[1999年文献] 1989~1993年の脳卒中発症状況: 男性の脳梗塞は女性に比べて多く,致死率がもっとも高いのはくも膜下出血

日本人一般住民を対象とした循環器疾患発症登録研究により,1989~1993年の5年間における脳卒中病型ごとの発症率,致死率を調査した。高島市における全脳卒中の年間発症率(年齢調整)は10万人当たり212.4で,国内の他の登録研究の結果と比べてやや高かった。また,男性の脳梗塞の発症率は女性よりも有意に高いこと,病型ごとにみるとくも膜下出血の致死率がもっとも高いことなどが示された。

Kita Y, et al. Stroke incidence and case fatality in Shiga, Japan 1989-1993. Int J Epidemiol. 1999; 28: 1059-65.pubmed

コホート
滋賀県高島市(旧・高島郡)の住民のうち,1989年1月1日~1993年12月31日(5年間)に脳卒中を初発した401人(男性217人,女性184人)。

病型診断のためのCTスキャンの実施率は93.0 %。
1990年度における高島市の35歳以上の人口(29674人)と照らし合わせて発症率を算出した。
結 果
◇ 発症の状況
・ 発症数,および平均発症時年齢
   全脳卒中: 男性217人(69.1歳),女性184人(72.6歳)
    脳梗塞: 155人(70.6歳),107人(73.4歳)
    脳出血: 47人(66.9歳),51人(72.6歳)
    くも膜下出血: 13人(58.6歳),22人(68.0歳)

・ 10万人当たり年間発症率(年齢調整後)
   全脳卒中: 男性268.7 (95 %信頼区間234.8-307.5),女性167.5 (143.9-194.9)
    脳梗塞: 189.9 (161.9-222.6),94.1(77.2-114.6)
    脳出血: 58.0 (43.4-77.5),47.5 (35.5-63.6)
    くも膜下出血: 18.0 (10.4-31.2),22.6 (14.5-35.2)

脳梗塞/脳出血発症率比は2.6/1.0だった(男性3.3/1.0,女性2.0/1.0)。

・ 発症後28日以内の致死率は,16.0 %(95 %信頼区間12.5-20.4)だった。
病型ごとの致死率は以下のとおり(95 %信頼区間)で,くも膜下出血の致死率がもっとも高かった。
   全脳卒中: 男性16.1 % (11.6-22.5 %),女性15.8 % (11.0-22.7 %)
    脳梗塞: 9.7 % (5.8-16.1 %),12.1 % (7.1-20.9 %)
    脳出血: 29.8 % (17.6-50.3 %),15.7 % (7.8-31.4 %)
    くも膜下出血: 30.8 % (11.5-82.0 %),27.3 % (12.3-60.7 %)

◇ 国内の他の地域との比較
・ 秋田(Neuroepidemiology. 1994; 13: 236-44.)との比較
高島における脳梗塞の発症率は,秋田よりも高かった。一方,脳出血およびくも膜下出血については秋田よりも低かった。
・ 沖縄(Hypertens Res. 1992;15:111-9.)との比較
高島における全脳卒中の発症率は,沖縄よりも高かった。


◇ 結論
日本人一般住民を対象とした循環器疾患発症登録研究により,1989~1993年の5年間における脳卒中病型ごとの発症率,致死率を調査した。高島市における全脳卒中の年間発症率(年齢調整)は10万人当たり212.4で,国内の他の登録研究の結果と比べてやや高かった。また,男性の脳梗塞の発症率は女性よりも有意に高いこと,病型ごとにみるとくも膜下出血の致死率がもっとも高いことなどが示された。


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