[2003年文献] 日本人は,欧米人にくらべて塩分の摂取が多く,脂肪の摂取が少ない

日本人では欧米人にくらべてナトリウム摂取量が大きく,カリウム,エネルギー,脂肪の摂取量およびBMIが小さいことがわかった。また,n-3多価不飽和脂肪酸およびコレステロールの摂取量が大きいこと,アルコール摂取量が大きいことが特徴的だった。

Zhou BF, et al.; INTERMAP Research Group. Nutrient intakes of middle-aged men and women in China, Japan, United Kingdom, and United States in the late 1990s: the INTERMAP study. J Hum Hypertens. 2003; 17: 623-30.pubmed

コホート
1997~1999年にINTERMAP研究に参加した,4か国17集団の40~59歳の男女4680人(男性2359人,女性2321人)。
日本1145人,中国839人,イギリス501人,アメリカ2195人。
平均年齢は男性48.1~49.6歳,女性48.6~49.2歳。
主要栄養素の摂取量については24時間思い出し法(4日間),ミネラルについては24時間蓄尿(2日間)よりデータを得た。
結 果
 ・BMI: 各国の値は以下のとおりで,欧米よりもアジア人のほうが顕著に低かった(それぞれ男性,女性の値)。
    日本(23.7,23.2),中国(22.4,23.9),イギリス(27.7,27.2),アメリカ(29.1,28.7)
 ・1日の総摂取エネルギー: アメリカでもっとも高く(2609 kcal,1876 kcal),アジア人では低い傾向。日本人は2278 kcal,1798 kcal。

各主要栄養素の摂取量には,各国間,特に欧米人とアジア人との間で以下のように大きな違いがみられた。この背景には,食事様式の違いがあると考えられる。数値はそれぞれ男性,女性の値。
 ・脂肪: 脂肪が総摂取エネルギーに占める割合は,アメリカでもっとも高く(33.3%,32.6%),アジア人では低い傾向。日本人は23.7%,26.1%。
  飽和脂肪酸が総摂取エネルギーに占める割合は,イギリスでもっとも高く(12.0%,12.2%),アジア人では低い傾向。日本人は6.1%,7.1%。
  n-3多価不飽和脂肪酸が総摂取エネルギーに占める割合は,日本人でもっとも高く(1.3%,1.4%),他の3カ国(いずれも0.5~0.8%)に対する顕著な差が見られた。これは日本人が魚をよく食べるためと考えられる。
  コレステロール摂取量は,日本人でもっとも高く(1日446 mg,359 mg),中国人でもっとも低かった(218 mg,146 mg)。これは日本人が卵をよく食べるためと考えられる。
 ・炭水化物: 炭水化物が総摂取エネルギーに占める割合は,中国人でもっとも高く(61.8%,68.1%),欧米人で低い傾向(イギリス人で46.6%,48.3%)。日本人は52.3%,56.2%。
 ・蛋白質: 総摂取エネルギーのうち総蛋白質が占める割合は中国人で12.6%,12.2%%と他の国(15~16%)よりも顕著に低い値を示した。これは,中国人が動物性蛋白質をあまり摂取しないためと考えられる。日本人は15.8%,16.1%。
 ・アルコール: アルコールが総摂取エネルギーに占める割合がもっとも高かったのは日本人男性(8.2%)。

各国のミネラル摂取量の特徴は以下のとおり。数値はそれぞれ男性,女性の値(24時間蓄尿から算出)。
 ・ナトリウム: 中国人でもっとも高く(5633 mg,4839 mg),欧米人で2929~4202 mgと低い傾向。日本人は4843 mg,4278 mg。
 ・カリウム: 欧米人で1982~2912 mgと高く,アジア人で1475~1920 mgと低い傾向。日本人は1920 mg,1891 mg。
 ・ナトリウム/カリウム比: 中国人でもっとも高く(6.8,6.0),欧米人では2.2~3.1と低い傾向。日本人は4.5,4.1。
 ・カルシウム: 欧米人で699~1013 mgと高く,アジア人で256~607 mgと低い傾向。
 ・マグネシウム: 日本人でもっとも低かった(288 mg,250 mg)。
 ・鉄: 日本人でもっとも低かった(11.4 mg,9.9 mg)。

以上のように,日本人では欧米人にくらべてナトリウム摂取量が大きく,カリウム,エネルギー,脂肪の摂取量およびBMIが小さいことがわかった。また,n-3多価不飽和脂肪酸およびコレステロールの摂取量が大きいこと,アルコール摂取量が大きいことが特徴的だった。


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