[2008年文献] 脳卒中死亡率の「週末効果」は,発症をもとにしたデータではみられない

脳卒中発症率は週内変動を示すことが知られ,平日より週末のほうが発症率や死亡率が高いという「週末効果(weekend effect)」も報告されているが,多くは入院のデータを用いており,より適切と考えられる発症のデータを用いた研究は少ない。そこで,地域の登録研究における脳卒中発症および入院のデータの両方を用い,脳卒中死亡率の週内変動について検討を行った。その結果,入院データでは平日よりも週末のほうが死亡率が高い傾向がみられたものの,発症データを用いるとそのような傾向はみられなかったことから,これまで報告されてきた「週末効果」は,おもに入院データを用いたことの影響を受けている可能性が示唆された。

Turin TC, et al. Case Fatality of Stroke and Day of the Week: Is the Weekend Effect an Artifact?. Takashima Stroke Registry, Japan (1988-2003). Cerebrovasc Dis. 2008; 26: 606-611.pubmed

コホート
滋賀県高島市(旧・高島郡)の住民のうち,1988年1月1日~2003年12月31日(16年間)に脳卒中を初発した1578人(男性859人,女性719人)。発症時平均年齢は男性70.0歳,女性75.2歳。

・ 入院データを用いたカテゴリー
脳卒中で入院した曜日により,全体を週末入院者(土曜日または日曜日に入院開始)または平日入院者(月~金曜日に入院開始)の2つのグループに分けて解析を行った。
・ 発症データを用いたカテゴリー
脳卒中を発症した曜日により,全体を週末発症者(土曜日または日曜日)または平日発症者(月~金曜日)の2つのグループに分けて解析を行った。
結 果
◇ 7日後までの死亡率
入院データでみると,脳卒中による入院から7日後までの死亡率は,平日入院者の7.3%(95%信頼区間[CI]6.0-8.9)にくらべ,週末入院者のほうが9.5%(6.8-13.1)と高かった。ただし,週末入院の平日入院に比したオッズ比は1.33(0.86-2.00)と,有意な「週末効果」はみられなかった。

一方,発症データでみると,脳卒中発症から7日後までの死亡率は,平日発症者で8.0%(6.6-9.8),週末発症者で7.2%(5.1-10.0)であった。

◇ 28日後までの死亡率
入院データでみると,脳卒中による入院から28日後までの死亡率は,平日入院者の10.1%(95%CI 8.5-11.9)にくらべ,週末入院者のほうが14.7%(11.3-18.8)と高かった。週末入院の平日入院に比したオッズ比は1.53(1.07-2.17)と,有意な「週末効果」がみられた。

一方,発症データでみると,脳卒中発症から28日後までの死亡率は,平日発症者で11.0%(9.3-13.0),週末発症者で11.3%(8.6-14.7)であった。


◇ 結論
脳卒中発症率は週内変動を示すことが知られ,平日より週末のほうが発症率や死亡率が高いという「週末効果(weekend effect)」も報告されているが,多くは入院のデータを用いており,より適切と考えられる発症のデータを用いた研究は少ない。そこで,地域の登録研究における脳卒中発症および入院のデータの両方を用い,脳卒中死亡率の週内変動について検討を行った。その結果,入院データでは平日よりも週末のほうが死亡率が高い傾向がみられたものの,発症データを用いるとそのような傾向はみられなかったことから,これまで報告されてきた「週末効果」は,おもに入院データを用いたことの影響を受けている可能性が示唆された。


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