[1990年文献] 日本は世界に比べ致死的脳卒中が多く死因の5分の1を占める。年齢と血圧が脳卒中死と有意に相関

Menotti A, et al. Twenty-year stroke mortality and prediction in twelve cohorts of the Seven Countries Study. Int J Epidemiol. 1990; 19: 309-15.pubmed

コホート
追跡期間は登録から20年。
結 果
・脳卒中死亡率(年齢調整後)をコホートごとにみると,最も高いのはZrenjanin(セルビア共和国)78/1000人,最も低いのはZutphen(オランダ)22/1000人で,3倍以上の較差がみられた。
地域を合わせて国別にみると,ユーゴスラビアが67/1000人,日本(福岡県田主丸町+熊本県牛深市)が62/1000人で高く,オランダが低かった(22/1000人)。
・冠動脈疾患(CHD)死はフィンランドが192/1000人で最も多く,次いでオランダ122/1000人,少ないのがギリシャ24/1000人,日本30/1000人であった。
・脳卒中死/全死亡の割合とCHD死/全死亡の割合と逆の傾向がみられた。
全死亡における脳卒中死,CHD死の割合は,フィンランド(8.4%,44.6%),オランダ(6.9%,38.2%),イタリア(12.6%,25.8%),ユーゴスラビア(18.9%,22.4%),ギリシャ(17.9%,11.9%),日本(19.0%,9.2%)。

・脳卒中死と有意な負の相関係数を示したのが,収縮期血圧(-0.63),拡張期血圧(-0.51),平均血圧(-0.72),総コレステロール(-0.72),有意な相関がみられなかったのはBMI,喫煙,身体活動であった。
国ごとにCoxモデルでみると,年齢と平均血圧のみが有意な正の相関を示し,喫煙,総コレステロール,BMI,身体活動は正の相関はみられなかった。ただし,喫煙に関しギリシャでは有意な負の相関,ユーゴスラビアでは有意な正の相関がみられた。
国ごとの脳卒中死との相関係数のt値 (≧1.96はp<0.05)
危険因子 フィンランド オランダ イタリア ユーゴスラビア ギリシャ 日本
年齢 5.56 2.66 5.34 3.89 3.07 5.27
身体活動 0.14 0.82 -0.88 -1.26 -1.44 0.13
BMI 0.91 -1.85 -1.76 -0.77 -1.20 0.35
総コレステロール値 -0.67 0.20 0.41 -0.74 -1.93 -0.48
喫煙 0.60 0.48 0.31 2.12 -2.65 0.37
平均血圧 5.08 2.19 6.58 6.78 4.90 5.82


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