[2015年文献] 牛乳を月に1~2回以上飲む男性では全死亡リスクが低下

欧米にくらべて乳製品の摂取量が少ない日本人における,牛乳の摂取頻度と全死亡ならびに死因別死亡リスクとの関連について,日本人一般住民を対象とした大規模コホート研究による検討を行った。19年間(中央値)の追跡の結果,月に1~2回以上の頻度で牛乳を摂取する男性では,飲まない男性にくらべて全死亡リスクが有意に低下することが示されたが,摂取頻度とリスクとのはっきりとした用量-反応関係はみとめられなかった。女性では,飲まない人に比し,週3~4回飲む人で全死亡リスクが有意に低下していたが,ほぼ毎日飲む人では有意なリスク低下はみられなかった。

Wang C, et al. Milk Drinking and Mortality: Findings From the Japan Collaborative Cohort Study. J Epidemiol. 2015; 25: 66-73. pubmed

コホート
国内の45地区に居住し,1988~1990年のベースライン調査に参加し,生活習慣や既往歴に関する自己記入式質問票に回答した40~79歳の110585人(男性46395人,女性64190人)のうち,脳卒中,癌または慢性心血管疾患の既往のある5693人,牛乳の摂取に関する回答が得られなかった9912人を除いた94980人(男性39639人,女性55341人)を19年間(中央値)追跡。

質問票への回答をもとに,過去1年間の牛乳の摂取頻度による以下のカテゴリーに対象者を分類した。
 飲まない(男性8551人,女性10481人)
 月1~2回(3534人,3666人)
 週1~2回(5962人,7627人)
 週3~4回(5597人,8146人)
 ほぼ毎日(15995人,25421人)
結 果
◇ 対象背景
牛乳をほぼ毎日飲む人(43.6%[男性40.3%,女性45.9%])は,年齢が高く(男性のみ),葉物野菜の毎日の摂取や,大学卒業以上の学歴の割合が高く,喫煙率が低かった。

追跡期間中に死亡したのは21775人(男性12203人,女性9572人)。
うち心血管疾患死亡は28.8%(26.1%,32.2%),癌死亡は35.3%(38.5%,31.2%)であった。

◇ 牛乳の摂取頻度と全死亡および死因別死亡リスク
牛乳の摂取頻度のカテゴリー(飲まない,月1~2回,週1~2回,週3~4回,ほぼ毎日)ごとの全死亡,心血管疾患死亡ならびに癌死亡リスクの年齢調整ハザード比は,性別を問わず,いずれも牛乳の摂取頻度の増加にともなって低くなる有意な関連を示していた(女性の癌死亡を除く)。多変量調整を行うとこれらはいずれも有意ではなくなったが,以下のように,いくつかのカテゴリーにおいて対照(飲まない)に比した多変量調整ハザード比の有意な低下がみとめられ,とくに男性では月1~2回とそれより頻度の高いカテゴリーにおいて,対照に比した有意な全死亡リスクならびに癌死亡リスクの低下がみられた(ほぼ毎日の人の癌死亡リスクを除く)。
年齢層,喫煙,飲酒,身体活動,睡眠時間,BMI,学歴,健診受診状況,葉物野菜の摂取,高血圧既往,糖尿病既往,肝疾患既往で調整)

・全死亡
 飲まない: 男性1,女性1(対照)
 月1~2回: 0.92(95%信頼区間0.86-0.99),1.00(0.91-1.05)
 週1~2回: 0.91(0.85-0.96),0.98(0.91-1.05)
 週3~4回: 0.89(0.84-0.96),0.91(0.85-0.98)
 ほぼ毎日: 0.93(0.89-0.98),0.96(0.91-1.01)

・心血管疾患死亡
 飲まない: 男性1,女性1
 月1~2回: 0.98(0.85-1.13),1.14(0.98-1.33)
 週1~2回: 0.86(0.77-0.98),1.03(0.91-1.17)
 週3~4回: 0.89(0.79-1.01),0.88(0.78-1.01)
 ほぼ毎日: 0.89(0.82-0.98),0.99(0.89-1.08)

・癌死亡
 飲まない: 男性1,女性1
 月1~2回: 0.88(0.78-0.99),0.85(0.72-1.02)
 週1~2回: 0.90(0.82-0.99),0.95(0.83-1.08)
 週3~4回: 0.85(0.76-0.94),0.95(0.84-1.08)
 ほぼ毎日: 0.94(0.87-1.01),1.00(0.91-1.11)

◇ 年齢による層別化解析
40~64歳,および65~79歳の2つの年齢層に分けてみると,牛乳を毎日飲む人の割合は,高齢者で若年者にくらべて高かった(男性46.5% vs 38.5%,女性48.2% vs 42.1%)。年齢層と牛乳の摂取頻度との相互作用は,男性では境界線上に有意(P=0.054),女性では有意(P=0.022)であった。
層別化解析の結果,全死亡リスクについては,高齢の男性でのみ,牛乳の摂取頻度が高いほど多変量調整ハザード比が低くなる有意な線形の関連がみとめられ(P for trend=0.02),月1~2回のカテゴリーから有意なハザード比の低下がみとめられた。男性の心血管疾患死亡および癌死亡については,年齢層を問わず,牛乳の摂取頻度との有意な線形の関連はみとめられなかった。ただしが,高齢の男性において,月1~2回,週1~2回,週3~4回,およびほぼ毎日のカテゴリーにおいては,それぞれ対照と比較したときに有意な癌死亡リスクの低下がみとめられた。女性の牛乳の摂取頻度は,年齢層を問わず,いずれの死亡リスクとも関連していなかった。


◇ 結論
欧米にくらべて乳製品の摂取量が少ない日本人における,牛乳の摂取頻度と全死亡ならびに死因別死亡リスクとの関連について,日本人一般住民を対象とした大規模コホート研究による検討を行った。19年間(中央値)の追跡の結果,月に1~2回以上の頻度で牛乳を摂取する男性では,飲まない男性にくらべて全死亡リスクが有意に低下することが示されたが,摂取頻度とリスクとのはっきりとした用量-反応関係はみとめられなかった。女性では,飲まない人に比し,週3~4回飲む人で全死亡リスクが有意に低下していたが,ほぼ毎日飲む人では有意なリスク低下はみられなかった。


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