[2006年文献] 最新の10のバイオマーカーを従来の危険因子に追加しても,リスクの同定能の付加的有用性は期待できない

Wang TJ, et al: Multiple biomarkers for the prediction of first major cardiovascular events and death. N Engl J Med. 2006; 355: 2631-9.pubmed

目的
10の新しいバイオマーカー(C反応性蛋白[CRP],Bタイプナトリウム利尿ペプチド[BNP],N-terminal pro-心房ナトリウム利尿ペプチド[NT-proANP],血漿アルドステロン,血漿レニン,フィブリノーゲン,プラスミノーゲンアクチベーター阻害因子1(PAI-1),D-ダイマー,ホモシステイン,尿アルブミン/クレアチニン比[A/C])の心血管イベント初発および死亡の予測能を検討する。
コホート
Framingham Offspring Study(1971年開始)
第6回目の検診(1995~’98年)参加者3532人から血清クレアチニン>2.0mg/dLなどを除外した3209人(男性1497人,女性1712人)。
追跡期間7.4年(中央値)。

◆対象ベースライン時背景:平均年齢59歳,BMI(男性28.6,女性27.4kg/m2),総コレステロール値(198,211mg/dL),HDL-C(43,58mg/dL),喫煙例(14,16%),高血圧(45,38%),糖尿病(12,8%),クレアチニン(1.2,1.1mg/dL),心血管疾患既往(9,3%)。
バイオマーカー(中央値):CRP(男性1.8,女性2.4mg/L),BNP(6.6,10.2pg/mL),NT-proANP(290,352pmol/L),アルドステロン(9.0,11.0ng/dL),レニン(14.0,11.0mU/L),フィブリノーゲン(323,336mg/dL),D-ダイマー(297,336ng/mL),PAI-1(25.5,20.3ng/mL),ホモシステイン(9.8,8.4mmol/L),A/C(4.8,8.6)。
結 果
死亡は207例(6%),うち女性72例。
心血管疾患既往181人を除外した3028人での主要な心血管イベントは169例(6%),うち女性は68例。

一般的な危険因子で調整したCox比例ハザードモデルによると,死亡リスクの最も強い予測因子はBNP(1標準偏差[log]増加ごとの調整ハザード比[HR]1.40),CRP(1.39),A/C(1.22),ホモシステイン(1.20),レニン(1.17)。
心血管イベントの最も強い予測因子はBNP(1.25),A/C(1.20)。

有意なバイオマーカーの回帰係数に基づくマルチマーカースコアのリスクレベル(計算式*)が低リスクに比べた中等度リスクの死亡のHRは1.34(95%信頼区間0.83-2.18),高リスクは4.08(2.51-6.62,p<0.001)と,低リスクに比べ高リスクで有意に上昇。
*0.367×BNP+0.595×ホモシステイン+0.153×レニン+0.284×CRP+0.137×A/C
低リスク:マルチマーカースコア<2.79,中等度リスク:2.79~3.44,高リスク:≧3.45。
主要な心血管イベントは低リスク(計算式**)に比べた中等度リスクのHRは1.54(0.98-2.40),高リスクは1.84(1.11-3.05,p=0.02)。
 ** 0.257×BNP+0.128×A/C
 低リスク:マルチマーカースコア<0.67,中等度リスク:0.67-1.02,高リスク:≧1.03。
しかし,C統計量で測定すると,一般的な危険因子にマルチマーカーを加えてもリスクの分類能の上昇はごくわずかであった。


監修: epi-c.jp編集委員 磯 博康


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