[2007年文献] BMIが安定していた人ではメタボリックシンドロームの発症率が低い(CARDIA)

Lloyd-Jones DM, et al: Consistently stable or decreased body mass index in young adulthood and longitudinal changes in metabolic syndrome components: the Coronary Artery Risk Development in Young Adults Study. Circulation. 2007; 115: 1004-11.pubmed

目的
長期にわたって体重が安定していることとメタボリックシンドローム(MetS)の構成危険因子との関連を検討する。
コホート
アメリカの4施設で1985~1986年に登録した5115人の若年(18~30歳)男女における生活習慣,その他の因子の冠動脈疾患進展への寄与に関する長期観察研究:Coronary Artery Disease Risk Development in Young Adults(CARDIA)。
15年目の検診参加者のうち,BMI<20,≧35 kg/m2,ベースライン時のBMI値のないものなどを除外した2679人(男性1358人,女性1321人)。
ベースライン時のBMI(20.0~24.9 kg/m2,25.0~29.9 kg/m2,30.0~34.9 kg/m2),15年後におけるBMIの変化(安定[2 kg/m2以内の変化]/減少[>2 kg/m2の減少],増加[>2 kg/m2の増加],変動[15年後の変化が2 kg/m2以内で,観察期間中の1回以上の追跡検診時にベースラインとの差>2 kg/m2となった例]),性別で層別後,MetSの6つの構成危険因子(トリグリセライド[TG],HDL-C,空腹時血糖,空腹時インスリン,収縮期血圧[SBP],拡張期血圧[DBP])の変化およびMetSの割合を評価。
結 果
15年間でみてBMIが安定した群は14.1%,減少は2.2%,増加は73.9%,変動は9.8%。

MetSの全構成危険因子は,ベースライン時のBMIに関わらず,BMI安定/減少群ではほとんど変化せず,BMI増加群では悪化した。以下,年齢・人種の調整後平均変化値(/年)。
・男性・ベースライン時BMI 20.0~24.9 kg/m2
TG:BMI安定/減少群1.01 mg/dL vs 増加群4.34 mg/dL(P<0.0001),HDL-C:0.04 mg/dL vs -0.54 mg/dL(P<0.0001),空腹時血糖:-0.08 mg/dL vs 0.31 mg/dL(P<0.0001),空腹時インスリン:-0.07μU/mL vs 0.27μU/mL(P<0.0001),収縮期血圧:0.14 mmHg vs 0.31 mmHg(P≦0.05),拡張期血圧:0.41 mmHg vs 0.57 mmHg(P≦0.05)。
・男性・ベースライン時BMI 25.0~29.9kg/m2
TG:0.84 mg/dL vs 4.11 mg/dL(P<0.0001),HDL-C:-0.18 mg/dL vs-0.46 mg/dL(P<0.001),空腹時血糖:0.04 mg/dL vs 0.34 mg/dL(P≦0.05),空腹時インスリン:-0.02μU/mL vs 0.42μU/mL(P<0.0001),DBP:0.32 mmHg vs 0.61 mmHg(P<0.005)。
・女性・ベースライン時BMI 20.0~24.9 kg/m2
TG:0.25 mg/dL vs 1.84 mg/dL,HDL-C:0.18 mg/dL vs -0.25 mg/dL,空腹時血糖:-0.06 mg/dL vs 0.27 mg/dL,空腹時インスリン:-0.08μU/mL vs 0.20μU/mL,SBP:-0.15 mmHg vs 0.65 mmHg,DBP:0.31 mmHg vs 0.64 mmHg(いずれの比較もP<0.0001)。
・女性・ベースライン時BMI 25.0~29.9 kg/m2
HDL-C:0.29 mg/dL vs -0.38 mg/dL(P<0.001),空腹時血糖:-0.12 mg/dL vs 0.46 mg/dL(P<0.0001),空腹時インスリン:-0.32μU/mL vs 0.37μU/mL(P<0.0001),SBP:-0.03 mmHg vs 0.83 mmHg(P<0.0001),DBP:0.11 mmHg vs 0.68 mmHg(P<0.005)。

MetSの発症
・全体(男女)では,BMI安定/減少群(2.2%)に比べ,BMI増加群(18.8%)で有意に高かった(P<0.001)。
・男性では,BMI安定/減少群(3%)に比べ,変動群で少なく(1.9%),増加群(20.5%)で有意に高かった(P<0.001)。
・女性では,BMI安定/減少群(1.2%)に比べ変動群で6.9%(P=0.01),増加群で17.2%と有意に高かった(P<0.001)。

全体の空腹時耐糖能障害,糖尿病の発症率は,BMI安定群は3.5%にすぎなかったが,増加群は8.2%(P=0.001),変動群は5.5%(P=0.36)で安定群より高率であった。

●結論
若年者において,体重が安定していた群は不安定群,増加群に比べてBMIの高低に関わらず,メタボリックシンドロームの構成危険因子の悪化やメタボリックシンドロームの発症率が低く,若年者における体重の安定化が公衆衛生上重要な課題である。


監修: epi-c.jp編集委員 磯 博康

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