[2010年文献] 高血圧かつ喫煙習慣のある男性では,どちらか一方の人よりも長期的な医療費が高くなる

国民健康保険に加入している一般住民の前向きコホート研究において,男性を対象に,高血圧,喫煙,およびその両方をもつ場合の,長期的な医療費への影響を検討した。平均9.1年間の追跡の結果,高血圧と喫煙のいずれにも該当しない人に比した個人の医療費は,喫煙のみ<高血圧のみ<高血圧と喫煙の両方に該当する人,の順で高額になっていた。

Nakamura K, et al. Medical expenditures of men with hypertension and/or a smoking habit: a 10-year follow-up study of National Health Insurance in Shiga, Japan. Hypertens Res. 2010; pubmed

コホート
滋賀国保コホート研究。
1989~1991年に健診を受診した40~69歳の国民健康保険加入者の男性1939人のうち,禁煙者の229人,喫煙に関するデータのない2人を除いた1708人を,2001年まで平均9.1年間追跡(15508人・年)。
女性では,喫煙者(3.4%),禁煙者(0.5%)とも非常に低かったことから,解析を行わなかった。

高血圧およびベースライン時の喫煙習慣の有無によって,対象者を「いずれもなし」「高血圧のみ」「喫煙のみ」「高血圧+喫煙」の4つのカテゴリーのいずれかに分類した。

人口寄与度割合(population attributable fraction)と同様の考え方で,高血圧,喫煙およびその両方が寄与する(高血圧も喫煙もなければ発生しなかった)集団の医療費を,以下のように推算した。

高血圧,喫煙およびその両方が寄与する医療費(1か月あたり)
=(該当者の医療費[算術平均]-「いずれもなし」の人の医療費[算術平均])×該当者数
結 果
◇ 対象背景
喫煙率は68.1%。
「高血圧+喫煙」は24.9%,「高血圧のみ」は11.9%,「喫煙のみ」は43.2%であった。
「高血圧+喫煙」の人は,4つのカテゴリーのなかでもっとも年齢が高かった。

◇ 高血圧,喫煙,およびその組合せと個人の医療費
高血圧および喫煙の有無別の,個人の医療費(加入1か月あたり,幾何平均値)は以下のとおりで,「高血圧+喫煙」の人では医療費が有意に高額となった(年齢,BMI,飲酒,総コレステロールおよび糖尿病既往で調整)。

  いずれもなし:6782円
  喫煙のみ: 7066円
  高血圧のみ: 9072円
  高血圧+喫煙: 10721円(P<0.05 vs. 「いずれもなし」,P<0.05 vs. 「喫煙のみ」)

以上の結果は,降圧薬服用者(80人)を除いた解析でも同様であった。

◇ 高血圧,喫煙,およびその組合せと個人の外来・入院医療費
高血圧および喫煙の有無別の,個人の外来および入院医療費(加入1か月あたり,算術平均値)は以下のとおりで,入院医療費については4つのカテゴリー間に有意差がみとめられた(P<0.01[ANCOVA])。

  いずれもなし: 外来8508円,入院8910円
  喫煙のみ: 8606円,9852円
  高血圧のみ: 13276,7976円
  高血圧+喫煙: 14235円,16801円

◇ 期間別の解析
5年間超の追跡が可能だった1491人について,追跡期間の10年間を前半の5年間と後半の5年間に分けた解析を行った。
その結果,前半にくらべて後半のほうが,4つのカテゴリー間の医療費の差が大きくなる傾向がみられた。

◇ 高血圧および喫煙が寄与する集団の医療費の増加
高血圧,喫煙,およびその両方が寄与する集団の医療費(算術平均,1か月あたり)は以下のとおり。

  喫煙のみ: 75万7188円(対象者全体の医療費の2.0%)
  高血圧のみ: 78万2136円(2.1%)
  高血圧+喫煙: 580万1694円(15.6%)


◇ 結論
国民健康保険に加入している一般住民の前向きコホート研究において,男性を対象に,高血圧,喫煙,およびその両方をもつ場合の,長期的な医療費への影響を検討した。平均9.1年間の追跡の結果,高血圧と喫煙のいずれにも該当しない人に比した個人の医療費は,喫煙のみ<高血圧のみ<高血圧と喫煙の両方に該当する人,の順で高額になっていた。


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