[2006年文献] アディポネクチン低値は,耐糖能異常(IFG+IGT+糖尿病)発症の有意な危険因子

アディポネクチン低値は,耐糖能異常(IFG+IGT+糖尿病)発症の有意な危険因子であることが明らかになった。血中アディポネクチン値を測定することによって耐糖能異常のリスクが高い人を特定できる可能性がある。一方,アディポネクチン高値が耐糖能異常の予防因子となるかどうかについても検討がまたれる。

Vendramini MF, et al.; Japanese-Brazilians Diabetes Study Group. Plasma adiponectin levels and incident glucose intolerance in Japanese-Brazilians: a seven-year follow-up study. Diabetes Res Clin Pract. 2006; 73: 304-9.pubmed

コホート
1993年,ブラジルのサンパウロ州バウルに住む40~79歳の日系ブラジル人1世および2世の計647人について第1回調査を行った。死亡した69人,転居した57人,参加拒否した127人を除いた394人が1999~2000年の第2回調査に参加し,うち第1回調査の経口ブドウ糖負荷試験において耐糖能が正常だった210人について,約7年間の追跡データを検討した。(男性97人,女性113人)。
平均年齢は56.7歳。
結果
なんらかの耐糖能異常状態を示したのは158人(75.2 %)。うち空腹時高血糖(impaired fasting glucose,IFG)は42人,耐糖能異常(impaired glucose tolerance,IGT)は73人,糖尿病は43人で,いずれも未発症だったのは52人だった。
なんらかの耐糖能異常状態を示した人の割合は,女性(64.6 %)よりも男性(87.6 %)のほうが有意に高かった(P<0.001)。
なおこの論文では,IFG,IGT,糖尿病をまとめて「耐糖能異常」として扱っている。

耐糖能異常群(IFG+IGT+糖尿病)で未発症群よりも有意に高い値を示していたのはBMI,ウエスト周囲長,空腹時血糖,食後2時間血糖およびトリグリセリドで,未発症群よりも有意に低い値を示していたのはHDL-C。

耐糖能異常群の第1回調査時の血中アディポネクチン値(8.0 microgram/mL)は,未発症群(12.2 microgram/mL)よりも有意に低い値を示していた(P<0.001)。
また,血中アディポネクチン値は男性(6.97 microgram/mL)のほうが女性(11.01 microgram/mL)よりも低く(P<0.001),性別(男性)は血中アディポネクチン低値の有意な予測因子であった。

第1回調査時の血中アディポネクチン値の三分位により,全体を以下の3群に分けた。
   低値群: 5.27 microgram/mL以下
   中間値群: 5.28~9.90 microgram/mL
   高値群: 9.91 microgram/mL以上

血中アディポネクチン値は耐糖能異常の発症率と有意な逆相関を示した(P=0.001)。区分ごとの発症率は,低値群で40 %,中間値群で33 %,高値群で 27%だった。

多変量ロジスティック解析を行った結果,耐糖能異常発症の独立した予測因子はアディポネクチン低値および中間値,性別(男性),空腹時血糖,ウエスト周囲長だった。各因子のオッズ比は以下のとおり。
   アディポネクチン 5.28~9.90 microgram/mL: 0.33 (95 %信頼区間0.12-0.90,vs. 0.85-5.27 micrgram/mL,P=0.030)
   アディポネクチン 9.90 microgram/mL以上: 0.31 (0.12-0.84,vs. 0.85-5.27 microgram/mL,P=0.021)
   性別(男性): 2.61 (1.21-5.65,vs. 女性,P=0.015)
   空腹時血糖: 3.05 (1.35-6.91,P=0.008)
   ウエスト周囲長: 1.04 (1.00-1.08,P=0.046)

以上のように,アディポネクチン低値は,耐糖能異常(IFG+IGT+糖尿病)発症の有意な危険因子であることが明らかになった。血中アディポネクチン値を測定することによって耐糖能異常のリスクが高い人を特定できる可能性がある。一方,アディポネクチン高値が耐糖能異常の予防因子となるかどうかについても検討がまたれる。


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