[2006年文献] 植物性蛋白質の摂取は血圧と逆相関する

Elliott P, et al. Association between protein intake and blood pressure: the INTERMAP Study. Arch Intern Med. 2006; 166: 79-87.pubmed

コホート
1997~1999年にかけてINTERMAP研究に参加した4か国17集団の40~59歳の男女4895人のうち,4回の健診を完了しなかった110人,食事データの信頼性が低かった7人,1日の摂取カロリーが極端だった(500 kcal未満または男性8000 kcal超,女性5000 kcal超)だった37人,2回の24時間蓄尿を完了しなかった37人,その他のデータが不十分だった,または実施マニュアルから逸脱したデータ収集が行われた24人を除いた,4680人(男性2359人,女性2321人)。
日本は1145人(4集団),中国は839人(3集団),イギリスは501人(2集団),アメリカは2195人(8集団)。
全体の平均参加率は49%。
主要栄養素の摂取量については24時間思い出し法(4日間),微量栄養素(ミネラル)については24時間蓄尿(2日間)によるデータを収集し,蛋白質と血圧の関係を検討した。
結 果
各国の平均収縮期血圧(SBP),拡張期血圧(DBP)は以下のとおり。
   [日本] 117.2 / 73.6, [中国]] 121.3 / 73.2, [イギリス] 120.4 / 77.3, [アメリカ] 118.6 / 73.4

BMI,総摂取エネルギー,および動物性蛋白質が総摂取エネルギーに占める割合は,いずれも米国人でもっとも高く,中国人でもっとも低かった。
植物性蛋白が総摂取エネルギーに占める割合は,中国人でもっとも高く,米国人でもっとも低かった。
各国の総蛋白質が総摂取エネルギーに占める割合(%)は以下のとおり。かっこ内はそれぞれ動物性蛋白質,植物性蛋白質を示す。
    [日本] 16.0 (8.9,7.1), [中国] 12.4 (2.5,10.0), [イギリス] 15.8 (9.8,6.1), [アメリカ] 15.5 (10.2,5.2)

偏相関分析によると,動物性蛋白質と植物性蛋白質の摂取は逆相関した(r = -0.36)。

重回帰分析によると,植物性蛋白質の摂取は血圧と有意な逆相関を示した。
総摂取エネルギーを100%としたときに植物性蛋白質の摂取を2.8%増やすと,SBPが-1.95 mmHg,DBPが-1.22 mmHgと,有意に減少した(P<0.001,年齢,性別,身長および体重で補正後)。
また,動物性蛋白質の摂取と血圧は有意に相関したものの,種々の因子補正後にその有意性は消失した。
総蛋白質の摂取と血圧は,男性でのみ,年齢,身長および体重で補正後に有意な逆相関を示した。女性では相関は見られなかった。

動物性および植物性蛋白質の摂取量ごとに各国の参加者をそれぞれ四分位に分け,特に以下の2つのグループについて検討を行った。
植物性蛋白質群(植物性蛋白質はもっとも高い四分位かつ動物性蛋白質はもっとも低い四分位)の491例では,総摂取エネルギーの4.3%を動物性,9.1%を植物性蛋白質から摂取していた。
動物性蛋白質群(植物性蛋白質はもっとも低い四分位かつ動物性蛋白質はもっとも高い四分位)の471例では,総摂取エネルギーの12.0%を動物性,5.4%を植物性蛋白質から摂取していた。
この2群間には有意な血圧の差があり,動物性蛋白質群は植物性蛋白質群よりもSBPが4.15 mmHg(P<0.001),DBPが2.15 mmHg(P<0.01)高いことがわかった。

また,この2群間で18種類のアミノ酸が総蛋白質摂取に占める割合を比較したところ,17のアミノ酸について有意差がみられた。
植物蛋白質群が動物蛋白質群にくらべて有意に多く摂取していたのは,グルタミン酸,シスチン,プロリン,フェニルアラニン,セリン。

植物性蛋白質の摂取が血圧と逆相関することから,植物性蛋白質の摂取を増やすことは,高血圧およびそれに連なる疾患を予防し,健康な生活に結びつくと考えられる。


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