[2007年文献] 職場の騒音は脳出血死亡リスク

職場における騒音への曝露は,難聴,睡眠障害,精神的ストレスのみならず,高血圧や心血管疾患とも関連するとの報告がある。この研究は,騒音への曝露と脳血管疾患との関連を検討したはじめての報告である。大規模前向きコホート研究により,職場での自覚的騒音のある人では脳出血死亡リスクが約2倍となることが示された。高血圧の有無ごとに解析を行った結果,自覚的騒音による脳出血死亡リスクの上昇は,高血圧の人でのみみとめられた。

Fujino Y, et al.; JACC study group. A prospective cohort study of perceived noise exposure at work and cerebrovascular diseases among male workers in Japan. J Occup Health. 2007; 49: 382-8.pubmed

コホート
国内の45地区に居住し,1988~1990年のベースライン調査に参加した40~79歳の男女110,792人のうち,職場での自覚的騒音に関する回答に不備がなく,脳血管疾患既往のない40~59歳の男性14,568人を2003年まで追跡。

自覚的騒音状況については,自己記入式質問票によって職場での騒音をうるさいと感じるかどうかをたずね,「はい」と答えた人を「職場の騒音あり」,「いいえ」と答えた人を「職場の騒音なし」として解析を行った。
結 果
◇ 対象背景
「職場の騒音あり」は5,405人で,全体の37.1 %を占めた。
「職場の騒音あり」の人は,「職場の騒音なし」の人にくらべ,心筋梗塞既往の割合,喫煙率,ストレスを感じる割合,シフト勤務の割合,工場勤務者の割合が高く,教育年数が短かった。

◇ 自覚的騒音状況と死亡リスク
死亡は1,064人で,うち脳卒中による死亡は98人だった。
内訳は,脳梗塞が25人,脳出血が35人,くも膜下出血が27人。

「職場の騒音あり」の人では,「騒音なし」にくらべて約2倍と有意に高い脳出血死亡リスクがみとめられ,この結果は多変量調整を行っても同様だった(年齢,喫煙,アルコール摂取量,教育,精神的ストレス,既往歴,BMI,歩行時間,運動時間,シフト勤務,職種により調整)。
その他の病型,および全脳卒中については,騒音状況による有意な差はみとめられなかった。
「職場の騒音あり」の人における脳卒中死亡の多変量調整ハザード比(95 %信頼区間,vs. 職場の騒音なし)は以下のとおり。
   全脳卒中: 1.31 (0.85-2.02,P=0.219)
    脳出血: 2.11 (1.01-4.40,P=0.047)
    脳梗塞: 1.74 (0.73-4.10,P=0.209)
    くも膜下出血: 0.67 (0.28-1.60,P=0.367)

高血圧の有無ごとに解析を行った結果,高血圧かつ「職場の騒音あり」の人では,高血圧かつ「職場の騒音なし」の人にくらべ,有意に高い脳出血死亡リスクがみとめられた(ハザード比55.6,95 %信頼区間3.61-857,P=0.004)。
高血圧のない人では,騒音状況による有意な脳出血死亡リスクの差はみとめられなかった。


◇ 結論
職場における騒音への曝露は,難聴,睡眠障害,精神的ストレスのみならず,高血圧や心血管疾患とも関連するとの報告がある。この研究は,騒音への曝露と脳血管疾患との関連を検討したはじめての報告である。大規模前向きコホート研究により,職場での自覚的騒音のある人では脳出血死亡リスクが約2倍となることが示された。高血圧の有無ごとに解析を行った結果,自覚的騒音による脳出血死亡リスクの上昇は,高血圧の人でのみみとめられた。


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