[学会報告・日本疫学会2014] CIRCS,久山町研究,JACC,NIPPON DATA,吹田研究

第24回日本疫学会学術総会は,2014年1月23日(木)~25日(土)の3日間,仙台にて開催された。ここでは,学会で発表された疫学研究の一部を紹介する。

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CIRCS 深部脳出血と皮質下・小脳出血の危険因子は異なる
久山町研究 耐糖能異常と糖尿病はADL障害の危険因子
久山町研究 蛋白質の摂取量が多いほど,脳卒中および脳出血の発症リスクが低下
JACC 肥満・非肥満を問わず,健康的な生活習慣の数が多いほど循環器疾患死亡リスクは低下
NIPPON DATA80 炭水化物の割合が低い食事は,総死亡,心血管疾患死亡リスクの低下と関連
NIPPON DATA80 危険因子(高血圧,喫煙,糖尿病)の保有数が多いほど平均余命が短縮
吹田研究 男性のLDL-C/HDL-C比は,虚血性心疾患発症の予測因子
吹田研究 内臓脂肪の蓄積があると高血圧発症リスクが高い
吹田研究 腹囲が大きい人では,その後の腹囲増加と糖尿病発症リスクが関連

[CIRCS] 深部脳出血と皮質下・小脳出血の危険因子は異なる

発表者: 福島県立医科大学・大平 哲也 氏 (1月25日,ポスターセッション)
  目的: 日本人一般住民を対象とした前向きコホート研究において,脳内出血の部位によって発症の危険因子が異なるかどうかを検討。
  コホート・手法: CIRCS。秋田,茨城,大阪コホートの40~69歳の9086人を平均19.2年間追跡。脳内出血発症者を,出血部位により2つのカテゴリー(深部脳出血[視床,大脳基底核,脳幹]/皮質下・小脳出血)に分類した。 (CIRCSへ
  結果: 深部脳出血発症の独立した危険因子は収縮期血圧高値,心電図ST-T異常および多量飲酒で,皮質下・小脳出血発症の危険因子は総コレステロール低値(<160 mg/dL)であった。総コレステロール低値の人に比し,高値(>220 mg/dL)の人の皮質下・小脳出血発症の多変量調整ハザード比は有意に低くなっていたが,深部脳出血については有意なリスク低下はみられなかった。糖尿病と喫煙は,深部脳出血,皮質下・小脳出血のいずれの危険因子ともならなかった。
大平哲也氏 大平哲也氏のコメント
脳内出血を出血部位別にみると,日本では昔から深部の穿通枝系の出血の割合が多く,欧米では比較的浅い部位の皮質下出血の割合が多いという違いがありました。しかしCIRCSで部位別の脳内出血発症率の推移を検討すると,生活習慣の欧米化の影響もあって日本人の脳内出血のパターンは変わってきており,深部脳出血は経年的に減少,皮質下出血は変化なしという結果が得られました。そこで今回,日本人における両者の危険因子が異なるかどうかを検討してみたところ,やはり高血圧や多量飲酒といった古典的な危険因子は深部脳出血と関連しており,皮質下出血とは関連しないという結果でした。ただ一点,予想と異なっていたのは,日本人の脳内出血の危険因子として知られる総コレステロール低値が,皮質下・小脳出血とは関連し,深部脳出血とは関連していなかったことです。この理由は不明ですが,皮質下・小脳出血の症例数が少ないことの影響も考えられるため,今後,さらなる追跡を行い,再度検討する予定です。脳内出血全体でみれば,総コレステロール低値はやはり危険因子となりますので,脳内出血予防のためには,高血圧,多量飲酒という古典的な因子とともに,総コレステロール低値にも引き続き気をつけていく必要があると考えられます。


[久山町研究] 耐糖能異常と糖尿病はADL障害の危険因子

発表者: 九州大学・吉田 大悟 氏 (1月24日,一般口演)
  目的: 高齢の地域一般住民における糖代謝レベルと日常生活動作(ADL)障害の発生リスクとの関連について,糖尿病だけでなく空腹時血糖異常(IFG),耐糖能異常(IGT)も含めて検討。
  コホート・手法: 久山町研究。65歳以上の高齢者を対象として2005年に実施されたADL障害の有病率調査の対象者のうち,ADL障害がなく,経口糖負荷試験を受けた939人(男性405人,女性534人)を2013年5月まで平均6.2年間追跡。ADLの評価にはBarthel Indexを用い,95点以下をADL障害と定義した。 (久山町研究へ
  結果: 耐糖能レベル(正常/IFG/IGT/糖尿病)ごとのADL障害発生の多変量調整ハザード比(vs. 正常)は,IGTならびに糖尿病の人でそれぞれ有意に高かった。また,ベースラインの負荷後2時間血糖レベルごとにみると,高値ほどADL障害発生の多変量調整ハザード比が直線的に増加する有意な傾向がみとめられたが,ベースラインの空腹時血糖レベルとADL障害発生との関連はみられず。
吉田大悟氏 吉田大悟氏のコメント
久山町研究では,ADL障害や認知症の実態把握を目的とした高齢者調査を約7年ごとに実施しています。施設に入所している人や入院している人も含めた全高齢住民の90%以上に調査を実施しており,偏りの少ない集団であることが特徴です。今回の結果により,75g経口糖負荷試験により診断された糖尿病予備群である耐糖能異常(IGT)の人は,糖尿病者と同様に将来のADL障害のリスクが高いことがわかりました。また,負荷後2時間血糖値がADL障害と強く関連していることが示されました。高齢者のADL障害を予防するうえで,糖尿病とその予備群における予防対策が重要な課題であると考えられます。糖代謝異常がなぜADL障害のリスクを高めるのかは明らかではありませんが,われわれは先行研究において,IGTや糖尿病が,ADL障害の原因疾患となる認知症の有意な危険因子であることを報告しており(抄録へ),そのことが,IGTや糖尿病がADL障害のリスクを高める原因の一つであると考えています。今後,ADL障害を起こした人の原因疾患について再検討していく予定です。


[久山町研究] 蛋白質の摂取量が多いほど,脳卒中および脳出血の発症リスクが低下

発表者: 九州大学・小澤 未央 氏 (1月25日,一般口演)
  目的: 日本人地域一般住民を対象に,蛋白質の摂取量と脳卒中発症リスクとの関連を検討。
  コホート・手法: 久山町研究。心血管疾患既往者,および蛋白質摂取量が極端な人(高値,低値とも全体の1%)を除外した2400人を19年間追跡。1日あたりの蛋白質摂取量の四分位により対象者を4つのカテゴリーに分類(Q1: 50 g未満,Q2: 50~55.5 g,Q3: 55.6~61.4 g,Q4: 61.5 g以上)。 (久山町研究へ
  結果: 蛋白質摂取量は,脳卒中発症の多変量調整ハザード比の低下と有意に関連していた。脳卒中病型別にみると,脳出血では同様の結果が得られたが,脳梗塞については,蛋白質摂取量との有意な関連はみられず。蛋白質の種類(動物性/植物性)ごとに解析を行うと,脳卒中発症の多変量調整ハザード比は植物性蛋白質の摂取量が多いほど有意に低下したが,動物性蛋白質摂取量との関連はみられず,この結果は脳梗塞についても同様であった。脳出血については,動物性蛋白質の摂取量が多いほど発症の多変量調整ハザード比が有意に低下していたが,植物性蛋白質では有意な関連はみられなかった。
小澤未央氏 小澤未央氏のコメント
今回の結果から,蛋白質摂取が脳卒中発症リスクの低下と関連していることが示唆されました。動物性蛋白質と植物性蛋白質に分けて検討した場合に,動物性蛋白質は脳出血に対して,植物性蛋白質は脳梗塞に対してそれぞれ予防的に働いていたことから,これまでに蛋白質摂取の効果として報告されている降圧作用以外にも,動物性蛋白質と植物性蛋白質のそれぞれに特有のメカニズムによる脳卒中予防効果がある可能性があります。そのため,動物性蛋白質,植物性蛋白質の両方をバランスよく摂取することが大切だと考えられます。


[JACC] 肥満・非肥満を問わず,健康的な生活習慣の数が多いほど循環器疾患死亡リスクは低下

発表者: 愛媛大学・江口 依里 氏 (1月24日,ポスターセッション)
  目的: 健康的な生活習慣の数と循環器疾患による死亡リスクとの関連について,とくに循環器疾患への関与が大きいとされる肥満の有無ごとに検討。
  コホート・手法: JACC。循環器疾患既往のない40~79歳の42946人(男性18730人,女性24216人)を19.3年間(中央値)追跡。生活習慣については,8つの健康的な習慣(1日1回以上の果物の摂取,1日1回以上の魚の摂取,ほぼ毎日の牛乳の摂取,週5時間以上の運動または1日30分以上の歩行,BMI 21 kg/m²以上25 kg/m²未満,エタノール摂取量1日46 g未満,非喫煙,1日の睡眠時間5.5~7.4時間)のうち,BMIを除いた該当数を「健康的な生活習慣スコア」(0~7点)とし,肥満(BMI≧25 kg/m²)の有無ごとに予後との関連を検討した。 (JACCへ
  結果: [全循環器疾患死亡]男女とも,肥満の有無にかかわらず,健康的な生活習慣スコアが高いほど多変量調整ハザード比が低くなる有意な傾向がみられたが,肥満の人における関連のほうが弱かった。[脳卒中死亡]男女とも,肥満の有無にかかわらず,健康的な生活習慣スコアが高いほど多変量調整ハザード比が有意に低下。[虚血性心疾患死亡]男女とも,非肥満の人では健康的な生活習慣スコアが高いほど多変量調整ハザード比が有意に低下したが,肥満の人では有意な関連はみられず。
江口 依里氏 江口依里氏のコメント
健康的な生活習慣の影響について検討した報告は他にもありますが,今回の研究では,JACCスタディで日本人における心血管疾患死亡リスクの低下との関連がすでに報告されている8つの生活習慣を用いています。なお,食事に関してはよく野菜の摂取が挙げられますが,JACCでは野菜の摂取と心血管疾患死亡との関連は明らかではなかったため,含めていません。逆に,乳製品由来のカルシウム摂取量と心血管疾患死亡リスク低下との関連がみられている(抄録へ)ことから,牛乳の摂取を1点としていることが特徴といえます。結果のなかで,虚血性心疾患死亡でのみ,肥満の有無による違いがみられた理由として,虚血性心疾患に対する肥満のインパクトが大きいため,肥満の存在下では健康的な生活習慣とリスクとの関連が弱まった可能性が考えられます。ただし,循環器疾患死亡全体でみれば,肥満の有無を問わず,その他の健康的な生活習慣が多くなるほどリスクが低下しています。したがって,循環器疾患死亡リスクを低くするためには,肥満であってもなくても,生活習慣の改善を心がけていただきたいと思います。


[NIPPON DATA80] 炭水化物の割合が低い食事は,総死亡,心血管疾患死亡リスクの低下と関連

発表者: 京都女子大学・中村 保幸 氏 (1月24日,一般口演)
  目的: 炭水化物(糖質)摂取比率が欧米にくらべて高い日本人を対象に,比較的軽度の低糖質食の総死亡ならびに心血管疾患死亡リスクへの影響を検討。
  コホート・手法: NIPPON DATA80。脳卒中,心筋梗塞既往のない30歳以上の9200人を29年間追跡。国民栄養調査での秤量記録法(3日間)の結果を用い,糖質,蛋白質,脂肪のそれぞれについて,総摂取エネルギーに占める割合の11分位により摂取量をスコア化(糖質については0[多い]~10点[少ない],蛋白質および脂肪については0[少ない]~10点[多い])。これらを足し合わせたものを「低糖質食スコア」(0~30点)とし,対象者を低糖質食スコアの十分位に分類した。 (NIPPON DATAへ
  結果: 総摂取エネルギーに占める糖質の比率の平均は約60%。低糖質食スコアがもっとも高い(糖質の比率がもっとも低い)カテゴリーでは,もっともスコアが低いカテゴリーに比した総死亡,ならびに心血管疾患死亡の多変量調整ハザード比が女性において有意に低く,いずれも,さらに職種,食物繊維,ならびにNa/K比による調整を行っても有意差は維持された。男性では,これらの関連に有意性はみられなかった。以上より,日本人の日常食としての低糖質食は,少なくとも女性において,総死亡ならびに心血管疾患死亡リスク低下と関連することが示唆された。
中村保幸氏 中村保幸氏のコメント
男性で有意な関連がみられなかった理由として,男性では女性にくらべて外食が多いことや,喫煙などほかの危険因子の頻度が高いことなどにより効果が希釈された可能性が考えられます。ただし今回は,低糖質食とはいっても意図的に糖質制限を行っていたわけではない一般住民での食事データであり,結果の解釈には注意が必要です。なお,欧米の糖質制限食トライアルでは,総摂取エネルギーに占める糖質の比率がベースライン時で約47~48%,制限目標が約10%というものもあります。日本人では,経年的にみると1960年代は約80%であったのが1980年代には約60%,2010年の国民健康・栄養調査のデータでは約56%と徐々に少なくなってきてはいますが,今回の対象者では,もっとも低いカテゴリーでも平均51.5%であり,欧米にくらべるとやはり多いといえるでしょう。


[NIPPON DATA80] 危険因子(高血圧,喫煙,糖尿病)の保有数が多いほど平均余命が短縮

発表者: 滋賀医科大学・永井 雅人 氏 (1月25日,一般口演)
  目的: 危険因子(高血圧,喫煙,糖尿病)の集積と平均余命との関連を検討。
  コホート・手法: NIPPON DATA80。30歳以上の8895人(男性3946人,女性4949人)を29年間追跡。3つの危険因子(高血圧,喫煙,糖尿病)の保有数により,男性は0/1/2/3つの4群,女性は0/1/2つ以上の3群を設定。 (NIPPON DATAへ
  結果: 男性の50歳時の平均余命は,危険因子の数が0の人では34.9年,1つでは31.8年,2つでは29.3年,3つでは25.0年であった。女性の50歳時の平均余命は,危険因子の数が0の人では38.5年,1つでは35.2年,2つ以上では32.8年であった。以上のように,50歳時の平均余命は,危険因子が集積するほど短縮していた。
永井雅人氏 永井雅人氏のコメント
これまで,高血圧や喫煙,糖尿病といった循環器疾患の危険因子を有する人の平均余命がそれぞれ短いことが明らかとなっていましたが,これらの危険因子が集積した場合に,余命がどの程度短縮するかは検討されていませんでした。今回の研究より,高血圧・喫煙・糖尿病の3つの危険因子のうち,2つ保有する男性または2つ以上保有する女性は,1つも保有しない人よりも約5.5年,3つ保有する男性は9.9年,50歳からの余命が短縮することが明らかとなりました。危険因子が1つ増えるごとに,平均余命が3年ほど違ってくることになり,保有する危険因子を減らすことの重要性が改めて示唆されました。ただし,複数の危険因子を保有する人の多くは,高血圧・喫煙・糖尿病以外の危険因子(肥満や高コレステロールなど)も保有していると考えられるため,今回の結果にはそれらの影響も含まれている可能性を考慮して解釈する必要があります。


[吹田研究] 男性のLDL-C/HDL-C比は,虚血性心疾患発症の予測因子

発表者: 国立循環器病研究センター・竹上 未紗 氏 (1月24日,ポスターセッション)
  目的: 都市部一般住民を対象に,LDL-C/HDL-C比(LH比)と虚血性心疾患発症リスクとの関連を検討。
  コホート・手法: 吹田研究。循環器疾患既往のない30~79歳の5152人を平均13.0年間追跡。 (吹田研究へ
  結果: 男性では,LH比がもっとも高い四分位における虚血性心疾患の発症の多変量調整ハザード比が約2倍と有意に増加しており(vs. もっとも低い四分位),LH比が高いほどハザード比が高くなる有意な関連もみとめられた。一方,女性では,LH比と虚血性心疾患発症リスクとの関連はみとめられなかった。
竹上未紗氏 竹上未紗氏のコメント
地域住民を対象としたコホート研究において,男性のLDL-C/HDL-C比(LH比)は虚血性心疾患発症の予測因子であることが示されました。さらに,LDL-C値が相対的に低い人に限定した解析でも同様の結果が得られたことから,LH比は虚血性心疾患発症のハイリスク者を特定するのに有用な指標である可能性が示唆されました。日本では,LDL-CやHDL-Cといった血清脂質値が脂質異常の指標として使用されていますが,LH比のような脂質値の比やアポ蛋白の比のほうが,単一の脂質値よりも心血管疾患の予測能が高いという欧米の報告もあります。日本ではこのような検討を行った報告はまだ少なく,今後,より詳細に検討する必要があります。


[吹田研究] 内臓脂肪の蓄積があると高血圧発症リスクが高い

発表者: 国立循環器病研究センター・中井 陸運 氏 (1月25日,ポスターセッション)
  目的: 都市部一般住民を対象に,腹囲でみた内臓脂肪蓄積の度合いと高血圧発症リスクとの関連を検討。
  コホート・手法: 吹田研究。高血圧者を除外した3564人(男性1591人,女性1973人)を7.2年間追跡。腹囲が≧85 cm(男性),≧90 cm(女性)を内臓脂肪蓄積ありとした。 (吹田研究へ
  結果: 男女とも,内臓脂肪蓄積ありの人では,なしの人に比した高血圧発症の多変量ハザード比(年齢,喫煙,飲酒で調整)が有意に高く,国際糖尿病学会(IDF)によるアジア人向けの基準(男性≧90 cm,女性≧80 cm)を用いても同様の結果が得られた。四分位によるカテゴリーでの検討においても,男女とも腹囲が大きいほど高血圧発症の多変量調整ハザード比が高くなる有意な傾向がみとめられ,これは75歳未満の人のみを対象とした解析でも同様であった。
中井陸運氏 中井陸運氏のコメント
今回の結果から,腹囲の改善によって高血圧の発症を予防できる可能性が示唆されました。腹囲の代わりにBMIを用いた解析でも同様の結果が得られており,やはり肥満が高血圧の発症に関与しているものと考えられました。年齢による層別化解析の結果も考慮すると,若年者・高齢者を問わず,高血圧の予防のためには肥満に気をつけるべきだといえます。なお腹囲に関しては,日本基準だけでなくIDFのアジア人向け基準を用いてもほぼ同じ結果が得られたこと,また腹囲の四分位を用いた解析において男性で77~82 cm,女性で69~74 cmのカテゴリーからリスク上昇がみとめられたことなどから,高血圧の予防という観点からは,現在よりも低い基準値を用いたほうがよい可能性もあるといえます。


[吹田研究] 腹囲が大きい人では,その後の腹囲増加と糖尿病発症リスクが関連

発表者: 国立循環器病研究センター・辰巳 友佳子 氏 (1月25日,ポスターセッション)
  目的: 都市部一般住民を対象に,中心性肥満の指標としての腹囲の経年的変化と糖尿病発症リスクとの関連を検討。
  コホート・手法: 吹田研究。1989年9月~1994年3月(1期)と1997~98年(2期)の健診を5~9年の間隔で両方受診し,いずれの時点でも糖尿病を発症していなかった2211人を,2期の時点から2011年3月まで平均9.2年間追跡。1期の腹囲中央値(男性83.5 cm,女性79.6 cm)により,対象者を低値/高値群に分類するとともに,1~2期にかけての腹囲変化量(-2.0 cm未満/-2.0 cm以上+2.0 cm未満/+2.0 cm以上+4.0 cm未満/+4.0 cm以上)により4群に分類。 (吹田研究へ
  結果: ベースライン時に腹囲が中央値未満だった人では,5~9年後にかけての腹囲の増加度と,その後の糖尿病発症の多変量調整ハザード比との関連はみられなかった。一方,ベースライン時に腹囲が中央値以上だった人では,5~9年後にかけて腹囲の変化量が+2.0 cm以上+4.0 cm未満だった人,+4.0 cm以上だった人において,-2.0 cm以上+2.0 cm未満に比した糖尿病発症の多変量調整ハザード比が有意に高くなっていた。以上より,腹囲が中央値以上の人では,その後の腹囲の変化が,糖尿病発症リスクと関連する可能性が示唆された。
辰巳友佳子氏 辰巳友佳子氏のコメント
腹囲高値群では,腹囲が増加すると糖尿病発症リスクが上昇するという結果でした。ベースラインの腹囲を調整したあとも腹囲の増加は有意なリスクでしたので,保健指導の場面においては,一時点の腹囲の評価に加えて,「太ってきているかどうか」の評価も重要であると考えております。また,腹囲低値群では,腹囲が増加する人の割合が高く,腹囲の増加が継続した場合には腹囲高値群に移行する可能性もあるため,肥満予防の観点からは無視できない集団であると考えられます。




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