[2004年文献] 血中ホモシステイン高値は,虚血性脳卒中リスクと関連

「日本人において,高ホモシステイン血症は虚血性脳卒中(とくにラクナ梗塞)のリスクと関連するが,出血性脳卒中のリスクとは関連しない」という仮説を検討するため,3地域の日本人一般住民を対象とした前向き症例対照研究を行った。その結果,ホモシステイン高値は全脳卒中リスクおよび虚血性脳卒中(とくにラクナ梗塞)リスクと有意に関連することが示された。

Iso H, et al. Serum total homocysteine concentrations and risk of stroke and its subtypes in Japanese. Circulation. 2004; 109: 2766-72.pubmed

コホート
1984~1995年に循環器リスク健診を受け,脳卒中または冠動脈疾患既往のない40~85歳の11846人(茨城県筑西市協和地区5952人,秋田県南秋田郡井川町2502人,高知県野市町3392人)を2000年末まで追跡。
凍結保存した血液検体を用いた前向き症例対照研究。脳卒中新規発症者1人に対し,年齢・性別,血液保存年数などによりマッチさせた3人の対照を設定した。検体の保存期間は平均9年間。
各地区における健診受診率は,協和地区74 %,井川町76 %,野市町48 %だった。

血中ホモシステイン値により,全体を以下のように四分位に分けて検討を行った。
   Q1: 4.1~7.0 micromol/L,Q2: 7.0~8.7 micromol/L,8.7~11.0 micromol/L,11.0~47.3 micromol/L
結 果
脳卒中の発症は150人。
出血性脳卒中は52人(うち脳内出血38人,くも膜下出血14人),虚血性脳卒中は98人(うちラクナ梗塞75人,アテローム血栓性脳梗塞19人,脳塞栓4人)だった。
脳塞栓については,症例数が少なかったため解析には含めなかった。

脳卒中発症者で,非発症者よりも有意に高い値を示していたのは,収縮期血圧,拡張期血圧,高血圧有病率。

全脳卒中,および虚血性脳卒中について,以下のように,発症者と非発症者の平均血中ホモシステイン値(micromol/L)に有意な差がみとめられた。
  全脳卒中: 発症者9.8,非発症者9.0 (P=0.04)
  虚血性脳卒中: 9.8,9.1 (P=0.07)
また,発症者と非発症者で血中ホモシステイン値≧11.0 micromol/Lの人の割合を比較すると,全脳卒中,虚血性脳卒中,ラクナ梗塞,出血性脳卒中,脳内出血について,発症者のほうが有意に高い割合を示した。

◇ 血中ホモシステイン値と脳卒中リスク
各病型について,血中ホモシステイン値四分位により脳卒中のオッズ比を算出した結果,血中ホモシステイン値と全脳卒中リスクは有意な相関を示した。この相関は,虚血性脳卒中(とくにラクナ梗塞)について顕著だった。

脳卒中のオッズ比(多変量調整)は以下のとおりで,それぞれQ1(対照),Q2,Q3,Q4の値(95 %信頼区間)。
  全脳卒中: 1.0,1.09(0.58-2.02),1.13(0.57-2.26),2.99(1.51-2.93),P for trend<0.001
  虚血性脳卒中: 1.0,1.36(0.60-3.09),1.45(0.60-3.49),3.89(1.60-9.46),P for trend=0.001
    ラクナ梗塞: 1.0,1.19(0.49-2.88),1.04(0.39-2.80),3.36(1.27-8.90),P for trend=0.006

出血性脳卒中,脳内出血,くも膜下出血については,血中ホモシステイン値とリスク上昇との有意な関連はみとめられなかった。
アテローム血栓性脳梗塞については,症例数が少なく検討を行うことができなかった。

血中ホモシステイン値と全脳卒中および虚血性脳卒中リスクとの関連について,年齢,性別,喫煙の有無,高血圧の有無によるサブグループごとの検討を行った結果,いずれも有意な相互関係はみとめられなかった。


◇ 結論
「日本人において,高ホモシステイン血症は虚血性脳卒中(とくにラクナ梗塞)のリスクと関連するが,出血性脳卒中のリスクとは関連しない」という仮説を検討するため,3地域の日本人一般住民を対象とした前向き症例対照研究を行った。その結果,ホモシステイン高値は全脳卒中リスクおよび虚血性脳卒中(とくにラクナ梗塞)リスクと有意に関連することが示された。


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