[2006年文献] 日本人の脂質の摂取,血中脂質濃度,BMI,ヘモグロビン,およびフィブリノーゲンは日系人に比べて望ましい傾向を示したが,喫煙率と血圧はより高い値を示した

脂質摂取,血中脂質濃度,BMI,ヘモグロビンA1cおよびフィブリノーゲンでは,日本人のほうが日系人に比べて望ましい傾向を示した。一方,日本人の塩分摂取,喫煙率および血圧(男性のみ)は日系人よりも高かった。また,これらの因子の日本人と日系人の差は,女性よりも男性で顕著であった。こうした冠動脈疾患の危険因子の違い,特に脂質の摂取および血中脂質濃度が,日米の冠動脈疾患リスクの違いに影響を及ぼしている可能性が示唆される。

Ueshima H, et al.; INTERLIPID Research Group. Differences in cardiovascular disease risk factors between Japanese in Japan and Japanese-Americans in Hawaii: the INTERLIPID study. J Hum Hypertens. 2003; 17: 631-9.pubmed

コホート
1997年のINTERMAP研究の参加者(40~59歳)のうち,日本人の4集団(北海道札幌市,富山県黒部市,滋賀県愛東町(現・東近江市),和歌山県和歌山市)の計1145人(男性574人,女性571人),および米国ハワイ州ホノルルに住む日系人3世および4世の1集団267人(男性136人,女性131人),計1412人について補足的に血液検査を行い,INTERLIPID研究とした。
結 果
◇日本人で日系人よりも有意に高い値を示した主な因子
・喫煙率(%): 日本人男性 51.7,女性 8.6 > 日系人男性13.2,女性4.6
・飲酒率(%): 96.9,82.3 > 72.8,41.2
・血圧(mmHg): 男性のみ,120.4 / 76.8 > 117.9 / 73.9
・血清HDL-C(mg/dL): 男性のみ,53.7 > 50.2
・n-3系多価不飽和脂肪酸摂取(g/日): 3.4,2.7 > 2.3,1.8
・不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比(P/S比): 1.1,1.0 > 0.8,0.9
・コレステロール摂取(mg/日): 445.8,358.9 > 324.6,242.8
・24時間尿中ナトリウム排泄(mmol/日): 210.5,186.0 > 176.1,131.3
・尿中ナトリウム/カリウム比: 4.5,4.1 > 3.6,3.3

◇日系人で日本人よりも有意に高い値を示した主な因子
・降圧薬服用率(%): 日本人男性5.9,女性6.5 < 日系人男性27.2,女性24.4
・体重(kg): 66.9,55.5 < 78.7,61.0
・BMI(kg/m2): 23.7,23.2 < 28.1,25.9
・血清総コレステロール(mg/dL): 199.3,202.3 < 209.8,211.5
・血清LDL-C(mg/dL): 120.5,123.8 < 134.1,137.0
・血清トリグリセリド(mg/dL): 134.8,97.8 < 196.6,138.0
・血清ヘモグロビンA1c(%): 4.80,4.60 < 5.00,4.70
・血清フィブリノーゲン(mg/dL): 253.7,258.6 < 287.8,310.6
・総脂肪摂取(g/日): 60.6,53.0 < 88.8,66.0
・飽和脂肪酸摂取(g/日): 15.6,14.4 < 26.4,19.7
・一価不飽和脂肪酸摂取(g/日): 22.0,19.2 < 34.0,25.0
・多価不飽和脂肪酸摂取(g/日): 15.8,13.4 < 21.1,16.0
・ビタミンA摂取(IU/日): 6187.5,6229.4 <9491.9,8636.2
・βカロテン摂取(microg/日): 2858.6,3099.9 < 5015.8,4597.4
・カルシウム摂取(mg/日): 605.4,606.9 < 654.1,528.8
・マグネシウム摂取(mg/日): 287.9,249.9 < 389.6,280.9
・鉄摂取(mg/日): 11.4,9.9 < 20.0,15.2

以上のように,脂質摂取,血中脂質濃度,BMI,ヘモグロビンA1cおよびフィブリノーゲンでは,日本人のほうが日系人に比べて望ましい傾向を示した。一方,日本人の塩分摂取,喫煙率および血圧(男性のみ)は日系人よりも高かった。また,これらの因子の日本人と日系人の差は,女性よりも男性で顕著であった。こうした冠動脈疾患の危険因子の違い,特に脂質の摂取および血中脂質濃度が,日米の冠動脈疾患リスクの違いに影響を及ぼしている可能性が示唆される。


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