[2004年文献] TFPI,PAI-1(血管内皮機能障害のマーカー)は,頸動脈IMTと有意に関連する

内皮機能障害を反映するマーカー(TFPI,PAI-1,vWF)と頸動脈IMTとの関連について,都市部の一般住民を対象とした断面解析により検討した。その結果,血液中の遊離TFPIおよびPAI-1は,心血管疾患既往のない男性において,超音波により測定した総頸動脈IMTと有意に関連していることが示された。vWFとIMTとの関連はみられなかった。TFPIおよびPAI-1は,初期の頸動脈硬化のマーカーとして活用できる可能性がある。

Sakata T, et al. Potential of free-form TFPI and PAI-1 to be useful markers of early atherosclerosis in a Japanese general population (the Suita Study): association with the intimal-medial thickness of carotid arteries. Atherosclerosis. 2004; 176: 355-60.pubmed

コホート
吹田市民から無作為に抽出され,血液検査に同意して1998年8月5日~12月24日に国立循環器病センターの定期健診を受診した心血管疾患既往のない34~91歳の男性245人および女性277人(断面解析)。

頸動脈内膜-中膜肥厚度(intima-media thickness: IMT)により,全体を以下のように四分位に分けて検討を行った。
・ 男性
   Q1: 中央値0.73 mm(58人),Q2:0.83 mm(70人),Q3: 0.93 mm(57人),Q4: 1.05 mm(60人)
・ 女性
   Q1: 中央値0.70 mm(66人),Q2: 0.78 mm(73人),Q3: 0.85 mm(63人),Q4: 0.95 mm(75人)

内皮機能障害を反映するマーカーとして,以下の3つの因子について検討が行われた。
・ 組織因子経路阻害因子(TFPI: tissue factor pathway inhibitor[ng/mL])
・ プラスミノーゲン活性化因子阻害因子1(PAI-1: plasminogen activator inhibitor-1[ng/mL])
・ フォンビルブランド因子(vWF: von Willebrand factor[%])

高血圧の定義は,収縮期血圧≧160 mmHg,拡張期血圧≧95 mmHgまたは降圧薬服用とした。
高脂血症の定義は,総コレステロール≧220 mg/dLまたは高脂血症薬服用とした。
結 果
◇ 対象背景
男女ともに総頸動脈の内膜-中膜肥厚度(IMT: intima-media thickness)との有意な相関を示したのは,年齢,高血圧,LDL-C,遊離組織因子経路阻害因子(TFPI: tissue factor pathway inhibitor),フォンビルブランド因子(vWF: von Willebrand factor)で,有意な逆相関を示したのはHDL-C。

◇ TFPIとIMTの関連
・ 男性
年齢で調整したTFPIはIMTと有意な正の相関を示した(P for trend=0.003)が,多変量調整を行うと有意な相関は消失した(P for trend=0.075)。
また,年齢で調整したTFPIは,IMTが高いQ3およびQ4でQ1に対して有意に高い値を示した(P<0.05)が,多変量調整を行うと有意差は消失した。
・ 女性
年齢で調整したTFPIは,Q2およびQ3において高くなる傾向を示した(P for trend=0.410)。

◇ プラスミノーゲン活性化因子阻害因子1(PAI-1: plasminogen activator inhibitor-1)とIMTの関連
・ 男性
年齢で調整したPAI-1はIMTと有意な正の相関を示し(P for trend<0.001),この有意な相関は多変量調整を行っても変わらなかった(P for trend<0.001)。
年齢で調整したPAI-1は,Q4でQ1に対して有意に高い値を示した(P<0.05)が,多変量調整を行うと有意差は消失した。
・ 女性
年齢で調整したPAI-1とIMTとの有意な関連はみとめられなかった(P for trend=0.227)。
年齢で調整したPAI-1はQ4でQ1に対して有意に高い値を示した(P<0.05)が,多変量調整を行うと有意差は消失した。

◇ vWFとIMTの関連
男性では,vWFとIMTとの有意な関連はみとめられなかった。
女性では,vWFは,多変量調整後もIMTと有意な関連を示した(P for trend=0.049)。


◇ 結論
内皮機能障害を反映するマーカー(TFPI,PAI-1,vWF)と頸動脈IMTとの関連について,都市部の一般住民を対象とした断面解析により検討した。その結果,血液中の遊離TFPIおよびPAI-1は,心血管疾患既往のない男性において,超音波により測定した総頸動脈IMTと有意に関連していることが示された。vWFとIMTとの関連はみられなかった。TFPIおよびPAI-1は,初期の頸動脈硬化のマーカーとして活用できる可能性がある。


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