[2001年文献] 随時血圧と家庭血圧の差は,男性より女性,降圧薬服用例より非服用例,喫煙例より非喫煙例で大きい

治療においては家庭血圧をベースとすべきであるが,随時血圧から治療を考慮する場合,年齢,喫煙経験の有無,降圧薬服用の有無,随時脈圧を考えに入れる必要があることが示された。

Hozawa A, et al: Factors affecting the difference between screening and home blood pressure measurements: the Ohasama Study. J Hypertens 2001; 19: 13-9.pubmed

コホート
40歳以上の2716例のうち,町外で就労しており平日の自由行動下血圧測定が困難だった575例,入院中の121例,認知症または寝たきりの31例,研究参加への同意が得られなかった32例,週3回×4週間の家庭血圧値が得られなかった44例,定期健診を受診しなかった124例を除いた1789例。
平均年齢は61.0歳で,男女比は4対6。
肥満(BMI 25以上)22%,喫煙例23%,降圧薬服用33%。心血管疾患既往4%,高脂血症既往13%,糖尿病既往13%。
結 果
家庭血圧(HBP)の平均は125.6 / 75.1 mmHg,随時血圧の平均は133.3 / 75.9で,HBPのほうが随時血圧よりも有意に低かった。
収縮期血圧(SBP),拡張期血圧(DBP)における随時血圧とHBPの差を,それぞれΔSBP,ΔDBPとした。

ΔSBPおよびΔDBPと有意に逆相関したのは年齢(P=0.001)。
ΔSBPと有意に相関したのは随時脈圧(P=0.001)。
ΔSBP,およびΔDBPが有意に大きかった(P<0.01)のは,降圧薬非服用例(vs. 服用例),喫煙未経験例(vs. 喫煙例),および女性(vs. 男性)。

以上の,血圧差に影響を与える因子の保有数とΔSBP,ΔDBPとの関連を調べたところ,因子を多く持っているほど,ΔSBPおよびΔDBPが大きくなった。
ΔSBPでは若年(40~64歳),降圧薬非服用,随時脈圧70mmHg以上,喫煙未経験の因子が大きく影響し,ΔDBPでは降圧薬非服用,若年(40~64歳),喫煙未経験が大きく影響した。

以上より,治療においては家庭血圧をベースとすべきであるが,随時血圧から治療を考慮する場合,年齢,喫煙経験の有無,降圧薬服用の有無,随時脈圧を考えに入れる必要があることが示された。


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