[1979年文献] 脳実質内の動脈硬化および脳梗塞は日本で多く,ウイリス動脈輪の動脈硬化はホノルルで多かった
ウイリス動脈輪の動脈硬化の頻度は,ホノルルのほうが日本よりも高かった,一方,脳実質内の動脈硬化および脳梗塞の頻度は,日本のほうがホノルルよりも高かった。
Mitsuyama Y, et al. Autopsy study of cerebrovascular disease in Japanese men who lived in Hiroshima, Japan, and Honolulu, Hawaii. Stroke. 1979; 10: 389-95.
- コホート
- ・ 日本コホート: 1965~1971年に死亡し,剖検された日本人男性186人(死亡時年齢45~71歳)。うち184人について,ウイリス動脈輪の動脈硬化進行度を評価した。
・ ホノルルコホート: 1965~1971年に死亡し,剖検された日系人男性253人(死亡時年齢45~71歳)。うち88人について,ウイリス動脈輪の動脈硬化進行度を評価した。 - 結 果
- 身長の分布は日本とホノルルでほぼ同等だったが,体重および心重量はホノルルのほうが日本よりも有意に大きかった。
・ 脳出血: 頻度は日本とホノルルで同程度だった。
・ 脳梗塞: 最近の脳梗塞跡の頻度は日本とホノルルで同程度だったが,古い脳梗塞跡の頻度は日本のほうがホノルルよりも有意に高かった(P<0.01)。脳梗塞の頻度は死亡時年齢とともに上昇し,その傾向は両コホートで同様だった。
・ 脳実質内の動脈硬化: 日本のほうがホノルルよりも有意に多かった(P<0.01)。脳実質内の動脈硬化は死亡時年齢とともに進行し,この傾向は両コホートで同様だった。
・ ウイリス動脈輪(脳実質外)の動脈硬化: 年齢調整後の動脈硬化スコアは,ホノルルのほうが日本よりも有意に高かった。ウイリス動脈輪の動脈硬化は死亡時年齢とともに進行し,この傾向は両コホートで同様だった。
以上のように,ウイリス動脈輪の動脈硬化の頻度は,ホノルルのほうが日本よりも高かった,一方,脳実質内の動脈硬化および脳梗塞の頻度は,日本のほうがホノルルよりも高かった。