[2005年文献] 教育年数が短い人では全死亡リスクが高い

日本人一般住民を対象とした前向き大規模コホート研究により,教育歴と死因別死亡リスクとの関連を検討した。その結果,教育歴が短い人において全死亡リスクの有意な上昇がみとめられ,日本における健康格差の存在が示唆された。

Fujino Y, et al.; JACC study group. A nationwide cohort study of educational background and major causes of death among the elderly population in Japan. Prev Med. 2005; 40: 444-51.pubmed

コホート
1988~1990年のベースライン調査に参加した40~79歳の110,792人のうち,教育年数に関するデータに不備があった4施設のデータを除いたうえで,1949年当時に18歳以上だった39,999人。追跡人・年は男性15万3,184人・年,女性22万3,955人・年。

教育歴については,1949年以前の教育制度が複雑であったため,学校教育を終了した年齢により以下のように分類して検討した。
   18歳以上(長い),16~17歳(中程度),15歳以下(短い)
結 果
◇ 対象背景
教育終了年齢が高いほど,喫煙率が低い,飲酒率が高い,事務職の割合が高いなどの傾向がみとめられた。

◇ 教育歴と心血管疾患死亡リスク
教育終了年齢が15歳以下,16~17歳の人における死亡の相対危険度(vs. 18歳以上)は以下の
とおり(* P<0.05)。
男女ともに,教育歴が短いと全死亡リスクの有意な上昇がみとめられた。

・ 男性
   全死亡: 15歳以下1.14*(1.05-1.22),16~17歳1.06(0.97-1.16)
    心血管疾患死亡: 1.04(0.91-1.19),1.01(0.86-1.19)
     虚血性心疾患死亡: 0.77(0.58-1.02),0.90(0.65-1.25)
     脳血管疾患死亡: 1.20(0.98-1.46),1.05(0.82-1.34)
・ 女性
   全死亡: 1.23*(1.12-1.36),1.03(0.92-1.15)
    心血管疾患死亡: 1.23*(1.04-1.44),1.03(0.85-1.25)
     虚血性心疾患死亡: 1.01(0.70-1.44),0.84(0.54-1.30)
     脳血管疾患死亡: 1.38*(1.08-1.75),1.01(0.75-1.35)

◇ 結論
日本人一般住民を対象とした前向き大規模コホート研究により,教育歴と死因別死亡リスクとの関連を検討した。その結果,教育歴が短い人において全死亡リスクの有意な上昇がみとめられ,日本における健康格差の存在が示唆された。


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