[2014年文献] 動物性蛋白質の摂取量が多いほど,高次生活機能低下のリスクが低い

日本人一般住民を対象とした前向きコホート研究において,蛋白質の摂取量と高次生活機能の低下リスクとの関連を検討した。7年間の追跡の結果,全蛋白質,とくに動物性蛋白質の摂取量が多いほど,高次生活機能低下のリスクが低くなる有意な関連がみられた。男女別の解析では,男性でのみ,同様の関連がみとめられた。

Imai E, et al. Animal protein intake is associated with higher-level functional capacity in elderly adults: the ohasama study. J Am Geriatr Soc. 2014; 62: 426-34.pubmed

コホート
1998年2月1日~3月28日に健診を受診した60歳以上の2348人(参加率89.8%)のうち,質問票への回答に不備のあった372人,基本的な日常生活動作(ADL)を独立して行えない334人,高次生活機能レベルが低い(老研式活動能力指標<10点)309人,総摂取エネルギーが極端に高値または低値(全体の上位および下位2.5%)の67人を除いた1266人を2005年まで7年間追跡。
追跡期間中に死亡した120人,転居した23人,および追跡健診への参加を拒否した116人を除いた1007人(男性412人,女性595人)を解析対象とした。

高次生活機能(higher-level functional capacity)の評価には,老研式活動能力指標(Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology Index of Competence: TMIG)を用い,7年後の追跡健診時とベースライン時のTMIGスコアの比較により,「低下(2点以上の減少)」「低下なし(1点減少,不変,または改善)」のいずれかに対象者を分類した。

手段的ADL(instrumental ADL,5点満点),知的活動(intellectual activity: 4点満点),社会的役割(social role,4点満点)の3つのサブスケールの合計(13点満点)で評価し,高得点ほど活動能力が高いことを示す。
結 果
◇ 対象背景
追跡期間中に高次生活機能の低下がみられたのは246人(24.4%)。
高次生活機能低下者の7年後の老研式活動能力指標(TMIG)スコアの平均は7.8点,変化度は-4.5点。非低下者ではそれぞれ12.4点,0.0点であった。

高次生活機能低下者で,非低下者に比して有意に高い値を示していたのは,年齢,教育年数10年未満の割合,高血圧の割合,骨粗鬆症の割合で,有意に低い値を示していたのは,自覚的な健康度が高い人の割合,および週1回以上外食する割合。総摂取エネルギーや蛋白質の摂取量に差はみられなかった。

◇ 蛋白質摂取量と高次生活機能低下のリスク
1日の蛋白質摂取量の四分位ごとにみた,高次生活機能低下の多変量調整オッズ比(95%信頼区間)は以下のとおりで(それぞれ,Q1[少ない]~Q4[多い]の値),全蛋白質,ならびに動物性蛋白質について,摂取量が多いほどリスクが低くなる有意な関連がみとめられた。
年齢,性,BMI,教育年数,外食の回数,独居,喫煙,睡眠時間,自覚的健康度,高脂血症既往,および聴覚障害で調整)

・全蛋白質(P for trend=0.03): 1.00,0.78(0.51-1.19),0.61(0.39-0.95),0.61(0.39-0.95)
・動物性蛋白質(P for trend=0.03): 1.00,0.70(0.45-1.08),0.72(047-1.11),0.62(0.39-0.97)
・植物性蛋白質(P for trend=0.59): 1.00,1.15(0.74-1.79),1.02(0.64-1.62),0.88(0.54-1.43)

動物性蛋白質はおもに肉または魚由来と考えられることから,肉の摂取量,ならびに魚の摂取量と高次生活機能低下リスクとの関連を検討したところ,魚の摂取量が多いほどリスクが低くなる有意な関連がみとめられたが(P for trend=0.04),肉の摂取量については有意な関連はなかった(P for trend=0.10)

また,魚に豊富に含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸,ビタミンD,ビタミンB12,ナイアシン,カリウムおよび亜鉛の摂取量と高次生活機能低下リスクとの関連も検討したが,いずれについても有意な関連はみとめられなかった。

◇ 動物性蛋白質の摂取量と高次生活機能低下リスクに関するサブグループ解析
動物性蛋白質の摂取量と,TMIGスコアの内訳(手段的ADL,知的活動,社会的役割)との関連を検討したところ,摂取量が多いほど,社会的役割の低下のリスクが低くなる関連がみとめられたが(P for trend=0.05),手段的ADLと知的活動については関連はみられなかった。

男女別の解析を行うと,男性でのみ,動物性蛋白質の摂取量が多いほど,高次生活機能低下のリスクが低くなる有意な関連がみとめられたが(P for trend=0.01),女性では有意な関連はみられなかった。

年齢層(75歳以上/未満)およびBMI(25 kg/m2以上/未満)ごとに行った検討では,いずれのサブグループでも動物性蛋白質摂取量と高次生活機能低下リスクとの有意な関連はみられなかった。


◇ 結論
日本人一般住民を対象とした前向きコホート研究において,蛋白質の摂取量と高次生活機能の低下リスクとの関連を検討した。7年間の追跡の結果,全蛋白質,とくに動物性蛋白質の摂取量が多いほど,高次生活機能低下のリスクが低くなる有意な関連がみられた。男女別の解析では,男性でのみ,同様の関連がみとめられた。


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