[2013年文献] LDL-C値正常者の急性心筋梗塞+突然死リスク予測に有用な脂質パラメータ

LDL-C値が正常(<120 mg/dL)である人の残存リスクの評価を目的として,日本人一般住民男性を対象とした5.5年間の前向きコホート研究において各脂質パラメータ(LDL-C,HDL-C,non-HDL-C,総コレステロール(TC)/HDL-C比,LDL-C/HDL-C比)と急性心筋梗塞発症および突然死リスクとの関連を検討した。その結果,LDL-C値正常者においても,non-HDL-C,TC/HDL-C比,およびLDL-C/HDL-C比は有意なリスク予測能を示しており,残存リスク評価に有用と考えられた。

Tanaka F, et al.; Iwate-Kenco Study Group. Predictive Value of Lipoprotein Indices for Residual Risk of Acute Myocardial Infarction and Sudden Death in Men With Low-Density Lipoprotein Cholesterol Levels <120 mg/dl. Am J Cardiol. 2013; 112: 1063-8. pubmed

コホート
岩手県北地域(二戸,久慈,宮古)で2002~2005年に健診を受け,研究への参加に同意した男性9161人のうち,心筋梗塞または狭心症既往のある185人,脳卒中既往のある328人,脂質低下薬を使用している249人,ベースラインデータに不備がある222人を除いた40歳以上の男性7931人を平均5.5年間追跡。
結 果
LDL-C値が正常(<120 mg/dL)だったのは4827人(60.9%)であった。
追跡期間中に急性心筋梗塞(AMI)を発症,または突然死したのは113人(1.4%)。

各脂質パラメーター(LDL-C,HDL-C,non-HDL-C,総コレステロール[TC]/HDL-C比,LDL-C/HDL-C比)の1 SD増加ごとの多変量調整ハザード比*は以下のとおり。全対象者では,HDL-Cを除き,いずれも値が増加するほど有意にリスクが高くなっていた。LDL-C正常者のみを対象とした解析では,同様にnon-HDL-C,TC/HDL-C比,LDL-C/HDL-C比が増加するほど有意にリスクが高くなっていたが,LDL-Cについては有意なリスク増加はみられなかった。
*年齢,BMI,収縮期血圧,推算糸球体濾過量,糖尿病の有無,喫煙習慣により調整

・全対象者
   LDL-C: 1.36(95%信頼区間1.14-1.63)
   HDL-C: 0.84(0.68-1.04)
   non-HDL-C: 1.36(1.13-1.64)
   TC/HDL-C比: 1.37(1.16-1.62)
   LDL-C/HDL-C比: 1.40(1.19-1.65)

・LDL-C値正常者
   LDL-C: 1.09(0.82-1.44)
   non-HDL-C: 1.36(1.02-1.81)
   TC/HDL-C比: 1.40(1.11-1.78)
   LDL-C/HDL-C比: 1.32(1.02-1.73)

non-HDL-C,TC/HDL-C比,LDL-C/HDL-C比について,ROC(receiver operating characteristic: 受信者動作特性)曲線法を用いてAMIおよび突然死リスクの予測に最適なカットオフ値を検討した結果は以下のとおり。
   non-HDL-C: 全対象者131 mg/dL,LDL-C値正常者126 mg/dL
   TC/HDL-C比: 3.82,3.47
   LDL-C/HDL-C比: 2.51,1.88

これらのカットオフ値を用いて,全対象者およびLDL-C値正常者を「高値」および「低値」の2群に分けてAMIおよび突然死リスクの多変量調整ハザード比を求めた結果,いずれについても,低値群に比した高値群の有意なリスク増加がみとめられた。


◇ 結論
LDL-C値が正常(<120 mg/dL)である人の残存リスクの評価を目的として,日本人一般住民男性を対象とした5.5年間の前向きコホート研究において各脂質パラメータ(LDL-C,HDL-C,non-HDL-C,総コレステロール(TC)/HDL-C比,LDL-C/HDL-C比)と急性心筋梗塞発症および突然死リスクとの関連を検討した。その結果,LDL-C値正常者においても,non-HDL-C,TC/HDL-C比,およびLDL-C/HDL-C比は有意なリスク予測能を示しており,残存リスク評価に有用と考えられた。


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