[2013年文献] 生野菜の摂取量は,調理済野菜よりも血圧との負の関連が強い

生または調理された野菜の摂取と血圧との関連について検討した初めての研究である。INTERMAPの米国コホート参加者において,生野菜の摂取量と調理済野菜の摂取量はいずれも血圧との有意な負の関連を示しており,関連は調理済野菜よりも生野菜のほうが強かった。個別の野菜の摂取についてみると,摂取量が多かった野菜のうち,血圧との有意な負の関連がみとめられたのは生野菜ではトマト,にんじん,エシャロットで,調理済野菜ではトマト,さやえんどう,セロリ,エシャロットであった。

Chan Q, et al. Relations of raw and cooked vegetable consumption to blood pressure: the INTERMAP Study. J Hum Hypertens. 2013; pubmed

コホート
INTERMAP研究に参加した米国8集団の40~59歳の2195人(断面解析)。
結 果
◇ 対象背景
総摂取エネルギー1000 kcalあたりの生野菜の摂取量は,男性で27.4 g,女性で36.5 gで,調理済野菜(ジャガイモ,サツマイモを除く)の摂取量はそれぞれ56.2 g,65.2 gであった。

野菜の摂取量が中央値より多い人で,少ない人にくらべて高い値を示していたのは年齢,教育年数,生の果物の摂取量,低脂肪・無脂肪乳製品の摂取量,繊維質の多いシリアルや穀物類の摂取量,魚介類の摂取量で,低い値を示していたのは喫煙率,総摂取エネルギー,血圧,BMI,肉の摂取量であった。

よく摂取されていた生野菜はキャベツ,にんじん,セロリ,きゅうり,にんにく,生姜,ピーマン,結球レタス,ロメインレタス,玉ねぎ,エシャロット(scallion),トマトで,これらが生野菜の摂取全体の45%を占めていた。
よく摂取されていた調理済野菜はブロッコリー,にんじん,セロリ,さやいんげん,ピーマン,マッシュルーム,玉ねぎ,さやえんどう,エシャロット,トマト,缶詰のトマト,およびトマトソースで,これらが調理済野菜の摂取全体の39%を占めていた。

◇ 野菜の摂取量と各栄養素の摂取量の関連
生野菜および調理済野菜のそれぞれの1000 kcalあたりの摂取量の四分位によるカテゴリーに対象者を分類した。
生野菜,調理済野菜のどちらについても摂取量がもっとも低い四分位に分類された157人の野菜摂取量は1000 kcalあたり21.5 gで,生野菜,調理済野菜のどちらについても摂取量がもっとも高い四分位に分類された184人の野菜摂取量は,1000 kcalあたり202.3 gであった。
生野菜,調理済野菜のどちらの摂取量も多い人で,どちらも少ない人にくらべて有意に摂取量が多かったのは生の果物,果物,繊維豊富なシリアルや穀物類,繊維,でん粉,植物性蛋白質,グルタミン酸,n-3系多価不飽和脂肪酸,リン,マグネシウム,カルシウム,鉄,非ヘム鉄,銅,ビタミンA,C,E,B6,葉酸,パントテン酸,有意に摂取量が少なかったのは糖,飽和脂肪酸,一価不飽和脂肪酸,トランス脂肪酸で,総摂取エネルギーも低かった(いずれもP<0.001)。
また,生野菜,調理済野菜のどちらの摂取量も多い人では,どちらも少ない人にくらべて尿中カリウム排泄量,尿中マグネシウム排泄量が有意に高く,尿中ナトリウム/カリウム排泄量比が有意に低かった(いずれもP<0.001)。

偏相関分析を行うと,生野菜の摂取量と調理済野菜の摂取量(いずれもg/1000kcal)との相関度は低かった(r=0.10)。野菜に含まれる栄養素の摂取量との相関度は,全体に調理済野菜のほうが生野菜よりも強かった(例: 繊維質との関連は生野菜r=0.32,調理済野菜r=0.46)。

◇ 野菜の摂取量と血圧の関連
(1)生野菜
生野菜の摂取量の2 SD(1000 kcalあたり67.9 g)増加と血圧との関連は以下のとおりで,収縮期血圧(SBP),拡張期血圧(DBP)とも,多変量調整後も有意な負の関連がみとめられた(年齢,性別,集団,教育年数,身体活動,喫煙,心血管疾患または糖尿病既往,高血圧家族歴,特別な食事,サプリメント使用,尿中ナトリウム排泄量,飲酒,多価不飽和脂肪酸摂取量,飽和脂肪酸摂取量,コレステロール摂取量で調整)。これらの結果に,
  SBP: -1.92 mmHg(95%信頼区間-3.07,-0.77),P=0.001
   さらにBMIにより調整すると-1.32 mmHg(-2.43,-0.22),P=0.019
  DBP: -1.03 mmHg(-1.81,-0.24),P=0.011
   さらにBMIにより調整すると-0.69 mmHg(-1.45,0.08),P=0.079

摂取量の多かった12の生野菜のうち,多変量調整後も摂取量とSBPまたはDBPとの有意な負の関連がみとめられたのはトマト,にんじん,およびエシャロット。

また,生野菜の摂取量の四分位によるカテゴリー間でSBPおよびDBPを比較すると,摂取量が多いほど血圧が低い有意な傾向がみとめられた(SBP: P for trend=0.02,DBP: P for trend=0.003)。

(2)調理済野菜
調理済野菜の摂取量の2 SD(1000 kcalあたり92.3 g)増加と血圧との関連は以下のとおりで,SBPについては多変量調整後も有意な負の関連がみとめられたが,DBPについては有意な関連はなし。
  SBP: -1.31 mmHg(95%信頼区間-2.47,-0.16),P=0.026
   さらにBMIにより調整すると-0.90 mmHg(-2.01,0.20),P=0.108
  DBP: -0.40 mmHg(-1.19,0.39),P=0.315
   さらにBMIにより調整すると-0.17 mmHg(-0.94,0.60),P=0.664

摂取量の多かった12の調理済野菜のうち,多変量調整後も摂取量とSBPまたはDBPとの有意な負の関連がみとめられたのはセロリ,さやえんどう,エシャロット,トマト。

(3)生野菜+調理済野菜
生野菜,および調理済野菜の摂取量の両方を含めた解析において,それぞれ摂取量の2 SD増加と血圧との関連は以下のとおりで,SBP,DBPのいずれについても,調理済野菜よりも生野菜のほうが血圧と強い負の関連を示していた。
・SBP
  生野菜: -1.84 mmHg(95%信頼区間-3.00,-0.69),P=0.002
   さらにBMIにより調整すると-1.28 mmHg(-2.38,-0.17),P=0.023
  調理済野菜: -1.20 mmHg(-2.36,-0.05),P=0.041
   さらにBMIにより調整すると-0.83(-1.94,0.27),P=0.139

・DBP
  生野菜: -1.01(-1.79,-0.22),P=0.012
   さらにBMIにより調整すると-0.68 mmHg(-1.45,0.09),P=0.083
  調理済野菜: -0.34(-1.14,0.45),P=0.393
   さらにBMIにより調整すると-0.13 mmHg(-0.90,0.64),P=0.737

また,生野菜と調理済野菜の摂取量を合計した野菜総摂取量の2 SD(1000 kcalあたり121.0 g)増加と血圧との関連は以下のとおりで,摂取量と血圧との有意な負の関連がみとめられた。
  SBP: -2.19 mmHg(-3.38,-1.01),P=2.8×10-4
   さらにBMIにより調整すると-1.52 mmHg(-2.65,-0.38),P=0.009
  DBP: -0.93 mmHg(-1.74,-0.12),P=0.024
   さらにBMIにより調整すると-0.54 mmHg(-1.33,0.24),P=0.175


◇ 結論
生または調理された野菜の摂取と血圧との関連について検討した初めての研究である。INTERMAPの米国コホート参加者において,生野菜の摂取量と調理済野菜の摂取量はいずれも血圧との有意な負の関連を示しており,関連は調理済野菜よりも生野菜のほうが強かった。個別の野菜の摂取についてみると,摂取量が多かった野菜のうち,血圧との有意な負の関連がみとめられたのは生野菜ではトマト,にんじん,エシャロットで,調理済野菜ではトマト,さやえんどう,セロリ,エシャロットであった。


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