[2009年文献] 動物性蛋白質を多く摂取する人は血圧が低い

西欧諸国では蛋白質摂取量と血圧との負の関連が報告されてきたが,蛋白質摂取源が西欧諸国とは異なるアジア諸国での報告は限られている。本研究では,日本の都市部および農村部の5地域の男女を対象に,蛋白質摂取量と血圧との関連を検討した。その結果,総蛋白質および動物性蛋白質摂取量と血圧との負の関連が認められた。

Umesawa M, et al. Relations between protein intake and blood pressure in Japanese men and women: the Circulatory Risk in Communities Study (CIRCS). Am J Clin Nutr. 2009; 90: 377-84.pubmed

コホート
1973~1997年にかけて循環器リスク健診を受診した40~69歳の5地域の住民7585人(1973~1997年: 秋田県井川町[男性621人,女性683人],大阪府八尾市南高安地区[724人,964人],1973~1987年: 秋田県(旧)石沢町[349人,306人],1975~1997年: 高知県(旧)野市町[844人,964人],1982~1997年: 茨城県(旧)協和町[961人,1169人])(断面解析)。

食事摂取については24時間思い出し法によりデータを得て,日本の食品成分表(第5版)に基づき,総蛋白質,動物性蛋白質,および植物性蛋白質の摂取量を算出した。
血圧は初回測定時のデータを使用。

総蛋白質,動物性蛋白質,および植物性蛋白質の摂取量により,それぞれ全体を四分位に分けて解析した。
  • 総蛋白質摂取量
    Q1(1896人): 平均46.8g/日,Q2(1896人): 64.2g/日,Q3(1894人): 78.3g/日,Q4(1899人): 105.0g/日
  • 動物性蛋白質摂取量
    Q1(1887人): 平均14.3 g/日,Q2(1904人): 27.1 g/日,Q3(1897人): 38.5 g/日,Q4(1897人): 60.7 g/日
  • 植物性蛋白質摂取量
    Q1(1893人): 平均24.9 g/日,Q2(1891人): 33.3 g/日,Q3(1898人): 40.5 g/日,Q4(1903人): 54.9 g/日
結 果
◇ 対象背景
平均血圧値は男性136.5/83.3mmHg,女性134.6/80.6mmHg。
総蛋白質,動物性蛋白質,植物性蛋白質の摂取量の四分位ごとに背景を比較した結果,総蛋白質摂取量は男女ともにナトリウム,カリウム,カルシウムおよびアルコール摂取量と正の関連を示し(女性のアルコール摂取量を除く),BMIおよび降圧薬服用率と負の関連を示した。動物性蛋白質摂取量は,男女ともにアルコール,ナトリウム,カリウム,およびカルシウム摂取量と正の関連を示し,BMIおよび降圧薬服用率と負の関連を示した(男性のBMIを除く)。植物性蛋白質摂取量は,男女ともにナトリウム,カリウム,およびカルシウム摂取量と正の関連を示した。

◇ 総蛋白質摂取量と血圧
総蛋白質摂取量の25.5 g/日(1 SD)増加は,収縮期血圧(SBP)の1.14 mmHg低下,拡張期血圧(DBP)の0.65 mmHg低下と関連しており(ともにP<0.001,多変量調整後),総蛋白質摂取量と血圧との負の関連が示された。

総蛋白質摂取量の四分位ごとの血圧は以下のとおりで,総蛋白質摂取量が多いほど血圧が低いという有意な傾向がみとめられた(SBP,DBPともにP for trend<0.001)。
   Q1: 136.9/82.5 mmHg,Q2: 136.2/82.3 mmHg,Q3: 134.8/81.6 mmHg,Q4: 134.0/81.1 mmHg
   
◇ 動物性蛋白質摂取量と血圧
動物性蛋白質摂取量の19.9 g/日(1 SD)増加は,SBPの1.09 mmHg低下,DBPの0.41 mmHg低下と関連しており(それぞれP<0.001,P=0.003,多変量調整後),動物性蛋白質摂取量と血圧との負の関連が示された。

動物性蛋白質摂取量の四分位ごとの血圧は以下のとおりで,動物性蛋白質摂取量が多いほど血圧が低いという有意な傾向がみとめられた(SBP,DBPともにP for trend<0.001)。
   Q1: 137.1/82.5 mmHg,Q2: 136.2/82.2 mmHg,Q3: 134.6/81.5 mmHg,Q4: 134.0/81.2 mmHg
   
◇ 植物性蛋白質摂取量と血圧
植物性蛋白質摂取量の1 SD増加とSBPおよびDBPとの有意な関連はみとめられなかった。

植物性蛋白質摂取量の四分位ごとの血圧は以下のとおり(SBPのP for trend: 0.064,DBPのP for trend: <0.001)。
   Q1: 136.2/82.5 mmHg,Q2: 135.8/82.0 mmHg,Q3: 134.9/81.9 mmHg,Q4: 135.1/81.0 mmHg
   
◇ 結論
西欧諸国では蛋白質摂取量と血圧との負の関連が報告されてきたが,蛋白質摂取源が西欧諸国とは異なるアジア諸国での報告は限られている。本研究では,日本の都市部および農村部の5地域の男女を対象に,蛋白質摂取量と血圧との関連を検討した。その結果,総蛋白質および動物性蛋白質摂取量と血圧との負の関連が認められた。


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