[2007年文献] 欧米において,トリグリセリドと冠動脈疾患との間に中程度の有意な関連が認められる(Reykjavik study,EPIC-Norfolk study)

Sarwar N, et al: Triglycerides and the risk of coronary heart disease: 10,158 incident cases among 262,525 participants in 29 Western prospective studies. Circulation. 2007; 115: 450-8.pubmed

目的
トリグリセリド(TG)と冠動脈疾患(CHD)リスクの関連を示す疫学研究が多くあるものの,まだその関連は確立していない。そこで2つの欧州の前向きコホート研究を合わせて定量化しその関連を検証する。
コホート
Reykjavik study
1967年開始。1966年12月1日時点にアイスランド・レイキャビクおよび隣接する地域に在住していた1907~1934年生まれの男性,1908~1935年生まれの女性。登録期間は1967~1991年。
◆ベースライン時背景:CHD発症例(2459例・平均年齢55.8歳),非発症例(3969人・55.7歳)。
CHD発症例が対照と比べ有意(P<0.001)に高値であったものは,喫煙率(39% vs 32%),糖尿病既往(3% vs 2%),空腹時血糖値(82.8mg/dL vs 81.0mg/dL),BMI(26kg/m2 vs 25kg/m2),血圧(146/89mmHg vs 141/87mmHg),総コレステロール値 (263.7 mg/dL vs 247.5mg/dL)。

EPIC-Norfolk study
1993年に開始された英国・Norfolkコホート。45~79歳の25,668人。
◆ベースライン時背景:CHD発症例(1123例・65.4歳),非発症例(2206人・65.3歳)。
CHD発症例が有意に(P<0.001)高値であったものは,喫煙率(15% vs 8%),糖尿病既往(7% vs 2%),腹囲(94.3cm,91.3cm),BMI(27kg/m2 vs 26kg/m2),血圧(144/86mmHg vs 139/84mmHg),総コレステロール値 (251.4mg/dL vs 244.0mg/dL),HDL-C(50.3mg/dL vs 54.1mg/dL),LDL-C(166.3 mg/dL vs 158.5mg/dL)。
結 果
・Reykjavik study
1995年12月31日までの追跡(平均追跡期間17.5年)で,CHD死:男性1073例,女性385例,非致死的MI :701例,300例。CHD発症平均年齢は70.2歳。非発症例は平均追跡期間20.6年。
EPIC-Norfolk study
追跡期間は1993~2003年。CHD 1138例,うち非致死的CHDは785例。

・TG値はReykjavik study:ベースライン時(CHD発症例105.4mg/dL vs 非発症例91.2mg/dL:),log TGは0.18 vs 0.03,EPIC-Norfolk study:194.9mg/dL vs 168.3mg/dL,0.29 vs 0.22ですべて発症例で高かった(P<0.001)。
非発症群におけるTG,log TGがEPIC-Norfolk studyの方がReykjavik studyよりも高値であったのは,前試験の参加者の採血時が主に非空腹時であったことによる。

・EPIC-Norfolk studyで4年後(1933例),Reykjavik studyで12年後(379例)再採血した。
長期安定性(個人内変動係数)に関しては下記に示すように両研究で同様であった。
TG:EPIC-Norfolk study 0.64(95%信頼区間0.60-0.68)vs Reykjavik study 0.63(0.57-0.70),
総コレステロール:0.60(0.56-0.63)vs 0.60(0.54-0.66)
収縮期血圧:0.61(0.58-0.65)vs 0.66(0.60-0.72)
拡張期血圧:0.50(0.46-0.53)vs 0.53(0.46-0.60)

・年齢,性,期間(登録暦年)で調整後のTG別CHDのオッズ比(OR:TG 3分位の第1分位 vs 第3分位)
Reykjavik study(TGのカットポイント値は77.0mg/dL,113.3mg/dL):2.04(1.78-2.32)。
EPIC-Norfolk study(117.7mg/dL,177.0mg/dL):1.95(1.63-2.33)。
さらに喫煙,その他の空腹時血糖値(Reykjavik study), LDL-C(EPIC-Norfolk study)などの危険因子を加えて調整するとORは下記のように低下した。
Reykjavik study:1.43(1.23-1.65),EPIC-Norfolk study:1.52(1.24-1.89)。
また検査値のバラツキによる希釈バイアスを補正したORは,Reykjavik study:1.76(1.39-2.21),EPIC-Norfolk study:1.57(1.10-2.24)。

・本結果と既発表の前向き27研究とを合わせた欧米29研究メタ解析の結果
参加者262,525人,ベースライン時平均年齢56.8歳,平均追跡期間12.1年(いずれも加重平均)。
CHD発症10,158例。TG 3分位で比較したCHDの調整後ORは1.72(1.56-1.90)で本結果と同様であった。

監修: epi-c.jp編集委員 磯 博康

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