[2003年文献] 就労者では月曜日,女性では土曜日に急性心筋梗塞が多い

阪神地区における急性心筋梗塞(AMI)患者の登録研究により,AMI発症パターンが曜日により異なるかどうかを検討した。その結果,曜日による発症の偏りはみとめられなかった。ただし,層別化解析を行うと,就労している人では月曜日,女性では土曜日に有意な発症のピークがみとめられた。

Kinjo K, et al.; Osaka Acute Coronary Insufficiency Study (OACIS) Group. Variation during the week in the incidence of acute myocardial infarction: increased risk for Japanese women on Saturdays. Heart. 2003; 89: 398-403.pubmed

コホート
1998年4月~2001年3月の期間に阪神地区の25の心臓救急病院に発症1週間以内に受診し,以下の3つの基準のうち2つ以上を満たした急性心筋梗塞患者2,511人のうち,発症した曜日の明確な記録がない31人,および検査・他疾患の治療のための入院中に発症した80人を除いた2,400人。
   (1) 胸中央部の痛み,絞扼感,圧迫感が30分以上続く
   (2) 心電図の特徴的変化: 2つ以上の胸部誘導または1つ以上の四肢誘導における0.1 mV以上のST上昇,2誘導以上における0.1 mV以上のST下降,異常Q波,または2誘導以上におけるT波陰転
   (3) 血清クレアチンキナーゼの上昇(正常値の2倍以上)
結 果
◇ 対象背景
男性74.8 %,65歳以上52.0 %,就業率54.6 %,登録時点での喫煙率54.0 %,習慣的な飲酒29.9 %,糖尿病34.0 %,高血圧50.2 %,高脂血症39.0 %,登録以前の心筋梗塞既往14.1 %,梗塞前狭心症28.6 %,Q波梗塞75.5 %,前壁梗塞51.3 %,多枝疾患29.9 %*
* 冠動脈造影を実施した2,146人における割合。

◇ 急性心筋梗塞(AMI)の曜日による発症パターン
AMIの曜日による発症数は,月曜日にもっとも多く,日曜日にもっとも少ない傾向がみとめられたが,統計的に有意な偏りはみとめられなかった(χ2検定によるP=0.678)。

層別化解析の結果は以下のとおりとなった。
・ 男性(1,796人): 曜日による発症の偏りはみとめられなかった。
・ 女性(604人): 土曜日に有意な発症のピークがみとめられた(オッズ比1.39,95 %信頼区間1.02-1.88,Mantel-Haenszel検定によるP=0.037)。
・ 就労者(1,247人): 月曜日に有意な発症のピークがみとめられた(1.26,1.01-1.56,P=0.038)。
・ 非就労者(1,038人): 曜日による発症の偏りはみとめられなかった。
・ 就労者男性(1,124人): 月曜日に有意な発症のピークがみとめられた(1.30,1.04-1.64,P=0.022)。
・ 就労者女性(123人): 曜日による発症の偏りはみとめられなかった。


◇ 結論
阪神地区における急性心筋梗塞(AMI)患者の登録研究により,AMI発症パターンが曜日により異なるかどうかを検討した。その結果,曜日による発症の偏りはみとめられなかった。ただし,層別化解析を行うと,就労している人では月曜日,女性では土曜日に有意な発症のピークがみとめられた。


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