[2007年文献] 日本は心血管疾患死亡率がもっとも低かった

アテローム血栓症例および高リスク例では心血管イベントの年間発症率が高いことがわかったが,日本の死亡率,心血管疾患死亡率,非致死的心筋梗塞発症率は,いずれももっとも低かった。

Steg PG, et al.; REACH Registry Investigators. One-year cardiovascular event rates in outpatients with atherothrombosis. JAMA. 2007; 297: 1197-206.pubmed

コホート
世界44か国において,冠動脈疾患(CAD),脳血管疾患(CVD),末梢動脈疾患(PAD)のいずれかのアテローム血栓症を持っている,またはアテローム血栓症の危険因子[参照]を3つ以上持っている45歳以上の外来患者68375例のうち,調査への同意が得られなかった150例,定期健診がおこなわれなかった2338例,災害などにより追跡不能となった910例を除いた64977例(95.22%)を2003~2004年より1年間追跡。
平均年齢は68.6歳,男性の割合は63.77%。

症例群および高リスク群(危険因子を3つ以上保有)の内訳は以下のとおり。
   アテローム血栓症群 53390例
     CAD 38602例
     CVD 18013例
     PAD群 8581例
   高リスク群 11766例

参加地域ごとの登録数は以下のとおり。
北アメリカ25999例,ラテンアメリカ1835例,西ヨーロッパ17142例,東ヨーロッパ5622例,中東840例,アジア5671例,日本5021例,オーストラリア2847例。
結 果
年間全死亡率は2.58%(症例群2.81%,高リスク群1.51%)。
全死亡の63.95%が心血管疾患死だった。
心血管死亡,心筋梗塞,脳卒中の複合発症率は4.24%(症例群4.69%,高リスク群2.15%)。

全心血管疾患死亡率がもっとも高かったのはPAD群であり,非致死的心筋梗塞の発症率がもっとも高かったのはCAD群,非致死的脳卒中の発症率がもっとも高かったのはCVD群だった。

心血管イベントの発症率は,高リスク群にくらべ症例群で非常に高かった。
主要心血管イベント(心血管疾患死,心筋梗塞・脳梗塞またはアテローム血栓性イベントによる入院)の発症率は12.81%だった(症例群14.41%,高リスク群5.31%)。

心血管イベントの発症率は,アテローム血栓症を複数の部位で発症している例において,単独発症例の2倍弱となった。
アテローム血栓症を発症している部位の数が多いほど,主要心血管イベント(心血管疾患死,心筋梗塞・脳梗塞またはアテローム血栓性イベントによる入院)の発症率が有意に高くなった(P<0.001)。部位の数ごとの発症率は以下のとおり。
   0 (高リスク群):  5.31%
   1:  12.58%
   2:  21.14%
   3:  26.27%

日本は,全死亡率,心血管疾患死亡率,非致死的心筋梗塞発症率のいずれも8地域・国のなかでもっとも低かったが,非致死的脳卒中の発症率は,北アメリカ,西ヨーロッパやオーストラリアよりも高かった。

心血管疾患死,心筋梗塞または脳卒中の発症率がもっとも高かったのは東ヨーロッパ(7.62%),もっとも低かったのはオーストラリア(3.13%)。日本は3.22%。

以上のように,アテローム血栓症例および高リスク例では心血管イベントの年間発症率が高いことがわかったが,日本の死亡率,心血管疾患死亡率,非致死的心筋梗塞発症率は,いずれももっとも低かった。


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