[2007年文献] 炭酸飲料の摂取はメタボリックシンドロームと関連(Framingham Offspring Study)

Dhingra R, et al: Soft drink consumption and risk of developing cardiometabolic risk factors and the metabolic syndrome in middle-aged adults in the community. Circulation. 2007; 116: 480-8.pubmed

目的
過去30年,炭酸飲料の摂取量は増え,青少年の肥満や糖尿病の増加の原因の一つと言われている。この論文では,中年世代の男女において,炭酸飲料が代謝系因子に与える影響について分析した。
コホート
Framingham Offspring Study(Framingham Heart Studyオリジナルコホートの子どもおよびその配偶者5124人を1971年から追跡し,4年ごとに検査を実施)。
第4回(1987~1991年),第5回(1992~1995年),第6回(1995~1998年)および第7回(1998~2001年)の計4回の検査のうち,2回以上の連続する検査に参加した人(単位: 1人・観察)を対象とし,その間(平均4年間)のメタボリックシンドローム発症の有無を調査した。
交絡因子のデータが不足していた207人・観察,明らかな心血管疾患既往のあった926人・観察を除いた8997人・観察を追跡し,メタボリックシンドローム既往のある2897人・観察,メタボリックシンドローム因子のデータが不足していた61人・観察を除いた6039人・観察について追跡データの解析を行った。
男性は2569人・観察,女性は3470人・観察。平均年齢は52.9歳。

炭酸飲料の摂取については,第4~6回検査時の面接で医師が情報を収集し,コカコーラ,ペプシコーラ,スプライト,その他の炭酸飲料340 mL(12 oz)を「1本」として,摂取量を「コーラ調査票(examination cola questionnaire)」に記入した。
また,第5・6回検査時に用いられた「食品摂取頻度調査票(food frequency questionnaire,FFQ)」により,総エネルギー摂取量,飽和脂肪酸,トランス脂肪酸,食物繊維,マグネシウム摂取量,グリセミック指数(glycemic index,GI)などについて調査した。

以下のメタボリックシンドローム(MetS)要素を3つ以上保有しているものをMetSと診断した。
(1) ウエスト周囲長が男性102 cm以上,女性88 cm以上,(2) 空腹時血糖100 mg/dL以上,血糖降下薬使用,またはインスリン使用,(3) 血圧135 / 85 mmHg以上または降圧薬使用,(4) 血中トリグリセリド150 mg/dL以上またはトリグリセリド降下薬使用,(5) HDL-Cが男性40 mg/dL未満,女性50 mg/dL未満
結 果
◇ 炭酸飲料の摂取とベースライン時背景
「コーラ質問票」で,1本以上の炭酸飲料を摂取すると答えたのは全体の35 %。摂取量ごとの人・観察数は以下のようになった。
   1本未満: 5840人・観察,1本: 1918人・観察,2本以上: 1239人・観察

上記の摂取量ごとにベースライン時背景を比較した結果,各群間で有意差が見られたのは収縮期血圧,拡張期血圧,高血圧,BMI,BMI 30 kg/m2以上,体重,ウエスト周囲長,ウエスト周囲長が基準以上,トリグリセリド,高トリグリセリド血症,HDL-C,低HDL-C血症,血糖,空腹時高血糖,糖尿病,メタボリックシンドローム(MetS),喫煙,飽和脂肪酸摂取量,トランス脂肪酸摂取量,食物繊維摂取量,マグネシウム摂取量,グリセミック指数。

◇ 炭酸飲料の摂取とMetSリスク
1日あたりの炭酸飲料の摂取量ごとのMetS発症のオッズ比は以下のとおり。
   1本未満: 1.00
   1本: 1.53(95 %信頼区間1.24-1.89)
   2本以上: 1.29(0.98-1.70)
   1本以上: 1.44(1.20-1.74)
炭酸飲料を1日1本以上摂取する人では,1本未満の人に比べ,MetS発症のリスクが44 %高くなった。年齢,性別,各種栄養素の摂取量などで調整を行っても,このリスク上昇の有意性は失われなかった。
また,カフェイン入りの炭酸飲料とカフェインが含まれていない炭酸飲料に分けて解析を行った結果,いずれの飲料についても,1日1本以上摂取する人のMetS発症リスクは有意に高かった。

さらに,炭酸飲料の摂取量ごとに各MetS因子のオッズ比を算出した。その結果,1日1本以上炭酸飲料を摂取する人では,血圧を除くすべての因子(BMI 30 kg/m2以上,ウエスト周囲長が基準以上,空腹時高血糖,高トリグリセリド血症,低HDL-C血症)について,有意なリスク上昇(25~32 % vs. 1日1本未満)がみられた。

◇結論
中年世代の男女において,炭酸飲料の摂取はメタボリックシンドロームのリスク,および血圧以外の各メタボリックシンドローム要素のリスクと有意に関連していた。増加し続ける炭酸飲料の消費に歯止めをかけるような公衆衛生施策により,メタボリックシンドロームの危険因子の保有率を低下させることができる可能性が示された。


監修: epi-c.jp編集委員 磯 博康

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