[2011年文献] 初経年齢が早い女性は全死亡リスクが高い

自己申告による初経年齢と全死亡リスクとの関連について,日本人一般住民を対象とした大規模コホート研究(14.8年間追跡)における検討を行った。その結果,初経年齢が早い人では全死亡リスクが高くなることが示された。今後,初経年齢の低下に影響するとされる,生活習慣の変化や肥満などの環境的・社会的な要因をはじめ,初経年齢と死亡リスクがどのように関連しているのかについて検討が必要である。

Tamakoshi K, et al.; JACC Study Group. Early age at menarche associated with increased all-cause mortality. Eur J Epidemiol. 2011; 26: 771-8.pubmed

コホート
国内の45地区に居住し,1988~1990年のベースライン調査に参加した40~79歳の女性65327人のうち,9197人(生死が確認できない2人,ベースライン調査で初経年齢が得られなかった6285人,身長のデータがない3824人,体重のデータがない2662人,申告された初経年齢が6歳の1人,8歳の1人,20歳以上の174人)を除外した55128人を,2006年末まで平均14.8年間追跡(818379人・年)。

初経年齢は質問票により調査し,9~12歳,13歳,14歳,15歳,16歳,17歳,18~20歳の7つのカテゴリーに分類した。
また,出生した年により,10の出生コホート(1905~1909年,1910~1914年,1915~1919年,1920~1924年,1925~1929年,1930~1934年,1935~1939年,1940~1944年,1945~1949年,1950~1954年)を設定した。
結 果
◇ 対象背景
ベースライン調査時の平均年齢は57.1歳,平均BMIは22.9 kg/m2であった。

初経年齢は平均値が15.0歳,中央値が14歳であった。
初経年齢によるカテゴリーごとの人数は,9~12歳: 3584人,13歳: 7924人,14歳: 12390人,15歳: 12213人,16歳: 8872人,17歳: 4789人,18~20歳: 5156人。

・ 出生コホート間の比較
初経年齢が12歳以下だった人の割合は,最近生まれたコホートほど有意に高く(P for trend<0.001),1905~1909年出生者では1.7%,1950~1954年出生者では28.2%であった。
そのほかに最近生まれたコホートほど有意に高い値を示したのは飲酒歴のある人の割合で,有意に低い値を示したのは喫煙歴のある人の割合,定期的な運動をしている人の割合,睡眠時間が7時間以上9時間未満の人の割合,子供が3人以上の人の割合。

・初経年齢による比較
初経年齢が高いカテゴリーほど,ベースライン時の年齢が高く,BMIが低かった(いずれもP for trend<0.001)。

◇ 初経年齢と全死亡リスク
追跡期間中に死亡したのは6967人。

初経年齢のカテゴリーごとの全死亡の多変量調整ハザード比(95%信頼区間)は以下のとおりで,J字型の関連がみとめられた(二次曲線的な傾向のP=0.004)。
   9~12歳: 1.16 (1.01-1.32)
   13歳: 1.01 (0.92-1.11)
   14歳: 1 (対照)
   15歳: 0.97 (0.90-1.05)
   16歳: 0.98 (0.91-1.05)
   17歳: 0.92 (0.84-1.01)
   18~20歳: 1.05 (0.96-1.14)

また,初経年齢により,12歳以下と13歳以上の2つのカテゴリーに分けて解析すると,12歳以下の人では,13歳以上に比して全死亡のハザード比が1.17(95%信頼区間1.03-1.33)と有意に高かった。
カテゴリーの区分を13歳以下と14歳以上,14歳以下と15歳以上,15歳以下と16歳以上,16歳以下と17歳以上としてそれぞれ同様に解析した結果,ハザード比に有意差はみられなかった。

さらに,初経年齢が非常に早いまたは遅い人(9歳以下または18歳以上)を除外した解析では,全死亡のハザード比(95%信頼区間)は10歳: 2.45(1.39-4.33),11歳: 1.28(0.88-1.88),12歳: 1.10(0.95-1.28),13歳: 1.01(0.92-1.11),14歳: 1(対照),15歳: 0.97(0.90-1.05),16歳: 0.98(0.91-1.06),17歳: 0.92(0.84-1.01)であり,有意で直線的な負の関連がみとめられた(線形の傾向のP=0.004)。
初経年齢を連続変数として扱うと,全死亡のハザード比は+1歳ごとに0.97(0.95-0.99)と有意に低下した。


◇ 結論
自己申告による初経年齢と全死亡リスクとの関連について,日本人一般住民を対象とした大規模コホート研究(14.8年間追跡)における検討を行った。その結果,初経年齢が早い人では全死亡リスクが高くなることが示された。今後,初経年齢の低下に影響するとされる,生活習慣の変化や肥満などの環境的・社会的な要因をはじめ,初経年齢と死亡リスクがどのように関連しているのかについて検討が必要である。


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