[2008年文献] BMI高値は高血圧発症の予測因子

日本の都市部および農村部の2地域の住民を平均10.4年間追跡し,身体測定データ(BMI,腹囲,ウエスト/身長比,ウエスト/ヒップ比,肩甲骨下部皮下脂肪厚)と高血圧および糖尿病発症との関連を地域別に性別ごとに検討した。その結果,八尾コホートの男女および協和コホートの女性において,高血圧発症の有意な予測因子はBMI高値であった。

Chei CL, et al. Body fat distribution and the risk of hypertension and diabetes among Japanese men and women. Hypertens Res. 2008; 31: 851-7.pubmed

コホート
CIRCS八尾コホートおよび協和コホート。
1988~1993年にかけて循環器リスク健診に参加した大阪府八尾市南高安地区(都市部)の40~69歳の住民,および1990~1993年にかけて循環器リスク健診に参加した茨城県協和町(農村部)の40~69歳の住民のうち,高血圧の1314人,糖尿病の314人,ベースライン時に身体測定を受けなかった353人を除いた3214人を平均10.4年間追跡(1997~2001年)。

BMI,腹囲,ウエスト/身長比,ウエスト/ヒップ比,肩甲骨下部皮下脂肪厚の値により,全体をそれぞれ以下のように三分位にわけて,体脂肪の分布と高血圧および糖尿病の発症リスクとの関連について検討した。

・ BMI(kg/m2
 低値群:15.3~22.3(対照),中値群:22.3~24.4,高値群:24.4~34.5
・ 腹囲(cm)
 低値群:60~80,中値群:81~87,高値群:88~112
・ ウエスト/身長比
 低値群:0.38~0.49,中値群:0.49~0.54,高値群:0.54~0.67
・ ウエスト/ヒップ比
 低値群:0.71~0.90,中値群:0.90~0.94,高値群:0.94~1.09
・ 肩甲骨下角部皮脂厚(mm)
 低値群:5~11,中値群:12~16,高値群:17~40
結 果
◇ 対象背景
八尾コホートで協和コホートにくらべて有意に低かったのは,男性の収縮期血圧,拡張期血圧,血糖値,BMI,ウエスト/身長比,女性の収縮期血圧,拡張期血圧,血糖値,BMI,肩甲骨下角部皮脂厚であり,有意に高かったのは女性の年齢,喫煙率,腹囲,ウエスト/ヒップ比であった。

◇ BMIおよび体脂肪分布と高血圧発症リスクとの関連
高血圧発症率(発症数)は,男性では八尾コホート2.2%(72人),協和コホート2.8%(125人),女性では2.0%(160人),2.1%(193人)であった。

高血圧発症との有意な関連がみられたのは以下の項目(多変量調整オッズ比[95%信頼区間])。(*P<0.05,**P<0.01)

<男性>
・ BMI
 低値群: 八尾コホート1,協和コホート1(対照)
 中値群: 0.89(0.43-1.85),0.67(0.37-1.22)
 高値群: 2.28(1.12-4.65)*,1.33(0.78-2.28)

<女性>
・ BMI
 低値群: 1,1
 中値群: 1.64(1.02-2.61)*,1.16(0.72-1.87)
 高値群: 1.68(1.05-2.68)*,1.81(1.16-2.84)**
・ ウエスト・身長比
 低値群: 1,1
 中値群: 1.16(0.71-1.91),0.96(0.60-1.53)
 高値群: 1.40(0.86-2.29),1.59(1.05-2.39)*
・ 肩甲骨下角部皮脂厚
 低値群: 1,1
 中値群: 1.05(0.68-1.63),0.73(0.44-1.20)
 高値群: 1.34(0.83-2.15),1.60(1.04-2.46)*

◇ BMIおよび体脂肪分布と糖尿病発症リスクとの関連
糖尿病発症率(発症数)は,男性では八尾コホート0.7%(27人),協和コホート1.0%(64人),女性ではそれぞれ0.4%(37人),0.6%(77人)。

糖尿病発症との有意な関連がみられたのは以下の項目(多変量調整オッズ比[95%信頼区間])。(*P<0.05,**P<0.01)

<男性>
・ BMI
 低値群: 八尾コホート1,協和コホート1(対照)
 中値群: 1.16(0.35-3.82),0.74(0.36-1.51)
 高値群: 3.24(1.08-9.71)*,1.22(0.63-2.34)
・ ウエスト/身長比
 低値群: 1,1
 中値群: 3.56(1.01-12.56*),1.22(0.59-2.54)
 高値群: 3.09(0.84-11.44),1.30(0.66-2.56)

<女性>
・ BMI
 低値群: 1,1
 中値群: 1.44(0.54-3.81),0.81(0.39-1.68)
 高値群: 3.34(1.40-7.95)**,1.64(0.89-3.03)
・ 腹囲
 低値群: 1,1
 中値群: 1.32(0.51-3.42),1.58(0.78-3.19)
 高値群: 2.07(0.85-5.06),2.83(1.49-5.39)**
・ ウエスト/身長比
 低値群: 1,1
 中値群: 0.82(034-1.97),0.96(0.46-2.01)
 高値群: 1.39(0.59-3.28),2.26(1.19-4.29)*
・ ウエスト/ヒップ比
 低値群: 1,1
 中値群: 1.43(0.55-3.69),1.90(0.95-3.90)
 高値群: 1.46(0.56-3.82),3.21(1.63-6.30)**
・ 肩甲骨下角部皮脂厚
 低値群: 1,1
 中値群: 3.10(1.19-8.09)*,1.44(0.69-2.98)
 高値群: 3.58(1.33-9.64)*,2.06(1.05-4.04)*


◇結論
日本の都市部および農村部の2地域の住民を平均10.4年間追跡し,身体測定データ(BMI,腹囲,ウエスト/身長比,ウエスト/ヒップ比,肩甲骨下部皮下脂肪厚)と高血圧および糖尿病発症との関連を地域別に性別ごとに検討した。その結果,八尾コホートの男女および協和コホートの女性において,高血圧発症の有意な予測因子はBMI高値であった。


▲このページの一番上へ

--- epi-c.jp 収載疫学 ---
Topics
【epi-c研究一覧】 CIRCS | EPOCH-JAPAN | Funagata Diabetes Study(舟形スタディ) | HIPOP-OHP | Hisayama Study(久山町研究)| Iwate KENCO Study(岩手県北地域コホート研究) | JACC | JALS | JMSコホート研究 | JPHC | NIPPON DATA | Ohasama Study(大迫研究) | Ohsaki Study(大崎研究) | Osaka Health Survey(大阪ヘルスサーベイ) | 大阪職域コホート研究 | SESSA | Shibata Study(新発田研究) | 滋賀国保コホート研究 | Suita Study(吹田研究) | Takahata Study(高畠研究) | Tanno Sobetsu Study(端野・壮瞥町研究) | Toyama Study(富山スタディ) | Honolulu Heart Program(ホノルル心臓調査) | Japanese-Brazilian Diabetes Study(日系ブラジル人糖尿病研究) | NI-HON-SAN Study
【登録研究】 OACIS | OKIDS | 高島循環器疾患発症登録研究
【国際共同研究】 APCSC | ERA JUMP | INTERSALT | INTERMAP | INTERLIPID | REACH Registry | Seven Countries Study
【循環器臨床疫学のパイオニア】 Framingham Heart Study(フラミンガム心臓研究),動画編
【最新の疫学】 Worldwide文献ニュース | 学会報告
………………………………………………………………………………………
copyright Life Science Publishing Co., Ltd. All Rights Reserved.