[2000年文献] 収縮期血圧変動は心血管疾患死亡リスクと相関,心拍数変動は逆相関

血圧および心拍数の短期的な変動と心血管疾患死亡リスクとの関連について,日本人一般住民を対象とした8.5年間の追跡研究により検討した。その結果,収縮期血圧の変動は心血管疾患死亡リスクと相関し,心拍数の変動は心血管疾患死亡リスクと逆相関することがわかった。心血管疾患死亡リスクに対する血圧変動と心拍数変動の影響は,互いに独立したものだった。

Kikuya M, et al: Prognostic significance of blood pressure and heart rate variabilities: the Ohasama study. Hypertension 2000; 36: 901-6.pubmed

コホート
40歳以上の2716人のうち,町外で就労しており平日の自由行動下血圧測定が困難だった575人,入院中の121人,認知症または寝たきりの31人を除外した上で,自由行動下血圧(ABP)を計測できた1542人を平均8.5年間追跡。
平均年齢は61.7歳で,男女比は4対6。
血圧の変動および心拍変動は,ABP測定時の30分毎の実測値の標準誤差から算出した。
結果
昼の収縮期血圧変動と有意に相関したのは,年齢,血圧,降圧薬服用率,肥満,高脂血症。
昼の収縮期血圧変動と有意に逆相関したのは,男性の割合,禁煙者を含めた喫煙率。
昼の心拍変動と有意に相関したのは,24時間心拍数および昼の心拍数。

◇ 血圧変動と心血管疾患死亡リスク
昼の血圧変動は,心血管疾患死亡率と有意な相関関係を示した(P=0.03)。
血圧変動幅により全体を五分位(収縮期血圧変動<11.5 mmHg,11.5~13.0 mmHg,13.0~15.8 mmHg,15.8~18.8 mmHg,18.8 mmHg<)に分けて検討を行ったところ,昼および夜間の収縮期血圧変動が18.8 mmHg超の人で心血管疾患死亡リスクの有意な増加がみられた(vs. 11.5~13.0 mmHg)。

◇ 心拍数変動と心血管疾患死亡リスク
昼の心拍変動は,心血管疾患死亡率と有意な逆相関関係を示した(P=0.008)
昼の心拍変動により全体を三分位(低: 7.2回/分未満,中,7.2~14.0回/分,14.0回/分超)に分けて解析を行ったところ,低い群では心血管疾患死亡リスクの有意な増加がみられた。相対ハザード(95 %信頼区間)は以下のとおり。
   高: 1.00
   中: 2.14 (P=0.15,0.76-6.15)
   低: 3.64 (P=0.02,1.22-10.8)
夜間の心拍変動では,このような関係はみられなかった。

これらの結果は,血圧変動と心拍変動との相互作用を補正した上でも変わらなかった。このことは,血圧変動と心拍数変動がそれぞれ心血管疾患死亡に対して独立した影響を及ぼすことを示唆する。
また,心拍変動が7.2回/分未満かつ収縮期血圧変動が15.8 mmHg以上の人では,心血管疾患死の相対ハザードが3.56と有意に高くなった(P<0.01)。

◇ 結論
血圧および心拍数の短期的な変動と心血管疾患死亡リスクとの関連について,日本人一般住民を対象とした8.5年間の追跡研究により検討した。その結果,収縮期血圧の変動は心血管疾患死亡リスクと相関し,心拍数の変動は心血管疾患死亡リスクと逆相関することがわかった。心血管疾患死亡リスクに対する血圧変動と心拍数変動の影響は,互いに独立したものだった。


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