[2006年文献] 微量アルブミン尿の危険因子は年齢,高血圧,糖尿病

微量アルブミン尿の保有率およびその危険因子について検討するため,臨床症状のない日本人一般住民を対象とした断面解析を行った。その結果,微量アルブミン尿をともなう無症候性の腎疾患は年齢層をとわずにみとめられた。微量アルブミン尿の危険因子は,年齢,高血圧,糖尿病で,女性では塩分摂取や尿酸も有意な関連を示した。アルブミン尿は糸球体損傷のマーカーになると考えられるが,一方で,微量アルブミン尿を呈さない腎機能低下例も多いことが示された。

Konta T, et al. Prevalence and risk factor analysis of microalbuminuria in Japanese general population: the Takahata study. Kidney Int. 2006; 70: 751-6.pubmed

コホート
あきらかな臨床症状を有さない40歳以上の2401人(男性1055人,女性1346人)から,データに不備のある80人を除いた2321人(断面解析)。
男性1034人(44.5 %),女性1287人(55.5 %)。
平均年齢64歳。

各因子の定義は以下のとおりとした。
・ 高血圧: 収縮期血圧≧140 mmHg,拡張期血圧≧90 mmHg,または降圧薬服用
・ 微量アルブミン尿: 朝のスポット尿における尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR: urinary albumin-creatinine ratio)が30~300 mg/g(免疫比濁法により測定)
・ 顕性アルブミン尿: UACR>300 mg/g(免疫比濁法により測定)
・ 蛋白尿: 試験紙法で1+以上
・ 糖尿病: 質問票での糖尿病既往の自己申告,空腹時血糖126 mg/dL以上,またはHbA1cが6.5 %以上
・ 肥満: BMIが25.0 kg/m2以上
・ 高脂血症: 総コレステロールが220 mg/dL以上または脂質低下薬服用
結 果
◇ 対象背景
おもな対象背景は以下のとおりとなった。
   高血圧: 57.0 %
   肥満: 31.1 %
   糖尿病: 8.7 %
   高脂血症: 32.6 %
   推定24時間尿中ナトリウム排泄: 209.1 mEq/日

男性で女性よりも有意に高い値を示したのは年齢,収縮期血圧,拡張期血圧,血清クレアチニン,推定24時間尿中ナトリウム排泄,空腹時血糖,尿酸,尿中クレアチニン,糖尿病の割合,喫煙率,飲酒者の割合で,男性で女性よりも有意に低い値を示したのは高脂血症の割合,クレアチニンクリアランス(すべてP<0.05)。

◇ アルブミン尿の保有率
微量アルブミン尿の人は13.7 %,顕性アルブミン尿は1.7 %だった。
試験紙法による蛋白尿の人は4.4 %と,微量アルブミン尿の約1/3だった。
微量アルブミン尿または顕性アルブミン尿に対する蛋白尿(試験紙法)の感度は26.8 %,特異度は99.6 %。

微量アルブミン尿はいずれの年齢層においてもみとめられ,保有率は年齢とともに増加していた。

◇ 微量アルブミン尿と腎機能低下
クレアチニンクリアランス(CCr,補正した血清クレアチニンを用いてCockcroft-Gaultの式で算出)による腎機能正常(CCr≧90 mL/分/1.73 m2)は7.6 %,腎機能軽度低下(CCr 60~89 mL/分/1.73 m2)は63.6 %,腎機能低下(CCr<60 mL/分/1.73 m2)は28.8 %だった。
それぞれの微量アルブミン尿,顕性アルブミン尿,蛋白尿(試験紙法)の割合は以下のとおり。
   腎機能正常: 13.0 %,1.7 %,5.7 %
   腎機能軽度低下: 11.8 %,1.2 %,3.8 %
   腎機能低下: 17.8 %,2.7 %,5.5 %

◇ 微量アルブミン尿の危険因子
尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR: urinary albumin-creatinine ratio)の四分位を用いて,多重ロジスティック回帰により微量アルブミン尿の危険因子の検討を行った(男性: 第1四分位数5.1 mg/g,第2四分位数8.1 mg/g,第3四分位数18.1 mg/g; 女性: 6.8 mg/g,10.1 mg/g,19.0mg/g)。
男性においてUACRと有意な関連(多変量調整)を示していたのは,年齢,高血圧,糖尿病。
女性においてUACRと有意な関連(多変量調整)を示していたのは,年齢,高血圧,糖尿病,推定24時間尿中ナトリウム排泄,尿酸,血中アルブミン。


◇ 結論
微量アルブミン尿の保有率およびその危険因子について検討するため,臨床症状のない日本人一般住民を対象とした断面解析を行った。その結果,微量アルブミン尿をともなう無症候性の腎疾患は年齢層をとわずにみとめられた。微量アルブミン尿の危険因子は,年齢,高血圧,糖尿病で,女性では塩分摂取や尿酸も有意な関連を示した。アルブミン尿は糸球体損傷のマーカーになると考えられるが,一方で,微量アルブミン尿を呈さない腎機能低下例も多いことが示された。


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