくも膜下出血の相対危険度が6.0(95 %信頼区間1.8-20.1,P=0.004)と有意に高くなっていた。
また,高血圧をもつ多量飲酒者の男性のくも膜下出血の相対危険度も,13.0(3.9-43.9,P<0.001)と著明に増加していた。


◇ 結論
多量の飲酒は脳出血の危険因子であることが報告されているが,くも膜下出血は症例が少なく,飲酒との関連についての報告はこれまでになかった。そこで,日本人一般住民を対象とした前向き追跡研究において飲酒量とくも膜下出血発症リスクとの関連を検討した結果,多量飲酒がくも膜下出血の危険因子であることが示された。


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