[2005年文献] 勤務者男性は自営業者よりも脳血管疾患死亡リスクが高い

日本人一般住民を対象とした前向き大規模コホート研究により,就業形態と死因別死亡リスクとの関連を検討した。その結果,男性では自営業者にくらべて勤務者の脳卒中死亡リスクが有意に高く,就業形態による健康格差の存在が示唆された。

Fujino Y, et al.; Japan Collaborative Cohort Study Group. A Prospective Cohort Study of Employment Status and Mortality from Circulatory Disorders among Japanese Workers. J Occup Health. 2005; 47: 510-7.pubmed

コホート
日本各地の45自治体に居住し,1988~1990年のベースライン調査に参加した110792人のうち,就業形態についての質問票で「自営業」または「勤務者(施設・団体に雇われている)」であると回答し,癌・心筋梗塞・脳血管疾患既往がなく,交絡因子などのデータに不備のなかった40~59歳の25945人(男性15434人,女性10511人)を10年間追跡。
追跡人・年は256686人・年(男性151817人・年,女性104870人・年)。
結 果
◇ 対象背景
勤務者の割合は,男性60%,女性51%だった。
自営業者と勤務者とで,年齢,BMI,喫煙率,飲酒率,既往歴に有意な差はなかったが,勤務者では有意に自覚的ストレスが多く,自営業者では教育年数が有意に短かった。

◇ 就業形態と死亡リスク
死亡は913人(男性721人,女性193人)。
うち心血管疾患死亡が211人(170人,41人),虚血性心疾患死亡が51人(45人,6人),脳血管疾患死亡が100人(77人,23人)だった。

勤務者を対照としたときの自営業者における死因別死亡の相対危険度(95%信頼区間)は以下のとおりで,男性の脳血管疾患死亡についてのみ,自営業者のほうが有意にリスクが低くなっていた。

・ 男性
   全死亡: 1.01 (0.86-1.18)
   心血管疾患死亡: 0.85 (0.62-1.18)
    脳血管疾患死亡: 0.58 (0.35-0.97,P=0.037)
    虚血性心疾患死亡: 1.28 (0.68-2.40)

・ 女性
   全死亡: 1.22 (0.90-1.64)
   心血管疾患死亡: 0.52 (0.27-1.02)
    脳血管疾患死亡: 0.46 (0.19-1.12)
    虚血性心疾患死亡: 0.18 (0.02-1.81)


◇ 結論
日本人一般住民を対象とした前向き大規模コホート研究により,就業形態と死因別死亡リスクとの関連を検討した。その結果,男性では自営業者にくらべて勤務者の脳卒中死亡リスクが有意に高く,就業形態による健康格差の存在が示唆された。


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