[2011年文献] コーヒー・緑茶・烏龍茶,およびカフェインの摂取量とCVD死亡リスクは,U字型に関連した

日本人一般住民を対象とした大規模前向きコホート研究において,コーヒー・緑茶・紅茶・烏龍茶の摂取量と,CVD死亡リスクとの関連について検討した。その結果,男性のコーヒーの摂取量は,CVD死亡および脳卒中死亡リスクと,女性の緑茶の摂取量はCVD死亡リスクとU字型に関連していた。女性では,コーヒーの摂取量が3杯以上/日のカテゴリーで,1杯未満/週のカテゴリーに比したCVD死亡および脳卒中死亡リスクが高くなっていた。以上の結果より,コーヒー・緑茶・烏龍茶,およびカフェインの適度な摂取は,CVD死亡リスクの低下と関連する可能性が示唆された。

Mineharu Y, et al.; and the JACC study Group. Coffee, green tea, black tea and oolong tea consumption and risk of mortality from cardiovascular disease in Japanese men and women. J Epidemiol Community Health. 2011; 65: 230-40.pubmed

コホート
国内の45地区に居住し,1988~1990年のベースライン調査に参加した40~79歳の110792人のうち,自己記入式質問票でコーヒー・緑茶・紅茶・烏龍茶を飲む習慣について回答した男性36332人および女性50925人。ベースライン時に脳卒中,冠動脈疾患(CHD)または癌の既往をもつ男性1977人および女性2615人を除いた男性34345人および女性48310人を解析の対象とし,平均13.1年間追跡した(101万787人・年)。 

コーヒー・緑茶・紅茶・烏龍茶の摂取量については,自己記入式質問票への回答をもとに,対象者を以下のカテゴリーに分類した。
 ・コーヒー: 1杯未満/週,1~6杯/週,1~2杯/日,3杯以上/日
 ・緑茶: 1杯未満/週,1~6杯/週,1~2杯/日,3~5杯/日,6杯以上/日
 ・紅茶・烏龍茶: 1杯未満/週,1~6杯/週,1杯以上/日

カフェインの総摂取量は,コーヒー(153 mg/杯)・緑茶(30 mg/杯)・紅茶(51 mg/杯)・烏龍茶(38 mg/杯)の摂取量から計算し,五分位に分類した(少ないほうからQ1~Q5,平均値は男性では287 mg/日,女性では254 mg/日)。
結 果
◇ 対象背景
男女ともに,緑茶の摂取量が多い人,および紅茶の摂取量が多い人ほど年齢が高く,コーヒーの摂取量が多い人,および烏龍茶の摂取量が多い人ほど年齢が低かった。また,男女ともに,烏龍茶の摂取量が多い人ほどBMIが高く,コーヒーの摂取量が多い男性と女性,緑茶の摂取量が多い男性ならびに紅茶の摂取量が多い女性ではBMIが低かった。コーヒーと紅茶の摂取量が多い人では,高血圧既往の割合が低く,コーヒー・緑茶・紅茶の摂取量が多い人では,糖尿病既往の割合が低かった。


追跡期間中に心血管疾患(CVD)(CHDまたは脳卒中)で死亡したのは,男性1807人,女性1557人で,内訳は以下のとおり。
 CHD死亡: 男性404人,女性292人
 脳卒中死亡: 782人,704人

◇ 飲料別にみた,摂取量ごとのCVD死亡リスク
(1)コーヒー
摂取量のカテゴリーごとの,CVD死亡の多変量調整*ハザード比は以下のとおり(それぞれ1杯未満/週,1~6杯/週,1~2杯/日,3杯以上/日の値)。コーヒーの摂取量とCVD死亡のリスクには,男女ともに,U字型の関連がみとめられた。とくに女性では,3杯以上/日のカテゴリーでリスクが大きく増加した。
*BMI,高血圧既往,糖尿病既往,喫煙歴,アルコール摂取量,教育歴,歩く時間/日,スポーツをする時間/日,ストレス度,マルチビタミンのサプリメントの使用,ビタミンEのサプリメント使用,フルーツ・野菜・豆・肉・魚・海藻の摂取,総エネルギー量で調整)

 男性: 1,0.71(0.53-0.96),0.84(0.64-0.99),1.17(0.77-1.76),P for trend=0.065,非線形の関連のP<0.001
 女性: 1,0.87(0.62-1.23),0.77(0.55-0.99),2.30(1.31-4.02),P for trend=0.966,非線形の関連のP<0.001

(2)緑茶
摂取量のカテゴリーごとの,CVD死亡の多変量調整*ハザード比は以下のとおりで(それぞれ1杯未満/週,1~6杯/週,1~2杯/日,3~5杯/日,6杯以上/日の値),女性では,緑茶の摂取量がCVD死亡リスクの低下と有意に関連していたが,男性では有意な関連はみとめられなかった。

 男性: 1,1.09(0.61-1.96),1.31(0.80-2.14),1.31(0.86-1.99),1.42(0.90-2.24),P for trend=0.327
 女性: 1,1.13(0.66-1.93),0.77(0.48-1.26),0.81(0.56-1.18),0.62(0.40-0.98),P for trend=0.031

(3)紅茶
男女ともに,紅茶の摂取量とCVD死亡リスクとのあいだに,有意な関連はみとめられなかった。

(4)烏龍茶
摂取量のカテゴリーごとの,CVD死亡の多変量調整*ハザード比は以下のとおりで(それぞれ1杯未満/週,1~5杯/週,1杯以上/日の値),烏龍茶の摂取量が1杯以上/日の男性では,CVD死亡リスクが有意に低かった。

 男性: 1,1.00(0.65-1.55),0.39(0.17-0.88),P for trend=0.049

(5)カフェイン
カフェイン総摂取量のカテゴリーごとにCVD死亡リスクをみると,男女ともにU字型の関連がみとめられ,男性では女性よりも強い関連がみられた。

 男性: [Q1]1,[Q2]0.83(0.61-1.13),[Q3]0.70(0.50-0.98),[Q4]0.62(0.43-0.92),[Q5]0.95(0.86-1.05),P for trend=0.083,非線形の関連のP<0.001
 女性: [Q1]1,[Q2]0.95(0.66-1.38),[Q3]0.95(0.66-1.38),[Q4]0.78(0.51-1.19),[Q5]0.96(0.85-1.10),P for trend=0.348,非線形の関連のP<0.001

◇ 飲料別にみた,摂取量ごとの脳卒中死亡リスク
(1)コーヒー
コーヒー摂取量のカテゴリーごとの,脳卒中死亡の多変量調整*ハザード比は以下のとおりで(1杯未満/週,1~6杯/週,1~2杯/日,3杯以上/日),男性ではコーヒーの摂取量と,脳卒中死亡リスクと有意な負の関連がみとめられた。女性ではそのような関連はみとめられなかったが,3杯以上/日のカテゴリーでリスクが大きく増加した。

 男性: 1,0.78(0.50-1.20),0.67(0.47-0.96),0.45(0.17-0.87),P for trend=0.009
 女性: 1,0.87(0.53-1.44),0.68(0.41-1.03),3.17(1.50-6.69),P for trend=0.967

(2)緑茶,紅茶
男女ともに,緑茶・紅茶の摂取量と脳卒中死亡リスクとのあいだには,いずれも有意な関連はみとめられなかった。

(3)カフェイン
カフェイン総摂取量のカテゴリーごとに脳卒中死亡リスクをみると,Q1に比して,男性ではQ5,女性ではQ4で有意に低かった。

 男性: [Q1]1,[Q2]0.74(0.46-1.17),[Q3]0.63(0.38-1.04),[Q4]0.65(0.37-1.13),[Q5]0.80(0.67-0.96),P for trend=0.02
 女性: [Q1]1,[Q2]0.85(0.51-1.40),[Q3]0.65(0.37-1.12),[Q4]0.50(0.26-0.94),[Q5]1.02(0.85-1.21),P for trend=0.228

◇ 飲料別にみた,摂取量ごとのCHD死亡リスク
(1)コーヒー,緑茶
コーヒー・緑茶の摂取量とCHD死亡リスクとのあいだには,いずれも有意な関連はみとめられなかった。

(2)カフェイン
カフェイン総摂取量とCHD死亡リスクのあいだには,有意な関連はみとめられなかった。

◇ 結論
日本人一般住民を対象とした大規模前向きコホート研究において,コーヒー・緑茶・紅茶・烏龍茶の摂取量と,CVD死亡リスクとの関連について検討した。その結果,男性のコーヒーの摂取量は,CVD死亡および脳卒中死亡リスクと,女性の緑茶の摂取量はCVD死亡リスクとU字型に関連していた。女性では,コーヒーの摂取量が3杯以上/日のカテゴリーで,1杯未満/週のカテゴリーに比したCVD死亡および脳卒中死亡リスクが高くなっていた。以上の結果より,コーヒー・緑茶・烏龍茶,およびカフェインの適度な摂取は,CVD死亡リスクの低下と関連する可能性が示唆された。


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