[2008年文献] 男性では,日米のアディポネクチンの差にBMIが大きく寄与している

先行する研究において日本人の血清アディポネクチン値がハワイの日系人よりも高いことが示されたことから,この違いに寄与している可能性のある因子について,断面解析により比較・検討した。その結果,日本人のアディポネクチンはハワイの日系人よりも有意に高く,男性では,この差に日米のBMIの顕著な違いが大きく寄与していると考えられた。

Nakamura Y, et al.; INTERLIPID Research Group. Relation of dietary and other lifestyle traits to difference in serum adiponectin concentration of Japanese in Japan and Hawaii: the INTERLIPID Study. Am J Clin Nutr. 2008; 88: 424-30.pubmed

コホート
INTERMAP研究の参加者(40~59歳)から,日本の地域コホートおよびハワイの日系人コホートを対象とした。
・ 日本: 滋賀県愛東町(現・東近江市)の地域住民258人のうち,CRP>10 mg/Lの9人を除いた249人(男性124人,女性125人)。
・ ハワイ: 米国ハワイ州ホノルルに住む日系人(両親ともに純粋な日本人)3世および4世206人のうち,CRP>10 mg/Lの3人を除いた203人(男性99人,女性104人)。
結 果
◇ 対象背景
血清アディポネクチン値は,男女とも日本人のほうが日系人よりも有意に高かった。
   男性: 日本人10.5 μg/mL,日系人6.7 μg/mL (P=0.002)
   女性: 12.9 μg/mL,9.4 μg/mL (P<0.0001)

その他,日本人でハワイの日系人よりも有意に高い値を示したのは,喫煙率(男性のみ),身体活動の時間。
一方,ハワイの日系人で日本人よりも有意に高い値を示したのは,体重,BMI,降圧薬服用の割合,脂質低下薬服用の割合,LDL-C,CRP(女性のみ),ヘモグロビンA1c。

◇ 栄養素の摂取状況
日本人で,ハワイの日系人よりも総摂取エネルギーに占める割合(%kcal)が有意に高かった栄養素は,植物性蛋白質,炭水化物,n-3系多価不飽和脂肪酸, エイコサペンタエン酸(EPA),ドコサヘキサエン酸(DHA),ドコサペンタエン酸(DPA),EPA+DHA+DPA,アルコール(男性のみ)で,1000 kcalあたりのコレステロール摂取量も有意に高かった。
一方,ハワイの日系人で,日本人よりも総摂取エネルギーに占める割合(%kcal)が有意に高かった栄養素は,蛋白質(男性のみ),非植物性蛋白質,総脂肪,飽和脂肪酸,一価不飽和脂肪酸,多価不飽和脂肪酸,n-6系多価不飽和脂肪酸,アラキドン酸で,1000 kcalあたりの繊維質摂取量(男性のみ),およびKeysスコア(男性のみ)も有意に高かった。

◇ アディポネクチン値の違いに寄与している因子
重回帰分析により,対数変換したアディポネクチン値の日米差に寄与している因子を検討した。

・ 男性
地域(site)および年齢で調整したモデルにBMIを加えると,アディポネクチンの差が92 %減弱し,有意差が失われた。すなわち,日米のアディポネクチンの差のほとんどは,日本人とハワイの日系人のBMIの顕著な差によるものと考えられた。

・ 女性
地域(site)および年齢で調整したモデルにBMIを加えても,アディポネクチンの差の減弱は29 %にとどまり,有意差も失われなかった。さらに,身体活動を加えてもアディポネクチンの差は有意なままだった。また非植物性蛋白質,n-3系多価不飽和脂肪酸,アラキドン酸,摂取コレステロールによる調整を行った結果,アディポネクチンの差は減弱したものの,いずれもアディポネクチンとの有意な関連はみとめられなかった。


◇ 結論
先行する研究において日本人の血清アディポネクチン値がハワイの日系人よりも高いことが示されたことから,この違いに寄与している可能性のある因子について,断面解析により比較・検討した。その結果,日本人のアディポネクチンはハワイの日系人よりも有意に高く,男性では,この差に日米のBMIの顕著な違いが大きく寄与していると考えられた。


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