[2010年文献] 健康的な生活習慣の項目が多いほど,平均余命が長い

健康的な生活習慣と平均余命との関連について,日本人一般住民を対象とした14.5年間の大規模コホート研究における検討を行い,さらに喫煙の有無による層別化解析も行った。その結果,喫煙,飲酒,運動,食事,睡眠などに関する健康的な生活習慣を示す項目が多い人ほど,40歳時および60歳時の平均余命が長いことが示され,なかでも喫煙の影響はもっとも大きかった。以上の結果から,平均余命を長くするために,喫煙者はまず禁煙し,健康的な生活習慣の項目数を増やす,または維持することが重要である。

Tamakoshi A, et al.; JACC Study Group. Impact of smoking and other lifestyle factors on life expectancy among japanese: findings from the Japan Collaborative Cohort (JACC) Study. J Epidemiol. 2010; 20: 370-6.pubmed

コホート
国内の45地区に居住し,1988~1990年のベースライン調査に参加した40~79歳の110792人のうち,生活習慣に関するデータに不備のある人を除いた62106人(男性27582人,女性34524人)を平均14.5年間追跡。

生活習慣(喫煙,飲酒,運動,食事,睡眠,肥満)について調査を行い,以下のように定義した「健康的な生活習慣」の項目数によって生活習慣の健康度を評価した。
   ・ 非喫煙または禁煙
   ・ 非飲酒または1回1合以内の飲酒
   ・ 1日1時間以上の歩行
   ・ 1日6.5~7.4時間の睡眠
   ・ 緑黄色野菜をほぼ毎日摂取
   ・ BMIが18.5~24.9 kg/m2
結 果
◇ 対象背景
喫煙率は男性53.2%,女性4.9%。
非喫煙者は,喫煙者にくらべて年齢が高い,教育年数が長い,精神的ストレスが少ない,結婚している人の割合が多い,朝食を毎日食べる人が多いなどの傾向がみとめられた。
脳卒中,心筋梗塞または癌の既往を有する割合は,女性では非喫煙者で低かったが,男性では非喫煙者で高かった。

◇ 「健康的な生活習慣」の項目数と死亡率
死亡は10843人(男性6633人,女性4210人)。
死亡の内訳をみると,男性では癌による死亡が38.5%,心血管疾患死亡が27.6%で,女性ではそれぞれ34.0%,32.8%であった。

男女とも,「健康的な生活習慣」の項目が多いほど,年齢調整後の死亡率が低くなっていた。
喫煙者の死亡率(年齢調整後,1000人あたり)は男性20.4,女性13.0で,非喫煙者ではそれぞれ13.9,8.1であった。

◇ 「健康的な生活習慣」の項目数と平均余命
40歳時の平均余命は,男女とも「健康な生活習慣」の項目が多いほど長くなっていた。

「健康な生活習慣」の項目数ごとの40歳時の平均余命は以下のとおりで,0~2つの人と6つの人の平均余命の差は,男性で10.3年,女性で8.3年であった。
   0~2つ: 男性39.9年,女性46.5年
   3つ: 42.3年,48.0年
   4つ: 43.4年,50.1年
   5つ: 44.7年,50.9年
   6つ: 50.2年,54.8年

60歳時の平均余命についても,男女とも「健康な生活習慣」の項目が多いほど長くなっていた。
「健康な生活習慣」の項目数ごとの60歳時の平均余命は以下のとおりで,0~2つの人と6つの人の平均余命の差は,男性で9.6年,女性で8.2年。
   0~2つ: 男性21.9年,女性28.1年
   3つ: 23.9年,29.1年
   4つ: 25.1年,30.9年
   5つ: 25.9年,31.5年
   6つ: 31.5年,36.3年

◇ 喫煙の有無による層別化解析
喫煙者の40歳時の平均余命は,非喫煙者にくらべて男性で4.0年,女性で4.8年短かった。
また,喫煙者の60歳時の平均余命は,非喫煙者にくらべて男性で3.5年,女性で4.2年短かった。

男性の喫煙者では,非喫煙を除く5つすべての「健康的な生活習慣」を有していても,その40歳時および60歳時の平均余命は「健康的な生活習慣」を0~1つ有する非喫煙者よりも短かった。
同様に女性の喫煙者でも,非喫煙を除く4つの「健康的な生活習慣」を有していても,その60歳時の平均余命は「健康的な生活習慣」を0~1つ有する非喫煙者よりも短かった。40歳時の平均余命についてはほぼ同等であった。

非喫煙を除く「健康的な生活習慣」の項目が0~1つの人と5つの人の平均余命の差は,喫煙者のほうが非喫煙者にくらべて小さかった(女性の40歳時の平均余命を除く)。


◇ 結論
健康的な生活習慣と平均余命との関連について,日本人一般住民を対象とした14.5年間の大規模コホート研究における検討を行い,さらに喫煙の有無による層別化解析も行った。その結果,喫煙,飲酒,運動,食事,睡眠などに関する健康的な生活習慣を示す項目が多い人ほど,40歳時および60歳時の平均余命が長いことが示され,なかでも喫煙の影響はもっとも大きかった。以上の結果から,平均余命を長くするために,喫煙者はまず禁煙し,健康的な生活習慣の項目数を増やす,または維持することが重要である。


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