[2013年文献] ブルーカラーの男性の全死亡リスクは,ホワイトカラーより高い

欧米とは異なり,日本では,社会・経済的な状況と死亡率との関連は明確ではない。そこで日本人一般住民を対象とした前向き追跡研究において,職種や職場での地位が死亡リスク増加と関連するかどうか,ならびに,死亡リスクとの関連において職種と職場での地位の相互作用がみられるかどうかについて,性差も考慮した検討を行った。その結果,男性ではブルーカラーの人の全死亡リスクがホワイトカラーよりも高いことが示された。男女とも,職場での地位と全死亡リスクとの関連はみられなかったが,ホワイトカラーの女性では,非管理職の人の心血管疾患死亡リスクが管理職よりも高い傾向がみられた。女性の管理職が増加するなかで,これらの関連についてより詳細な検討が必要と考えられる。

Hirokawa K, et al.; Jichi Medical Cohort study group. Mortality risks in relation to occupational category and position among the Japanese working population: the Jichi Medical School (JMS) cohort study. BMJ Open. 2013; 3:pubmed

コホート
JMSコホート研究の12コホート(岩泉,多古,大和,久瀬,高鷲,和良,佐久間,北淡,作木,大川,相島,赤池)。
1992~1995年にベースライン健診を受けた12490人のうち,65歳以上の人,癌の既往(男性14人,女性33人),虚血性心疾患の既往(男性65人,女性34人),脳卒中の既往(男性23人,女性15人),職業に関するデータ不備(男性402人,女性510人),ならびに非就業者(男性599人,女性2959人)を除いた,男性2804人および女性2949人を平均12.1年間追跡(男性37355人・年,女性41264人・年)。

職業については,職種と地位についてそれぞれ以下のカテゴリーに対象者を分類し,解析を行った。
・職種
  ブルーカラー: 農林業,漁業,警備,運輸・通信業,技能・肉体労働
  ホワイトカラー: 専門・技術職,事務,営業,サービス
  その他: 家事,退職,未分類
・職場での地位
  管理職: 雇用者,管理職者(自営業を含む)
  非管理職
結 果
◇ 対象背景
ブルーカラーの人でホワイトカラーにくらべて有意に高い値を示していたのは,年齢,身体活動量,結婚している人の割合(女性のみ),非喫煙者の割合(女性のみ),閉経している人の割合(女性のみ)で,有意に低い値を示していたのは教育年数が長い人の割合,アルコール摂取量(女性のみ)。
ホワイトカラーの女性では,管理職の人は非管理職にくらべてBMIが有意に高く,ホワイトカラーの男性では,管理職の人は非管理職にくらべてBMIとアルコール摂取量が有意に高かった。
ホワイトカラーおよびブルーカラーの男性では,管理職の人は非管理職にくらべて結婚していない人の割合が有意に低かった。

追跡期間中に死亡したのは男性227人,女性95人で,このうち心血管疾患死亡はそれぞれ35人,16人,癌による死亡は98人,53人であった。

◇ 職種と死亡リスク
・男性
ブルーカラーの人は,ホワイトカラーの人にくらべて全死亡リスクが有意に高かった(多変量調整*ハザード比1.64,95%信頼区間1.10-2.45)。
この傾向は心血管疾患死亡および癌死亡についても同様であったが,統計学的な有意差はみられなかった。
*年齢,結婚の有無,教育年数,飲酒量,喫煙状況,身体活動量,BMI,高血圧の有無により調整

・女性
ブルーカラーとホワイトカラーの全死亡リスク,心血管疾患死亡リスクおよび癌死亡リスクには有意差はみられなかったが,ブルーカラーの人のほうが死亡リスクが低い傾向がみられた。

◇ 職場での地位と死亡リスク
・男性
管理職と非管理職の全死亡リスク,心血管疾患死亡リスクおよび癌死亡リスクに有意差はられなかった。

・女性
管理職と非管理職の全死亡リスク,心血管疾患死亡リスクおよび癌死亡リスクに有意差はられなかったが,非管理職の人のほうが死亡リスクが低い傾向がみとめられた。

◇ 職種と職場での地位の相互作用
・男性
全死亡,心血管疾患死亡,癌死亡のいずれのリスクに関しても,職種と職場での地位の有意な相互作用はみとめられなかった。
ブルーカラーおよびホワイトカラーのそれぞれにおける層別化解析においても,職場での地位と死亡リスクとの関連はみられなかった。

・女性
心血管疾患死亡リスクに関して,職場と職場での地位の有意な相互作用がみとめられた。
層別化解析を行うと,ブルーカラーでは,非管理職の人の全死亡リスクがホワイトカラーに比して有意に低かった(多変量調整*ハザード比0.15,95%信頼区間0.03-0.81)。一方,ホワイトカラーでは,非管理職の人の心血管疾患死亡リスクが管理職に比して高い傾向がみられたが,有意差はみられなかった(2.34,0.25-21.87)。
*年齢,結婚の有無,教育年数,飲酒量,喫煙状況,身体活動量,BMI,高血圧の有無および閉経の有無(女性のみ)により調整


◇ 結論
欧米とは異なり,日本では,社会・経済的な状況と死亡率との関連は明確ではない。そこで日本人一般住民を対象とした前向き追跡研究において,職種や職場での地位が死亡リスク増加と関連するかどうか,ならびに,死亡リスクとの関連において職種と職場での地位の相互作用がみられるかどうかについて,性差も考慮した検討を行った。その結果,男性ではブルーカラーの人の全死亡リスクがホワイトカラーよりも高いことが示された。男女とも,職場での地位と全死亡リスクとの関連はみられなかったが,ホワイトカラーの女性では,非管理職の人の心血管疾患死亡リスクが管理職よりも高い傾向がみられた。女性の管理職が増加するなかで,これらの関連についてより詳細な検討が必要と考えられる。


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