[2013年文献] 野菜豊富な食事パターン,乳製品豊富な食事パターンの強さは,それぞれ心血管疾患死亡リスク低下と関連

食事パターンと心血管疾患死亡リスクとの関連について,日本人一般住民を対象とした大規模コホート研究における検討を行った。その結果,3つの主要な食事パターン(野菜型,動物性食品型,乳製品型)が見出され,「野菜型」および「乳製品型」の食事パターンに近いことがそれぞれ心血管疾患死亡リスクの低下と関連していたが,「動物性食品型」については心血管疾患死亡リスクとの関連はみられなかった。

Maruyama K, et al.; JACC Study Group. Dietary patterns and risk of cardiovascular deaths among middle-aged Japanese: JACC Study. Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2013; 23: 519-27.pubmed

コホート
国内の45地区に居住し,1988~1990年のベースライン調査に参加した40~79歳の110792人(男性46465人,女性64327人)のうち,脳卒中,心筋梗塞,癌の既往のある人,ならびに自己記入式食物摂取頻度調査票の未記入項目が4つ以上あった人を除いた64037人(男性26598人,女性37439人)を12.6年間(中央値)追跡。

40項目の自己記入式食物摂取頻度調査票を用い,因子分析(バリマックス回転)により以下の3つの主要な食事パターンを見出した。これら3つのパターンにより説明される分散(variance)の合計は男性24.5%,女性23.7%。
  ・野菜型: 鮮魚,野菜,きのこ類,芋類,海草類,豆腐,果物の摂取が多い
  ・動物性食品型: 肉類,魚,揚げものまたは天ぷらの摂取が多い
  ・乳製品型: 牛乳および乳製品,バター,マーガリン,果物,コーヒー,紅茶の摂取が多い

これら3つのパターンのそれぞれについて,対象者1人1人の因子スコア(平均値0,標準偏差1)を算出し,性別ごとに対象者を五分位に分けて検討を行った(Q5[その食事パターンに近い]~Q1)。
結 果
◇ 対象背景
食事パターンが「野菜型」に近い人は,男女とも年齢が高く,総摂取エネルギーが多く,ナトリウム,カリウム,カルシウム,魚類,野菜,果物,豆類,牛乳および乳製品の摂取量が多く,エタノール摂取量が少なかった。
食事パターンが「動物性食品型」に近い人は,男女とも総摂取エネルギーが多く,ナトリウム,肉・魚類の摂取量が多く,果物の摂取量が少なかった。
食事パターンが「乳製品型」に近い人は,男女ともカリウム,カルシウム,肉類,野菜,果物,豆類,牛乳および乳製品の摂取量が多く,総摂取エネルギー,ナトリウム,エタノール,および魚類の摂取量が少なかった。

◇ 食事パターンと心血管疾患死亡リスク
追跡期間中に心血管疾患により死亡したのは男性1240人,女性1071人で,うち脳卒中死亡はそれぞれ578人,499人,冠動脈疾患死亡は272人,207人であった。

(1)野菜型
男性では,Q5(その食事パターンにもっとも近い)でQ1(もっとも離れている)に比して心血管疾患死亡ならびに冠動脈疾患死亡の年齢調整ハザード比が低くなっていたが,多変量調整*を行うと有意差は消失した。脳卒中死亡との関連はみられなかった(*年齢,BMI,喫煙状況,歩行時間,運動時間,教育年数,自覚的ストレス,睡眠時間,総摂取エネルギー,高血圧既往,糖尿病既往により調整)。

女性では,「野菜型」の食事パターンに近いほど心血管疾患死亡および冠動脈疾患死亡の年齢調整ハザード比が有意に低くなった(いずれもP for trend<0.001)。心血管疾患死亡については,多変量調整*を行っても有意であったが(P for trend=0.04),冠動脈疾患死亡については,多変量調整を行うとボーダーライン上の関連となった(P=0.05)。脳卒中死亡との関連はみられなかった。

(2)動物性食品型
性別を問わず,「動物性食品型」の食事パターンに近いほど冠動脈疾患死亡の年齢調整ハザード比が有意に低くなったが(男女ともP for trend=0.02),多変量調整*を行うと有意な関連はみられなかった(男性のP for trend=0.14,女性のP for trend=0.38)。男女とも脳卒中死亡との関連はみられなかった。

(3)乳製品型
性別を問わず,「乳製品型」の食事パターンに近いほど心血管疾患死亡の年齢調整ハザード比が有意に低くなった(男性のP for trend=0.01,女性のP for trend<0.001)。多変量調整*を行うと,女性では有意な関連は維持されたが(P for trend=0.01),男性では有意な関連はみられなかった(P=0.23)。
また,性別を問わず,「乳製品型」の食事パターンに近いほど脳卒中死亡の年齢調整ハザード比が低くなる有意な傾向がみとめられ(男女ともP for trend<0.001),多変量調整*を行っても有意な関連は維持された(男性のP for trend=0.01,女性のP for trend=0.02)。

以上の結果は,追跡開始後3年以内の死亡を除外した解析でも同様であった。


◇ 結論
食事パターンと心血管疾患死亡リスクとの関連について,日本人一般住民を対象とした大規模コホート研究における検討を行った。その結果,3つの主要な食事パターン(野菜型,動物性食品型,乳製品型)が見出され,「野菜型」および「乳製品型」の食事パターンに近いことがそれぞれ心血管疾患死亡リスクの低下と関連していたが,「動物性食品型」については心血管疾患死亡リスクとの関連はみられなかった。


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